マリンシアターに入るなり「わぁ 素敵!」。映画やライブ公演のDVDを観るたびに、「これ絶対いいですよ!」とすっかりホームシアターファンになってしまった田中美里さん。インタビューでは、役者として取組む姿勢や、チェ・ジウの吹き替え役として有名になった「冬のソナタ」収録のこぼれ話などがお伺いできました。

田中美里さん プロフィール
(たなかみさと) 石川県出身。1996年第4回「東宝シンデレラ」で審査員特別賞に選ばれたのがきっかけで役者の道に入る。NHK朝の連続テレビドラマ「あぐり」でデビュー。テレビ、映画に多数出演、韓流ドラマではチェ・ジウの吹き替え役として活躍。


俳優の仕事に就くきっかけとなったのが東宝シンデレラでの審査員特別賞受賞。
最初は受ける気もなく・・・・
ONKYO   東宝シンデレラに応募されたきっかけは何だったのでしょうか。
美 里   東京にいた兄が応募してくれました。私は学校を卒業したばっかりで、「書類審査に受かったから、やってみない?」と兄に言われて行きました。最初はダメだったら留学しようと思っていたくらいなので、受かる気がなくて、ただ楽しんでいました。変に肝が据わっていたようで、マネージャーさんとかは「大物だと思ったのです」って言われました(笑)ただ、最終オーディションまで受かると、ちょっとやってみたいなと思うようになって、そこからすごく緊張しましたね。
ONKYO   最初は全然興味が無かったのですか。
美 里   周りはすごくやらせたがっていたのですが、オーディションとか受けた事もあったのですが、イマイチ自分の中ではピンとは来てなかったのです。女優、歌手、モデル、色々あると思うのですが、「芸能界」とひとくくりにしていて、何が面白いのか全く分からないまま流れに乗っていました。役者をやり始めて、すぐに「あぐり」というNHKの朝ドラをやらせて頂いたのですが、ただの憧れではなくて興味を持ち、お芝居って面白いかもって思い始めていたのは、「あぐり」の後半になってからでした。
ONKYO   初めてのお仕事が「あぐり」でしたが、その役柄に入るまで苦労されたのではないでしょうか。
美 里   すごくラッキーでしたね。「あぐり」をありのままの美里さんでやってくださいって言われたのです。本当に演技も初めてだったので、オーディションの時は要求に全く応えられなかったし、全部失敗に終わっていたのです。最終的にオーディションに合格したのは変な「おっちょこいさ」や、抜けている所とかが主人公「あぐり」に似ていたからだと思っています。タイミングがすごく良かったし、とっても私はラッキーだったなと思います。
ONKYO   最初はただ楽しんでやっていらしたのですよね。一方で役者になりたいと一生懸命、演劇を勉強して応募される方もいらっしゃる中で田中さんはすごく恵まれていますよね。
美 里   すっごく恵まれていますね。今でもすごいラッキーだと思っているし、人との出会いやつながりにも本当に恵まれているなと思います。口に出して「これをやりたい」と言うと1週間後くらいに手紙が来てやらせて頂いたり、この女優さんと共演してみたいなって言うと、その次にその女優さんが入っていたり。そういう偶然ってすごく多いのです。
ONKYO   それはオーラが出ているのですよ。惹きつけオーラって言うのですよ。
美 里   ひきつけオーラ!(笑)
ONKYO   常に意識はしていないけど、そのオーラを出す努力ってしていると自然とそういう事が身の回りに起こってくるみたいですよ。
美 里   あの人何しているのかな?と思うと絶対その日に電話が掛かってくるっていう事がすごく多いです。また、舞台の年にしたいと思ったときは全部舞台になり、映像の年にしたいと思ったら、映像の年になっていくし、すごく不思議な感じです。

