第5回オンキヨー点字作文コンクール [国内の部 入選作品]
今年は88編の応募があり、作家の藤本義一さんらによる選考委員会で審査した結果、以下の8作品が入選しました。(敬称略)

◎最優秀オーツキ賞 正賞・20万円とオンキヨーステレオ・ラクラクキット付き
「命を輝かせる − 心の目を開いて」  広島県広島市 今井敏代(いまい としよ)(47歳)
◎優秀賞 正賞・10万円とオンキヨーステレオ・ラクラクキット付き
「紙芝居でライフスタイル」  栃木県宇都宮市 平山マスミ(ひらやま ますみ)(63歳)
◎佳作(2編)   正賞・5万円とCD券2万円分
「この子とともに」  滋賀県大津市 濱本捷子(はまもと かつこ)(65歳)
「夜と昼の架け橋」  宮城県 伊藤慎哉(いとう しんや)(18歳)
(小・中学生対象)
◎点字毎日特別賞(開催5周年記念) 正賞・オンキヨーステレオ・ラクラクキット付き
「僕とピアノ」  東京都 京嶋剛志(きょうしま つよし)(9歳)

◎特別賞(3編) 正賞・オンキヨーステレオ・ラクラクキット付き

「ぼくとおんがくづくり」  山梨県甲府市 野澤幸男(のざわ ゆきお)(10歳)
「音楽」  青森県青森市 千代谷悠希(ちよや ゆうき)(13歳)
「広がれ音の和」  富山県富山市 藤縄佑樹(ふじなわ ゆうき)(13歳)



入選作品は、作品タイトルのリンクからご覧いただけます。
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審査会の様子


講評 「生きる心の素晴らしさ」  作家・藤本義一氏


藤本義一氏
 最優秀策に選ばれた今井敏代さんの「命を輝かせる − 心の目を開いて」は冒頭の激しい葛藤の部分から次第に不安に満ちた自分を通り、やがて平安の日常を行動の中から探り出す姿勢が短い文章の中でよく描かれている。絶望の扉を開き、そこから差し込んでくる光を、声、音、触覚で完成させていく描写が優れている。点字との出会い、そして読書の感動を得るまでが読む者に伝わってくる名文である。盲導犬キキを自分の分身として語る後半には、生きていく精神の素直さが宿り、やがて、子供たちに自分の心を伝えるものとなっていく。この短い文章の中で、これだけの心の流れを語ることは私にはできない。見事なコントラクション(文章構成)である。
  優秀賞の「紙芝居でライフスタイル」の平山マスミさんの作品は、作者と登場人物の一体化、紙芝居のおじさん、夫、弟を方言を混じえ立体感溢れる作品に仕上がっている。紙芝居文化の会の交流会に参加して、自分の余生の方向付けをしていくあたりは、作者の生きていくための主題がはっきりと浮かび上がっている。
  佳作2作品「夜と昼の懸け橋」の18歳の青年、伊藤慎哉君の「夜の文字」という点字との交わり、暗譜でピアノを弾き、文化祭ではモーツアルトのメヌエットを発表する時の喜び、そしてネット検索で情報を教わるという若さの特権で自分の人生をより自律的な方向に進める姿がいい。もうひとつの佳作「この子とともに」の濱本捷子さんの作品は、街や学校で出会う人たちとの心の交わりが明るく、そしてしみじみと読む側に伝わってくる。人権学習の教室で盲導犬の話をしているうちに生意気ざかりの生徒が静かに聞いてくれたのが嬉しいという素直な意見は楽しい。登場人物の会話も生活感を漂わせていきいきとしている。
  小・中学生の部で5回目を記念して設けられた点字毎日特別賞は、9歳の京嶋剛志君の「僕とピアノ」に決まった。
  父と母からピアノをプレゼントされた喜びと発表会でのグランドピアノの演奏、拍手、盲学校の先生からの褒め言葉、すべてが京嶋君の人生の出発を祈っているようである。


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