ピーターフランクルさん プロフィール (漢字名)富蘭平太。数学博士。大道芸人
1953年 ハンガリー生まれ。1971年国際数学オリンピック金メダル受賞。
1979年 フランスに亡命。英国、西ドイツ、インド、米国、スウェーデンなどに招かれ講演、研究を行うと同時に、各国の路上で大道芸を披露。1988年から日本に定住。ハンガリー学士院会員。算数オリンピック専務理事。日本ジャグリング協会名誉理事。東京を基点として、楽しい人生を送るコツをできるだけ多くの日本人にわかってもらいたいと願い、講演そして大道芸のために、全国各地を駆け回る。日本語を含めた11カ国語を話し、これまでに60カ国以上を訪れている。「世界青春放浪記」「ピーター流らくらく学習術」「日本人のための英語術」など著書多数。

阪 井
  おはようございます。お忙しい中、私たちのシアターにお越しいただいて光栄です。では、ご紹介とデモも兼ねてこの映画からご覧ください。
----------「パイレーツ・オブ・カリビアン」を視聴して頂きました。
阪 井
  いかがでしょうか? ピーターさんは、普段よく映画をご覧になりますか?
ピーター
  迫力ある音と美しい大画面、楽しいですね。こんな素敵な交流の場があるといいですね。
映画は月2〜3回くらい、結構観に行きます。 娯楽映画も観ないわけではありませんが、人間そのものを描いたもの、深い内容の映画、人間関係を描いたものの方が僕には見ごたえがあります。爆発シーンなどがなくても、人間のドラマは面白い。最近は、中国、韓国などの映画をよく観ます。もちろん欧米、地元ハンガリーの映画も好きです。人の悩みや成長していく姿を描いた映画はとても感動します。
阪 井
  ご自宅でもよくご覧になるのですか?
ピーター
  ひとりで見ることはありません。ホームシアターで魅力を感じるのは、友達と一緒に見ることができること。友人宅で友人の家族たちと、テレビで、映画やスポーツなどを観る。みんなで楽しむのが好きです。というのは、やっぱりみんなで話も交え顔も見ながら、映画は題材としてそこにあるっていうのがいいですね。映画館にいくのも、他の人がいて同じ感動を共有しているという雰囲気がいいと思います。

----------「リバーダンス」を視聴して頂きました。

阪 井
  ピーターさんは大道芸の資格を持っておられるほどの腕前ですが、舞台の上でのパフォーマンスと路上での大道芸とはどうちがうのでしょうか。 路上でのパフォーマンスの魅力とは?
ピーター
  舞台でのパフォーマンスも100回以上行っていますが、私個人としては、すべてが決められた順序で行うことより、即興的にお客様の反応をみながら進めることが出来るほうに魅力を感じます。道端でのパフォーマンスは、もりあがればどんどんいろんなことをしてもいい。お客さんと話をしてもいいし、逆にやめるのも自由です。そこにいる人たちと自由に交流して、幅広く自在にハプニングを楽しめるのは、大道芸の醍醐味ですね。
阪 井
  お休みの日は何をされていますか? DVDを見たりされますか?
ピーター
  何も考えないという意味合いで言うのなら、僕には<休み>はありません(笑)。 漠然とTV画面を見ることはあまりないです。音楽はよく聞きますが。
数学の問題を考えたり、いつも何かを研究したり、それが楽しみですね。DVD映画というのは、語学を学ぶ者にとっては 大変すばらしいものです。セリフも字幕もさまざまの国の言葉を選ぶことができます。ホント、こんなに便利なものはありませんよ(笑)
この前はイギリスの映画でイタリア語を勉強しました。切り替えてフランス語で観てみたり。実際のセリフと字幕が違うこともあったり(笑)
日本人も外国語を勉強するために、好きなDVD映画を役立てれば良いと思います。

阪 井
  今は何カ国語を話されるのですか? 日本語は特別なのでしょうか?
ピーター
  11カ国語で、アジアでは韓国語、中国語と日本語ですが、日本語は最も難しい言語ですね。カタカナ、ひらがな、漢字・・・・・読み方でも 一般名詞、固有名詞、当て字と さまざまです。たとえば 百、百合、百恵、百足、百舌など。書けば同じ<ひゃく>という漢字ですが、ユリ、モモエ、ムカデ、モズ、というぐあいですから。
阪 井
  すごいですね、そこまで日本語に入り込んでおられることに本当に驚きました。
日本人はよく、人や考え方を区別するとき、理系、文系という分け方をします。数学を考える頭と、言葉を覚える頭はぜんぜん違うと思うのですが、ピーターさんは理系頭脳と文系頭脳の両刀使いなのでしょうか?
ピーター
  僕は、1つの頭しかもっていないので、その区別はわかりません。(笑)
文系という言葉は、理系の問題ができないことの言い訳にしているのにすぎないかと思います。(一同思い当たる節があり、照れ笑い) どんなものでも論理的に考えて理解した方が覚えやすい。外国語の勉強でも同じ。論理的なつながりを把握して、ある言語を深く理解して操るというのは、数学や他の学問と同じです。表現力とか発想力というのは、また別ですが、言葉を解読するのに必要な能力は数学と変わらないと思います。