 
ONKYO   逆に「嫌だ」とおっしゃったりする事もありますか。
美 里   役者という独特の世界に入って、どんどん自分らしさを失われていた時期があったのです。すごく忙しくて、楽しいと思っていたお仕事が楽しくなくなっていた時期、恵まれているというのが分からなくなっていくという時期、体調を崩した時期がありました。体を壊してからは、自分を可愛がる事が大事と思うようになりました。周りに気を遣って遠まわしに言うと絶対に伝わらないという事に気づいたのです。遠まわしに自分の事や気持ちを伝えようとすると結局わがままだって思われたりすることもあって、逆にシンプルに言った方が、人にも伝わりやすくなりましたね。
ONKYO   そういう事は演技にも生きていますか?
美 里   演技では20代前半はこだわりがあって、全然違う事を要求されると一歩も動けなくなったりしていました。でも演じるのは私なので、私なりの怒り方はどうなのだろうと考えられるようになったというか、どう表現しても私でしかないので、私なりに怒ったり泣いたり出来ればいいなと思いました。だから答えは一つではないと思えるようになって、すごく楽に現場にいれるようになりました。
ONKYO   そういう苦労が沢山あるでしょうね。
美 里   本当は苦労じゃなかったのです。苦労か苦労じゃないかとか、つらいかつらくないかとか、幸せか幸せじゃないかとかというのは自分の考え方一つなのですよね。物の見方をちょっと変えただけで幸せになるし、違う所に方向を向けてもいいし、役者で行き詰っていたら全然違うスポーツをやると逆に答えが見えたりとか、そういうものじゃないかなと思っています。一つの事に執着しない。楽しいと思った事をやりたいなというのがあります。
ONKYO   テレビドラマからお仕事を始めていらっしゃって、映画や舞台をやって難しいと思われた点、自分なりに工夫した点はありましたか。
美 里   この仕事って積み重ねで上手くなっていくようなものではないと思うのです。自分の中で「この部分だけは成長できたな」って思ったとしても、次回はまたゼロに戻って人生を考えなければいけないというのがとても苦労する所です。成長しているのかどうかが分からないのです。技術的ところは自然と身については行きますが、ただ上手くなれば良いって物ではないし、だからって下手でいても良い訳ではないっていう、不思議な世界なのですよね。その葛藤はずっと続いていくのだろうなと思いながらやっていますね。
ONKYO   ある歌舞伎役者さんが「慣れてきたら上手く出来ているって錯覚しがちですが、技術的には慣れてきたら逆に落ちている。長い舞台の中で新たな課題を見つけて、それに対して取り組む事によって自分がまた一つ上がる。半年間くらい長い公演だと途中から台詞も完璧だし、演出通り出来るのだけど、そうなると実は客観的に見ると演技が落ちているんだよというふうに考えるべきだ」とおっしゃってましたね。
美 里   舞台で今日は良く出来たと思う日は本当は最悪で、楽になったらまずいと思わないといけない、どんどん雑になっていってしまうという部分がありました。難しいですが、毎回、舞台ではゼロからピュアな気持ちで毎日取り組むっていう事がすごく大切だと思います。だからどういう風に自分の中で、自分自身の評価をするかと言うのがすごく難しいなって思いますね。
ONKYO   音楽家の方が「よしここだ、これで自分の表現したいものが出来たと思った瞬間にすっと次の課題が現れる」とおっしゃっていました。その満足はほんの一瞬で、課題を解決するために登っていくらしいですね。


美 里   体を壊す前にあるディレクターさんと出会いました。まだ拘り過ぎている時で、若いし、やりこなせない所がありました。その方が女優としての私を大切にして下さっていて「ああ、やっと大きい壁にぶつかったね。これは試練なんだ。抜けた時に振り返ると障子紙一枚のような戸ですよ。こんな事で悩んでいるのかなって思えるような事だよ」と言ってくださったんです。出演者のみなさんもすごく心配してくださって、誰一人文句を言う方がいなかったんですね。その時にそのディレクターに「みんな同じような経験をしてきた人たちだからこそ分かってくれるし、頑張れよって言ってくれているんだから、君はちゃんとこれを乗り越えなくちゃいけないよ」と言われました。だから絶対逃げないで、そういう素敵な先輩方のような位置、人間的な位置に行きたいなと思います。とても良い経験でした。最近そのディレクターと「もう1個来るからね。もうそろそろ2回目の壁が来るからね」と言われ「えぇぇ、また来るの?」って感じなんですけど(笑)
ONKYO   2回目の壁ですか、でもそれもまた過ぎてみたら障子紙一枚かもしれないですね。
美 里   そうなんですよね。成長と言うと坂を登っていく様子を思い浮かべるじゃないですか。それを言ったら「馬鹿だなぁ。特に役者はみんなそうなんだよ、みんな階段式なんだよ。1個上がったら、また同じ所でずっと頑張ってまた一個上がる階段式なんだよ」と言ってくださって。全然成長もしていないし何も変わっていないと思っても、やり続けて、同じような事をしているような時ってあるじゃないですか。でもそれがグンと上がるための試練だなって思っています。楽しんでやれるようにしていますね。仕事もプライベートも楽しんで。面白くない仕事も面白くして(笑)


