海外の部 ABU地域 ジュニア・グループ 佳作
視覚障害の政治的指導者が何故いないのか、実現する鍵は?
パキスタン ムハメッド・イクバル(25歳・男性)

 パキスタンは身体障害者の人権条約(CRPD)を世界で初めて承認した国の一つでした。これは、投票する権利、立候補したり、政治参加への権利を含んだ、平等な権利を全ての障害者に公約する努力の証しでした。
パキスタンは、広い範囲で国内の法律や政策に身体障害者の権利の擁護を織り込んでいます。
しかし、身体障害者の人権条約の承認や、多くの身体障害者の権利に関する革新的な法律規定にも関わらず、パキスタンに以前からある他の法律や方針が、身体障害者、特に心理社会的・知的障害者の投票権等の基本的権利の行使を阻んでいます。
パキスタンは身体障害者自身の決定権を支援するシステムを有していません。
パキスタンの障害者たちは、パキスタン国民にとって大切な身分証明カードに関し、困難に直面しています。証明付きであれなしであれ、国の身分証明カードを所有し、投票に参加することは、市民・商業・行政・裁判等に関する事務処理に欠かせないものです。そのカードなしでは、生活の広い範囲で困難に直面します。旅行、雇用、財産の所有または相続、銀行口座開設、健康保険の利用、結婚、こどもを代弁することなど。政府の社会保障制度を受給するのも困難です。
特に地方に住んだり、施設に長期間滞在する障害者の中には身分証明カードを持たない者が居ます。つまり、国民として無視された存在になっています。
身分証明カードには、障害者が障害に関し記載するかどうかを自分で選択できます。多くの障害者たちは、障害が理由で差別されるのを避けるため、障害について身分証明カードに記載しないよう選ぶ旨を、ヒューマン・ライト・ウォッチの団体に述べています。しかし、多くの場合、彼らのそんな希望は尊重されません。
身分証明カードの障害の記載のために、知的、社会心理的障害者は小切手を切ったり子供達への財産分与など、基本的なことも自分達で決断できません。これは身分証明によると、投票もしたことがないか、できないことになっているからです。
例えば、パキスタンの選挙法は、障害者たちが投票場に来やすいように投票施設を整えるように定めています。しかし、社会心理的、知的障害者には特別な対応はされていません。結果として、政府職員や民間の組織(NGO等)や選挙を遂行し見守る市民たちには、こういった投票者たちは、特別な対応を享受する権利があると教育されておらず、あるいはそのため具体的にどう対処すべきか指導されていません。
身体的、感覚的障害者の場合、投票場に行きにくいこと、点字による投票が限られていることや投票に必要な材料の不足など、問題は山積しています。
パキスタンの障害者法は、地方や地域の政府に、公の活動に障害者の人々の参加を支援し促すため、主要な障害問題を扱い、公共事業へ障害者の参加を促す、地域・市民団体の結成を奨励しています。しかし、多くの市や地域はそのような団体を設立しておらず、その支援をするための財政力や労働力も提供していません。
国際的なNGOの団体や寄付団体、国際連合の団体はパキスタンに正しい統治、市民参加、民主政治の確立などに熱心ですが、彼らの調査の一部、あるいは彼らの仕事の焦点として障害者たちを対象にしていません。
2011年に国内の法律や政策が身体障害者の人権条約に基づくように、数々の法の改革のプロジェクトを立ち上げました。他の市民と平等に障害者たちが政治参加することの保証、義務付けも含まれています。
でも、差別化なしにどうやって障害者たちが政治参加する権利を十分に享受できるのでしょうか? 政府は、障害者組織と共に、障害者の決定権を支持する組織を発展させ、施行しなければいけません。さらに包括的に言うなら、関連する省や政府の団体は、組織的に障害者や障害者組織をその政治的決定や法制改革の過程の一部に取り入れるといいのです。
議会は他の市民と同様に、障害者たちも平等な法的権利を持つべきという国際法定基準を反映するため、また、身体障害者の人権条約の基準を満たし、人権委員会の指示や推薦内容と一致させるために、民法を変えるべきです。
パキスタン政府は、投票インフラや投票方法が、様々な障害者にとってアクセスしやすいものになるよう努力すべきです。また、選挙を運営する全ての人は、障害者が他の人と同様に政治への参加ができるように、支援する訓練を受けるべきです。そうしないのは障害者たちの市民権等の権利を否定するのと同じです。 投票登録から名前を削除されたダウン症のある若い女性がヒューマン・ライツ・ウォッチにこう言いました。「私も他の人と同じように市民として扱われたいのです」と。