■海外部門 |
アイヴァン・ホー・タック・チョイ オンキヨー点字作文賞を設けられたこと、またそのプロジェクトに私どもの参加を要請されたことに対し、世界盲人連合・アジア太平洋地域協議会(WBU-AP)は、心から感謝を申し上げます。また、もともと日本の視覚障害者を対象としていたこの点字コンクールを、アジア太平洋地域の視覚障害者にまで対象範囲を広げられたことに対しても感謝申し上げます。
■海外受賞作品
選考評「点字の有益性」 選考委員長 クワ・チェン・ホック(シンガポール) はじめに、この選考にあたっては世界盲人連合・アジア太平洋地域協議会(WBU−AP)の役員のなかから6人の選考委員を選び選考に当たりました。今回は、オーストラリア、中国、インドネシア、マレーシア、韓国、タイ、カンボジア、ニュージーランドの8カ国から28編の応募がありました。選考にあたって次のような基準を決めました。 ・点字が本人の日常生活に具体的に役立っているかどうか。 ・点字が本人の知識、才能、技能の向上に実際に役立ったかどうか。 ・文体や様式などにとらわれない。 各作品ともそれぞれ興味深く、選考は大変難しいものでしたが、以下のように入選者を決定しました。 最優秀オーツキ賞:アマンダ・キム・アカットさん(15歳、女性、オーストラリア) アマンダさんは、まだ15歳で人生経験は浅いのですが、点字との出会いを飾りのない率直な形で綴っています。幼い頃から点字に興味を覚え、やがて海外の友人との文通にも点字を用いるようになります。作品のなかで触れていますが、友人とウノを楽しむために点字がなければなんとか自分で工夫していこうという積極性がみられます。彼女は点字を使えるということから生きることに自信を持てるようになりました。 一方、優秀賞に入った50歳のワシさんは、若いときから点字のすばらしさに気づいていましたが、結婚生活に入ってさらに点字を駆使して生活をエンジョイしている様子を淡々と綴っています。 また、キリーさんは、点字では先生を超えるほどの力を身につけ、その習得が自立と自活へつながると断言します。点字がいろいろな可能性を広げ、点字への自信は、がんによる幼いころの失明を十分補えるものとなりました。 サリムさんは、失明の絶望と孤独感を詩の形で表現しました。点字が暗黒のなかに見るかがり火といい、点字がコミュニケーションの手段として最適だと主張します。 ローズマリーさんは、40歳で失明しました。失明の苦しみがどんなに辛いか。毎日が夫や子供に依存せざるを得ない状況のなかで点字に巡り遭います。やがて点字で日常の料理の本なども活用できるようになります。彼女の点字の習得の道は、まさに自由と自立を獲得していく話でした。 最後に、応募作品をひとつひとつ読むたびに、点字の有益さが伝わってきます。このオンキヨー作品コンテストのお陰で、点字の重要さを再認識させられた人が多かったでしょう。この機会を作っていただいたオンキヨー株式会社と毎日新聞社「点字毎日」に感謝し、今後ともこのコンテストが継続されることを切に希望します。 |
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