ここで出演作品のひとつ「コジラVSメガギラス」のDVDを観る
ONKYO   すごく貴重なお話しをお伺いできました。ここで出演されている映画を、このセットで観たいなと思って。実は・・・
美 里   「ゴジラ」とか辞めてくださいね(笑)
ONKYO   いえ、その「ゴジラ」です。ぜひちょっと観てみましょう。ゴジラが足音を響かせてやって来るところが音響的にもすごく良いのですよね。
 
ONKYO   この映画は普段の美里さんのイメージと違いますよね。
美 里   私も話が来た時になんでかなって思いました(笑)腕立て伏出来ませんよって。スポーツ全般ダメなのですけど、なんでこんな鈍い私が選ばれたのだろう(笑)
ONKYO   トレーニングしている場面もありましたよね?
美 里   はい。少しジムに行って、一応は鍛えました。海の中でずっと泳がなくてはいけないシーンがあったのです。そのレスキュー隊の人が回りにいたのですけど、みんな撤退して、私ひとりだけになってしまって、私ここで絶対死ぬって思いました(笑)ここで私溺れて死んじゃうって。
美 里   良いですね、ホームシアターっていうのですか? まるで映画館みたいですね。
迫力のある映像にすっかり見いってしまう美里さん
美 里   (シアターを見渡して)良いですよねぇ。すごぉい。いいですねぇ。自分の作品ってあまり観たくないのですけど、これなら楽しく観れそうです(笑)
ONKYO   ご自身の作品は観たくない方ですか?
美 里   観たくないですね。自分の粗を探してしまうので。
ONKYO   やっぱり観ながら、ああすれば良かった、こうすれば良かったと思いますか。
美 里   思いますね。まだ笑えるくらいになっているから良いけど、まだ近い作品っていうのは・・・時間が経ってからようやく観ますね。
でも楽しいな。1日中ここから出られないですよ。でも本当に良いですね。
ONKYO   ありがとうございます。