----------お持ちいただいた韓国のDVD「Story Of My Fiancee」を見ていただきました。

ピーター
  この映画や半年ほど前に公開された中国映画<北京バイオリン>などは、若い人たちの夢を実現するための努力と苦悩が描かれていて、本当に共感することができますね。こういう、人間本来の活力に接することは、私にとってなによりうれしいことです
阪 井
  数日前には徳之島に行かれていたとお聞きしましたが。
ピーター
  国内でも国外でも、その土地の人が、何を思って、何が問題で、どんなふうに暮らしているのか。それを分ることが大切です。ただ単に観光地とか、食べ物がおいしい、長寿の島として報道されていることではなく、そこに住んでいる人や島の表情と息遣いに接することができました。講演をした翌日に島を回ってみると、バブルの後の廃墟となった大きなホテルに隣り合って生活している人たちを見て、話を聞くことができました。中央のテレビ放送で伝わらないいろいろのことを実感することができるのです。日本は狭い国でテレビやマスコミも大変発達しています。総理大臣の顔も 明石家さんまさんの顔も、六本木ヒルズも、みんな知っている。じゃあ、東京の下町、商店街や団地の人たちの生活ぶりや心の支えは何なのか、僕はそれを知りたい。イラクでも、米軍がなにをした、自衛隊がどうこうということはみんな知っているけれど、イラクの人たちの実際の暮らしや気持ちは知られていません。
 
阪 井
  受身で報道を鵜呑みにするだけでなく、実際に顔を見て話をして分かること。それがピーターさんの心のポリシーなのですね。日本へ来られて20年近くたちますが、飽きてきたということはありませんか。もう次の国への移住も考えられているのではありませんか?
ピーター
  まだまだ。僕は離島が好きなので。すべての離島をまわりたいのですが、日本は島国だし、一生かかってもまわりきれません。(笑い) 僕はその土地の人たちと親しく接することが目的ですから、パック旅行などはいきません。型どおりの名所名物だけをなぞってゆく錯覚旅行でなく、地元の生活や人たちとの出会いを楽しみたいと思っています。ハプニングを楽しみながら、ゆっくりしたり、話しの弾んだ場所にとどまったりがいいですね。
      そういう意味では、日本の若い人たちにも 修学旅行とか卒業旅行とか何かにつけてパック旅行がはやっていてお金さえ使えば旅した気分になるようですが、本当に自分で自分の旅を計画して実行するとか、学生同士で交換留学するとか、人と人との出会いから新しい自分を見つけてゆく方向へ変っていって欲しいですね。
阪 井
  映画ではアジアの作品に関心をお持ちのようですね。
ピーター
  中国や韓国では、自由に表現できなかった時期が終わって、小説家や脚本家、監督が、自己表現を始めようとしている。そして、そうした作家の描く世界からは、人々がどんな暮らしをしているか、時事社会問題も含めたリアルなことを知ることができます。それこそ、旅のように本当の出会いを疑似体験できることになりますね。いまの、アメリカや日本の娯楽映画や歴史劇などは、装置や舞台、CGはダイナミックで面白いのですが、私にとってはストーリーがシンプルすぎるように感じます。
阪 井
  なるほど。人との出会いが大好きなピーターさんは、映画もそういう気持ちでご覧になっているのですね。ところで、若いときから世界各地を旅してこられたピーターさんは、日本のどんなところに惹かれたのですか?
ピーター
  日本人はとても親切で、素直な性格で、好意的で居心地がいいからです。治安も大変いいですし、それと差別や偏見の少ない国です。ヨーロッパでは ユダヤ人の僕はなにかと差別を受けましたから。日本人にとって、西洋人はみんな一緒みたいですよ。それと数学者と大道芸人が一緒になった僕などは、変わった珍獣みたいに愛されてるみたいです。(笑)


----------ピーターさんお持ちいただいた千住真理子さんのCDから<愛の挨拶>を聞きました。

阪 井
  このCDは、千住真理子さんのサイン入りですね。バイオリンが、お好きなのですか?
ピーター
  このCDは、映画<戦場のピアニスト>を観る人権講演会で、千住さんからいただいたものです。バイオリンは柔らかな音色が大好きで、他にも チャイコフスキーのバイオリン協奏曲などをはじめいろいろなCDを楽しんでいます。ところで、また余談ですが、戦場のピアニストのように、その国にとってネガティブな素材も正面から取り上げるといった姿勢は本当に感動しますね。日本映画からも第2次大戦時のアジアでの出来事をきちんと描くような作品を期待したいものです。音楽や人々の生活と結びついていればさらにいいと思います。
阪 井
  ありがとうございます。最後にピーターさんが、いま人との出会いで大切にされていることを、何かひとつ教えてください。
ピーター
  初対面の人と積極的に話をすることです。笑顔で、話しかけること。<自分と話をすれば 相手にもプラスになる>と、自信を持って話せば必ず通じます。ほとんどの人間は新しい人と出会って話ができると、それをプラスとして快感として感じるように思うのです。
阪 井
  本日は ありがとうございました。

今回はマリンシアターにある、お馴染みの大きなソファに座って、お持ちいただいたCDを流しながら
たくさんお話を聞かせていただきました。 著書もそうですが、インタビュー中も様々なエピソードを交えて楽しくお話をしてくださり、聞いている私自身も世界各地でいろんな人と触れ合ったかのように思えてしまうひとときでした。(阪井)

これまでにお招きしたお客様
第1回目のお客様 宅麻 伸さん 第2回目のお客様 飯星 景子さん
第3回目のお客様 生島 ヒロシさん 第4回目のお客様 佐藤 陽子さん
第5回目のお客様 堀 威夫さん 第6回目のお客様 二宮 清純さん
第7回目のお客様 大林 素子さん  


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