オンキョー東京八重洲のシアタールームに著名なお客様をお招きして、映画や音楽のお話をしていただこうという企画の、最初のお客様が、なんと俳優の宅麻伸さん。

カジュアルな服装でダイムラーを運転して来社された宅麻さんをお出迎えしたときは、うれしいけれど、正直言って少しあがってしまいました。やっぱり、スクリーンやテレビでしか見たことのない方とお話をするのは初めてですから。けれども、宅麻さんの第一声が、笑顔で「なんでも聞いてください、決して取って食べたりなんかしませんから。」
これですっかりリラックスすることができました。


聞き手:阪井



阪井   普段、家ではどんな風に時間をすごされているのでしょうか?
 
宅麻   いきなりイブ・モンタンの音楽で歓迎して頂いてありがとうございます。ちゃんとマーケティングしていただいたようですね(笑)。以前は、休日になるとゴルフばかりしていたのですが、最近は家でのんびり音楽を聴いたり映画を見たりすることが多くなりました。
音楽に関して言いますと、家ではシャンソンとかスローなジャズとか、落ち着いた雰囲気の曲を聴くことが多いですね。それと、最近では、オペラやクラシックをよく聞くようになりました。
 
阪井   それは、奥様(女優、賀来千香子さん)や、周囲の方からの影響もおありなのでしょうか?
 
宅麻   家内がパバロッティ、ドミンゴ、カレーラス、3大テノールの大ファンで、それで、一緒にオペラやテノールのCDやテレビに接するようになりました。 それと、今年4月にパルコ劇場の舞台(注:三島由紀夫原作の葵上、卒塔婆小町)でご一緒した美輪明宏さんから、クラシック音楽の本質的な美しさに接することは、役者の栄養源だから、というのでクラシックを聞くことをさかんに勧められまして、聴くようになりました。クラシックは、すぐメロディがわかって即楽しめるというのとは少し違いますが、聴けば聴くほど本質的な良さ、飽きのこない本物感が伝わってきて、いいものですね。
 
阪井   アップテンポな音楽はあまりお聞きにならないのですか? 
     
宅麻   そんなことはありませんよ。私も若い盛りですから(笑)。家では比較的落ち着いた音楽が多いのですが、仕事の行き帰りの車では、気分をハイテンションに切り替えるために、フュージョン系の元気な曲をかけまくっていますが、サザンオールスターズ、小田和正さん、長渕剛さんもよく聴きますよ。元気な音楽のほうが、意外と仕事への集中力を高めてくれますから。それと、音楽は、家でよりもクルマで聴くことのほうが結構多いかもしれませんね。

---イブモンタンのCDに続いて、ポールマッカートニーの音楽DVDを視聴していただきました。
     
阪井   少し宣伝させていただきますと、私共は、美しく快適な音というのは、上質の映像以上に、アーティストや映画の良さを伝えてくれると考えております。
     
宅麻   こういうシアタールームだから映画を見るもの、とだけ思って来ましたが、いきなり映像なしのイブ・モンタンのCDや、ポールマッカートニーのライブ映像音楽を聞いて、臨場感の良さとか、歌手の技量のすばらしさに改めてびっくりしました。大きい音だけれどとげとげしくない自然さ。また、小さな音でも、豊かな広がりを感じます。本当に気持ちのいい音ですね。
     
阪井   ありがとうございます。
   


宅麻   話題の映画を、こんなにいい環境でゆっくり見ることができて、いいですね。それに自分たちだけだから、くつろげますね。
 
阪井   いつも家ではどんなジャンルの映画をご覧になるのですか?
 
宅麻   あまりこだわりはなく、何でも見ます。特に何を良く見る?と聞かれたら、ホラー映画とか明快闊達なものですね。それは映画として純粋に楽しめるから。普通の映画を見ると、どうしても制作側の立場から見てしまう。 撮影の仕方のこととか、演技のこととか、気が付いたらあら捜しになっています。(笑)
 
阪井   ご自身や奥様が出演された作品を奥様と一緒に、ご覧になりますか?
 
宅麻   それは、ほとんどありません。というのは、お互いの出ている作品だと、あのセリフはこうだとか、さっきお話したプロ意識が出てきて、楽しむどころではなくなりますので。映画はWOWOWなどで放送しているものを、気ままに楽しむことがほとんどですね。出演作のゴジラも、WOWOWやテレビ放送で何度も見せてもらいました。たまたま、という感じですね。
     
阪井   家では映画や音楽以外に、スポーツ番組もよくご覧になりますか。特に6月のワールドカップなど楽しまれましたか?
     
宅麻   実はサッカーは興味がなくて、これまでJリーグなどもほとんど見なかったのですが、さすがにワールドカップは良かったですね。日本勢の活躍も含めて、楽しみました。とはいえ普段テレビで良く見るのは、ゴルフや野球、それにマラソンも大好きですね。ゴルフは、前ほどではないにしてもグリーンに出ますし、大昔は野球部に入ってましたからね。
     
阪井   野球は、もしかして巨人ファンですか?<ミスタールーキー>の巨人ファン上司役で出演されていましたね。 
     
宅麻   以前は、親友の中畑さん(中畑清氏、元巨人軍、現野球解説者)との関係で、巨人ファン? 正直特定のチームびいきというよりも、選手や監督、スタッフを好きになって、その人の所属チームを応援します。強いて言えば星野監督が好きですから今は阪神ということになるかもしれません。<ミスタールーキー>は、巨人ファンだからとか、中畑さんとの関係で、出たわけではありません。敵役の巨人上司としての製作者の選択が、あったのでしょうね。融通の利かない、真面目上司としてね(笑)。





阪井   男の人同士のおつきあいや、奥様とのお出かけは?
 