 
「冬ソナ」の吹き替えの話題に、ヒットの秘訣が語られる・・・
ONKYO   映画やドラマにもたくさん出演されていると思いますが、吹き替えでは「冬のソナタ」が有名ですよね。やってみていかがでしたか?日本のドラマと違う点や、吹き替えを経験されていかがでしたか。
美 里   初心に戻りましたね。まず初めに台本と字幕や吹替え無しで秒数が入っているビデオを頂くのです。それで練習しなさいって事は分かりましたが、どういう練習をしたら良いのか分からなくて、秒数は関係なくただ画面を見ながら、口が開いたらしゃべってみたりしていたのですけど、なかなか合わなかったです。息遣いというのも、どの場面から、どのくらいの遠さから息を入れていけば良いのかとか、全く分からないままブースに入りました。声優さんたちは出番が最初に終わっても最後まで待っていて全部の作品を見なくちゃいけないのです。だからずっとそういう人たちに囲まれながら最初の一声出すのがすごい恥ずかしかったですね。すごい変な汗をかいて、一日で2、3キロ痩せました。本当に緊張しました。
美 里   普通に自分の感情だけでやっていると、全然声に表情がなくなったりしていて、だから声だけって言うのは本当に難しいなと思いますね。
ONKYO   (顔の)表情で伝わる部分が声だけだと伝わらないですよね。
美 里   そうなのですよね。ちょっとでもずれると口から入らなくなってしまうのです。今はちょっとずれても機械で修正くれたりするのだけど、慣れ始めるとそれが悔しいのです。機械に負けるものか、みたいな(笑)そういう感じでやっています。
ONKYO   とても難しそうだなって思います。
美 里   最初はやっぱりそんなに韓国ドラマも流行っていなかったですし、学生時代も皆お化粧は濃いし、何だこれはみたいな(笑)振り返り方、なんでそんな振り返り方なんだ?とか(笑)気になってしょうがなかったんですけど、突っ込みどころ満載で、ゴジラどころではなく、突っ込みどころ満載だったんです。(笑)
ONKYO   確かにオーバーアクションが多いですよね。それに一つの場面が結構長いんですよね。
美 里   長いですね。そうなんですよ。
ONKYO   一昔前の日本のドラマって感じですよね。
美 里   そう、でも中盤に差し掛かってから「次どうなるんだろうね?」って声優さん同士で、もう放送しているので、インターネットとか見れば結果は分かるんですけど、逆に見ないで楽しみにしていて、そういう話題になる作品って結構ヒットしてるんですよね。ただ仕事として吹き込んでさようならっていうのもあるのですけど、声優さん同士がその作品について「こうなんじゃない?」とか、「あれはないよね」とかって突っ込んで楽しんでいると、どんどん観てる方からの影響が伝わってきて、やっぱり身近でやっていて、面白いというより「ありえないよね?」とか話せる作品って結構ヒットするんだなって思いました。
美 里   でも楽しいですよ。みんな仲良しになっていくので。あんなにどっぷりと役者同士でずっといる事は珍しいので、普通のドラマより密度が濃くて、そういう意味ではまた出会いと言うか、深く出会えるので面白いです。
「私の頭の中の消しゴム」を観る
ONKYO   韓国映画で最近ご覧になった「私の頭の中の消しゴム」、良かったらご覧になりませんか?
美 里   はい、観たいです。チョン・ウソンさんは本当にかっこいいですよね。パンヒョク?派ですか、ミニョン派ですかって言われて、どっちでもないって感じなのですけど(笑)でも、チョン・ウソンさんはかっこいいですよね。そんなに表情は変わらないのだけど、目だけですごい表現出来ちゃって。とにかく色んな表情があって、素晴らしい役者さんだなって思います。
ONKYO   この「私の頭の中の消しゴム」ではクールでかっこいいですね。
美 里   見入っちゃいますね。これも映画のコメントを書くのに資料として上映前に観たのです。こんなに大きな画面だと観ること自体が楽しくなりますね
ONKYO   ハングルのお勉強はされたのですか?
美 里   ハングル講座というのをラジオでやっているのですけど、全く覚えていないのです(笑)ハングルは難しいですね。本当はこれを機に覚えれば良かったのですけどね。
またドラマと違って、映画だと韓国の方は自然ですよね。映画の表情は本当にリアルですね。日本の方がリアルじゃないですね。日本の役者さんであそこまでに顔をくしゃくしゃにして泣かないし、良いなと思うのですよね。(チョン・ウソンさん)かっこいいな。ホントかっこいいなぁ。
美 里   いいなぁ。いいなぁ(笑)
ONKYO   今日は「いいな」という言葉をたくさん発しておられるような(笑)
美 里   初めからまた観たくなりますね。家から出たくなくなるな、これ(笑)。
ONKYO   喜んで頂けてよかったです。
美 里   人ごみに疲れちゃうので映画館にはあまり行かないのですが、でも映画は大画面で観なくちゃと思うんです。これは良いですね(笑)
ONKYO   すごい宣伝になっています。ありがとうございます。
美 里   これは良いですね。こんな良い物だとは思わなかったです。全然疲れないですね。こんなに(画面が)大きくても 。
ONKYO   そうですね。映画館の音は体感的に良いなと思うよりも少し大きめだと思うんですよね。自分でボリュームも変えられないですし。ホームシアターですとくつろげるし、知らない人はいないし。
美 里   大声で泣いたりも出来ないじゃないですか。ここだったら声出して泣けますもんね。我慢しなくても良いですもんね。泣くと声出ちゃいますしね。
     
