■海外の部 EBU地域 最優秀オーツキ賞
「人生を変えた点字との出会い」
セルビア ミラン・デュリック(22歳・男性)
写真-ミラン・デュリック
   雨模様の、どんよりとしたある日、退屈な時間をもてあましていた私は、時間をつぶそうとして、手にした雷管を二つに切ろうとしました。数日前、私はその雷管を近くの果樹園の中で見つけたのでした。私はそれを切るために動かそうと思ったのですが…。ああ、何ということでしょう!
 その瞬間、私は暗闇の世界にいることに気付きました。それとともに耐え難い激しい痛みに襲われ、気がつくと、顔と腕から出血していました。熱い血が次々と流れ続けていました。
  その時、私は12歳でした。しかし自分の身に何が起きたのか理解していました。その後、恐怖の日々が次から次へと私の身に続いたのです。ロシアやベルギーといった国外を含めて受けた手術が8回…。でも、その手術によっても回復には至りませんでした。右目はひどい損傷を受け、左目は完全に失明しました。左手の3本の指も失いました。
  生きたいという思いは強かったのですが、それは全く現実的でなく、達成不可能なことのように思えました。どうすればいいのだろう? 今、何かできることがあるのだろうか? 医療や福祉機関からの情報は励みにならず、どうしたら教育を続けられるかを教えてくれる人もいませんでした。
10年という取り返すことのできない無為の時間を過ごした後、普通の生活へのドアが少し開きました。ゼムンにある盲学校へのドアが開かれたのです。そこで初めて点字と出会ったとき、私を広い世界へ導く扉が大きく開かれたのを感じました。
  最初、私は本当に驚きました。それから信じられない気持ちになり、最後は不安感でいっぱいになりました。諦めようとも思いました。この不可解な形に配列された点は何なのだ? 残された7本の指でこの文字を解読するにはどうしたらいいのだろうか? このさまざまな点の組み合わせにどう対処すればいいのだろうか?
  しかし、私の疑問への解決方法はとても簡単でした。点字は私が思っていたよりもずっと簡単だったのです。そしてこの簡潔に並んだ点は、私の自立と尊厳への窓を開いてくれたのです。
  私にとって、自立への道はとてつもなく険しく厳しいものでしたが、発案者のルイ・ブライユの名前にちなんで名づけられたこのすばらしい発明のおかげで、時間をかけずに、そして完全に立ち直ることができたのです。
  教育課程に沿って、読み書きができ学べることは、なんて心豊かで心地いいことでしょうか。それは目が見えていた時と同じように私に希望と展望を持たせてくれたのです。
  そう感じた時、突然、失った歳月を取り戻したいと痛切に思いました。でも、どこから始めたらいいのか良い考えが思い浮かびません。1日はたった24時間しかないのです。しかし、点字があれば、この見事に配列された点の世界があれば、すべては可能で簡単なことなのです。
  点字は私に生きる価値を与え、私自身を作り上げてくれます。点字は暗い夜の中の昼の明るさであり、真っ暗闇の中の眩い陽光のように光り輝いています。それは悲しみの中の大きな喜びてあり、事故で光を失ってしまった視覚障害者に計り知れない幸運をもたらすのです。

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