宅麻   あまり劇場とかライブとかに行かない方なのですが、サザンオールスターズの松田弘さん(ドラムス)とは友人で、横浜アリーナのライブはいつも見に行きます。
 
阪井   えっ、ファンに混じってご覧になるのですか?
 
宅麻   実は上の階に部屋があって、そこから見せていただいてます。
 
阪井   うらやましい。それから、親友の中畑さんとは、どのようなお付き合いなのでしょう。
     
宅麻   実は、中畑さんは僕達夫婦の仲人をしてくれた人。たまに一緒に飲みに行ったりするときなんかはもう陽気なバカ騒ぎ(笑)。 特に休日の前の夜などは、気の置けない飲み屋さんやカラオケで朝まで大騒ぎ、なんていうこともしばしば。ちなみに中畑さんは、マイクを握って離さない。僕は結構おとなしくしているけど、みんなでいる雰囲気が本当に楽しいので最後まで行っちゃうんですよ。
     
阪井   でも、周囲の人達が宅麻さんに気づいたら、ゆっくり楽しむどころではなくなりますよね。特に奥様とご一緒のときなどは、騒がれたり。
     
宅麻   家内とは、食事に出かけることが多いのですが、気心の知れたというか、気分良く時間を過ごせる店を何軒か確保してますから、騒がれるということはありません。そうですね、東京のファンは案外と大人の対応をしてくれる状況を敢えて作りますが、大阪では親しみを込めて肩をポンとたたいて声をかけられることも多いですよ。


阪井   一番心に残っているシーンや、エピソードはありますか?
 
宅麻  

これは役者になって5本目くらい、18年前の映画なのですが。う〜ん。皆、若いですねぇ。特に田中 健さん。いや、僕もなんですけどね。体つきもスマートだし(笑)。当時のロケで良く覚えているのは、船での移動が多かったことかな。けれど今改めて、こういうシアタールームで見せていただいて、本当に初めて自分の出た映画の知らなかった部分に感動しますね。ゴジラが火口に沈んでいくシーンでも、火山の周囲の地響きや、廻りの自衛隊の動きなどすべてが、見ているものに伝わってきますね。

 
阪井   出演者の方にそんな風に感じていただけてうれしいです。
 
宅麻   映画は音と絵と両方で成り立ってますね。いいですね。こんなシアタールームがあったらもう外に出たくなくなってくる。まだまだ若い人達も含めて、良い試聴環境で音楽を聴いたり、映画を見たりする機会に恵まれていませんね。音と映像がいいと伝わってくるものも違う気がするから、ポータブルなんかが普通になっている若者にこういう魅力を教えてあげたい。阪井さん達で、本当の素晴らしさを知るきっかけを作ってあげてください。
 
阪井   ありがとうございます。ところで、年末に公開予定の『ゴジラ対メカゴジラ』にも出演なさっているとのことですが、前作とはストーリーや役柄でつながりはあるのですか?内容について少しだけ教えていただけませんか?
     
宅麻   さっき見た18年前の<ゴジラ>では、自衛隊のヘリコプターからぶら下がったりする独身青年でしたが、18年後の今年は、奥さんのいない子持ちの父親役(笑)。 メカゴジラを作る役をやってます、とだけお教えします。ごめんなさい、ストーリーは、残念ながら秘密です。ゴジラは今や日本が生んだ世界的なキャラクターとして認められています。社会的にもいろいろと多くの意味を持つようになっています。ぜひみんなでそういう大切な部分は守って行きたいですね。
     
阪井   年末の公開を是非楽しみにさせていただきます。本日は、本当にありがとうございました。


インタビューを終えて。私の感想
宅麻さんは、とっても自分の周囲の人を大切にされる方だと思いました。
広く、浅くの上辺の付き合いでない。1つの作品を作るために、役者さんだけでなくスタッフも含めてよい仕事場の雰囲気を作ろうとされているのが、話の節々で伝わってきました。プロとして、仕事に対する情熱が、自然と、一緒に仕事をしている仲間への思いやりを生んでいるのでしょうか?宅麻さんの映画やドラマでの役に、とても奥の深い人間の役柄が多いのも、そんな人柄から、と感じました。
 
スタッフとの夕食会にて。宅麻さんはON/OFFがはっきりした人?
仕事のある日の前日に飲みに行ったりすると、次の日は1時間早く起きるそうです。
いつも通りに仕事をスタートできるように、十分な準備時間を取る。実は、タバコを沢山吸われるのですが、変わったタバコなんです。中国の。後からインターネットで調べてみたら、なんと、喉にいい漢方が入ったタバコ。タバコは吸うけれど、やはり役者さんなので、声を気遣っておられるのですね。
そして、ライターにはスターウォーズのイラスト。これは、今ゴジラで共演している子供さんが
宅麻さんのライターにバンドエイドを貼ったのだそうです。ちょっと、嬉しそうに(?)話されました。
それにしても、大事に持って、食事の時も隠さずに机の上に置いておくなんて、微笑ましい。。。

(記 : 阪井千恵美)



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