ONKYO   先ほどの吹き替えのお話しの所で、洋画にも挑戦したいとおっしゃっていましたが、どのような女優さんの吹き替えやってみたいなど何かありますか?
美 里   冬ソナのユウジンとは違う声でやってみたいなと思います。チェ・ジウさんはアジアの人なので、表現や喜怒哀楽が激しいと言っても、日本人とそこまで変わらないですよね。西洋の方の吹き替えをやるのは技術が必要なので、習得したいなと思います。誰が良いだろう。誰も吹き替えをやった事の無い新人の役者さんが良いですね。名前を明かさずにやってみたいです。
ONKYO   ご自身がやってるって分からないように?。
美 里   先入観を持たれるじゃないですか。
ONKYO   もう(冬ソナでイメージが)ついてしまっていますからね。田中美里さんと言えばチェジウというイメージがありますもんね。
美 里   色々やってみたいですね。
ONKYO   いつか楽しみに待っています。
美 里   はい(笑)



続いて読書の話題に 俳句や短歌にも興味がおありだとか・・・
ONKYO   さて、本を速く読むのが得意だと聞いた事があるのですが、何か秘訣があるのでしょうか。
美 里   絵を見るような感じですね。一言一句というよりは全体的にバンと読んでいる感じです。どう表現したらいいのか分からないんですけど。
ONKYO   目で追うというより、紙面をコピーしたり、網膜コピーみたいな感じでしょうか。
美 里   そうです。そんな感じです。最初の頃は台本も絵のように、自分でめくっている絵が出てきていたのです。それで間違えて戻したり、そういう感じでした。読み間違えたり、飛ばしちゃったり、違う人の所を読んじゃって、「あ、間違えた」とか、最初はそんな感じでした。やりづらい所があったので、ちゃんと勉強するようになって覚えるようになりました。
ONKYO   テスト勉強する時はそういう覚え方しますよね。問題が出た時に、ノートのこの辺にあったとか、赤丸をしてあったとかとかですね。そんな感覚ですよね。
美 里   そうそう、そんな感じ(笑)
美 里   小説もそうやって読んでいるかもしれませんね。上手く表現出来ないのですけど、文字を絵にした時にはもう次に行っている感じなのですよね。早く読む時はそうやっています。立ち読みは得意ですよ。
ONKYO   お勧めの作家、お好きな作家はいますか?
美 里   私は宮本輝の「錦繍」が好きで、今は重松清をずっと読んでいます。
ONKYO   「錦繍」はどこに共感を覚えますか?
美 里   「錦繍」は中学生くらいの時に読んで、訳が分からなかったです。全く分からないのだけど、ちょっと余韻が残ったのですよね。何が良いって言うよりは、毎回分からないから何回も読むのですよね。何回も読むと、経験した部分だけちょっと分かる所が出てきたりと言うのが、やめられなくて。今だに分からない所がたくさんあって、何回も読み返したくなる本というのが「錦繍」なんですよね。「錦繍」だけは何回読んでも、そのたびに感じ取り方が全く違うので、何度も読んでしまう本ですね。
ONKYO   詩を書くのもお好きとか。
美 里
  詩というよりは、日記みたいな感じです。日記と言うか、一言二言とか、気持ちを日記として具体的にそのまま書くのは恥ずかしいから、気持ちだけを書いて、人が見ても分からないというようなものを書き留めておくのが好きですね。今は俳句とかやってみたいですね。短歌とか、神楽坂で会員になってやってみたいですね(笑)
ONKYO   俳句や短歌は難しいですよね。花鳥風月を5-7-5にまとめる才能と言うのはかなり難しいそうです。
美 里   コメントを3行くらいで書かなくちゃいけない時に、なんてボキャブラリーが少ないんだろうって思います(笑)こんなに本が好きなのに表現力無いなって思って。そういうのをやってみたいですね。興味がありますね。


