海外の部 WBU-AP地域 シニア・グループ 佳作
IT時代における点字の重要性
ミャンマー  エイ・チャン・アウン(28歳・女性)

インドとミャンマーの保健分野における連携に関する記事を翻訳するためにパソコンに向かっていた時のことでした。JAWSソフトが読み上げたネット上の言葉に引っかかりました。注意して聞いてみると「farmer(農家)」と聞こえます。保健に関する記事だったことから、農家は薬草を栽培するので何か薬草に関係したことかと思いました。

しばらくして、その言葉の綴りを調べてみることにしました。右方向キーにカーソルを合わせるとp-h-a-r-m-a(薬剤)と出たのです。この2つの単語は同じ発音ですが、綴りも意味もまったく違います。私はホッと胸をなでおろし、この言葉の綴りを確認してよかったと思いました。

このことを長い間忘れていたのですが、ある日、突然思い出しました。同時に、視覚障害者にとってのブライユ点字法の重要性に思いが至りました。それは、何かにつまづいたときに母に助けを求めるような感じでした。そして気づいたのです。もし点字であの記事を読んでいたら、こんなことは起きなかっただろう、と。若い頃の、恋に恋い焦がれるような思いでした。

現在、毎日のように新しいITの技術革新が多数生まれています。このハイテク時代には、私のような若い視覚障害者は、点字の大切さに気づかなかったり、理解していなかったりします。そして、点字の代わりにパソコンや携帯電話、その他の携帯できるハイテク機器にお金を費やしています。点字は、「満月の光によって色彩豊かに照らされた街のようなもの」だということを理解していません。ミャンマーには、「混じりけのないルビーは沼地の中には沈まない」ということわざがあります。まさしく、点字に匹敵するものなどなく、点字は他のどんなハイテク機器にも劣りません。

視覚障害者にとって、点字は言語学習を支援する最も効果的な方法です。点字を使えば簡単に単語の綴りを学習でき、書く時にも句読点を正しく使えます。

確かに、音声ファイルやCDを使えば視覚障害者でもそれほど苦労することなく言語を勉強できますが、書く時には綴りや句読点の間違いが起きるでしょう。そんなことは大した問題ではないと言う人がいるかもしれませんが、視覚障害者がこのような間違いに気づけなかったら、正しい読み書きの能力が身につきません。したがって、点字とITの両方を使いこなせることが、読み書きを正しく効果的に身に付ける上での基本なのです。

このように、今日のIT時代においても、視覚障害者が点字で本を読むことは重要です。点字で読めば、書かれたものの意味や本質をはるかに簡単に把握できます。これは重要なことです。ハイテク機器や電子機器を使うとより多くの情報が得られますが、視覚障害者の教育で最も重要な要素が点字であることに変わりはありません。例えば、講義や授業をハイテク機器で録音することはできますが、忘れないようにメモを取ったり事実を書き取ったりする時には点字に勝るものはありません。

さらに、IELTSのような国際的な試験においても、問題が点字で用意されているので誰かに問題を読んでもらったり書いてもらったりする必要はなく、ただパソコンで答えを入力するだけでいいのです。これは、視覚障害者の教育で点字とパソコンを組み合わせた良い例です。

加えて、点字は視覚障害者の日常生活に直接関連しています。ハイテク機器の改良が進んでいるので、点字はもはや視覚障害者の日常生活には必要ではないという見方があります。これはまったくの誤りです。視覚障害者は朝から晩までちょっとしたことにも点字を使います。例えば、携帯電話には電話番号やメールアドレスを簡単に登録できますが、パソコンや携帯電話に何かが起きたときのために、点字の手帳を持っておく必要があります。

点字とテクノロジーにはそれぞれの利点がありますが、この2つを組み合わせれば、さらに効果が上がります。例えば、韓国のパスポートには点字シールが張られています。また、多くの国でエレベーターのボタンや商品の説明書には、点字と音声の両方が使われています。

点字は長い間使われてきましたし、ハイテク時代においても、不可欠で重要な存在であり続けるだろうと信じています。ロボットやAI、ナノ技術は視覚障害者の必携品になるかもしれませんが、点字が視覚障害者の生活から消えることは決してないだろうと確信しています。

点字を発明したルイ・ブライユに心から感謝しています。同時に、視覚障害者用のハイテク機器を開発してくださった方々にも感謝しています。