今後の活動、そして田中美里さんの2007年の抱負は
ONKYO   今後の活動について聞かせてください、先日「錦鯉」を拝見しましたが、最近は舞台が多いのでしょうか?来年の1月もまた舞台がありますよね。
美 里   そうですね、舞台が多いですね。年明けからは「肝っ玉姐さん奮闘記」というお芝居で、浜綿子さんが主演で、左とん平さんが出演します。一つ一つ時間を掛けて自分の中で消化していけるので、芝居は好きですね。どちらかと言うとドラマの方が苦手で、お芝居の方が基本的には楽しいのです。じっくり時間を掛けて出来るものが合っているなって思いますね。度胸がないのです、私。
ONKYO   そうなのですか?
美 里   全く。演じていて恥ずかしいって思うのですよ(笑)舞台をやっていても、お客さんが入るとグッて肝が据わるんですけど、お稽古中に演出家の方に見られていると、お芝居するのが恥ずかしくてしょうがないんですね。生き生きとお芝居されている方を見ると「いいなぁ、天職で」って思うくらい(笑)カーテンコールが一番好きじゃなくて、カーテンコールの時はとたんに素に戻るから恥ずかしくなっちゃいます。ちょっとでもダメだったって思う日は深々とお辞儀をしてしまいます(笑)演出家の方が飛んできて「ごめんなさいに見えるからやめてください。ありがとうのお辞儀にして」と言われちゃいます(笑)
美 里   恥ずかしくて仕方ないですね。役に入るとそんなに恥ずかしくないのですけど、ちょっとでも素が見え隠れすると恥ずかしくて、克服したいのですけどね(笑)
ONKYO   「錦鯉」を拝見したときは全然恥ずかしさのかけらも見えないような感じでした。
美 里   もうガクガクですよ。ずっと何をやっていたのだろう私?みたいな感じで、引っ込んでからは、「ああ、良かった出来てた」という感じです(笑)
ONKYO   良く声も通ってらっしゃって、あんなに声が通る事が信じられなくて、すごい訓練なさったのかなと思いました。
美 里   そんなでもないのですよ。人それぞれですけど、プライベートの時は配分を考えないじゃないですか。例えば本当に思い切り怒りたい時に、このくらいのトーンでやろうとか、泣く時に、役者さんって声が枯れないようにとか、今日は2回公演だからとか配分を考えるんですけど、私はあまり考えたくないんです。きっと気持ちでやるとかすれないんですよ。感情がぐっと入った時はみんなかずれず大きな声が出るじゃないですか。そういう事を大切にしたいなと思います。
ONKYO   そうすると(1月の舞台が)新年の幕開けですね。新年のお話しが出た所で、2007年の抱負などをお聞かせ頂けますか?
美 里
  抱負ですか。いつもとっても子供っぽいんですけど、「極める」と言う事をテーマにやっていきたいなと思います。色々と初挑戦みたいな事がたくさんあったので、もっと見たりとかした事とか、経験した事を更に奥深く極めたいなと思っています。
ONKYO   お仕事でもプライベートでも。
美 里   はい、是非極めたいです。
ONKYO   そういう事を毎年決めて持つという事は大事な事ですよね。極めたお姿を拝見できるのを楽しみにしています。今日はありがとうございました。

<活動内容はこちら>
NHK総合テレビ 「グッジョブ」 出演
日 時
3月26日(月)〜30日(金)5夜連続 23:00〜23:30 放映予定
テレビ朝日系 木曜ミステリー 「その男、副署長 京都河原町署・事件ファイル」
日 時
毎週 木曜日 20:00〜 (2007年4月よりO.A)




<インタビュアーの感想>
田中美里さんは私と同じ年代の方なので非常に親しみを持ってインタビューに望めました。考え方がしっかりしていらっしゃり、笑顔もステキで見習う所の多い方だと思いました。今後のますますのご活躍を楽しみにしています。(曽根)
役者として非常にポジティブな考えを持っておられて尊敬してしまいました。その考え方がきっと田中美里さんの回りの人たちにも影響を与え、すばらしい環境を創りだしているのではないか思います。これからもいろんな事にチャレンジしていただきたいと思います。(田中)


★ サイン
田中美里さんにサインをいただきました。
田中 美里さんサイン



<今後の活動など詳しい情報はこちらまで>
田中美里さん オフィシャルブログ http://toho-ent-misato.blogzine.jp/

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