海外の部 WBU-NAC地域 シニア・グループ 佳作
親愛なるアンナへ
アメリカ  ジェイミー・ロイド(28歳・女性)
親愛なるアンナへ、
 2週間前、一緒に「緋文字(The Scarlet Letter)」を座って読んでいた時に、あなたは私のその本を手に取って、冗談半分に読むまねをして、こう言いました。「いつこれを習得したの?これまでに読んだ本のことを私にも教えてほしいわ。あなたはこういうふうに文字を書くこともあるの?ブライユという名前の人がいたの?」あなたは興味深そうに、こう聞きましたね。私はわざとそれに答えませんでした。というのは、他にもいろいろ質問や予想できないことを聞かれるだろうと思ったからです。でも今、雨音を聞きながら、ここに座って、あなたの疑問にすべて答えようと思います。

 私は3歳から盲学校に通い、その2年後に点字を習い始めました。私には、点字との出会いが人生のすばらしい冒険の鍵になることはわかっていました。ですから、さなぎが蝶になって羽ばたいたように、夢中で点字を練習し続け、いとこのデビィと同じくらい流暢に本が読めるようになった時には、言葉にならないくらいうれしかったです。本の力を通して、様々な未知の世界へと旅することができるようになったのです。飢えた狼が獲物を求めるように、私は図書館に行きました。司書の方とあいさつを交わすと、私に読める本を探してもらいました。それを読み終えると、自分の好みの本を探すようになりました。フィクション、ノンフィクションを問わず、その当時理解できうる限りあらゆるジャンルの本を読みました。年齢が上がると、読書の幅はますます広がり、「大草原の小さな家」「赤毛のアン」「秘密の花園」やイソップ物語も読みました。シャークスピアは英国の偉大な劇作家の一人ですが、今でも一番好きな作家です。当時は恐ろしいと感じた偉大な作品である「オセロ」の主人公オセロ将軍は、妻のデズデモーナを誤った不義の疑いで殺してしまい、その過ちに気づいて自殺する、という、ロミオとジュリエットのような悲劇です。私にはとても面白く、夜に寝ずに読んで、よく母に叱られました。他にもシェークスピアの、「ベニスの商人」「じゃじゃ馬馴らし」「十二夜」「マクベス」を読みました。祖父によると、子供のころ、私はおとぎ話を聞くのが大好きで、読んでもらえないとせがんで暴れたそうです。なので大きくなって、本のジャンルが広がっても、つながりが切れてしまうのがいやで本にしがみついていたのです。

 読書に加えて、私は書くことも好きで、例えばこんなものを書きました。

スパンという町に、一人の男が住んでいました。
その男は、靴を作ることだけが好きでした。
住まいは、シャベルで掃除をするような、粗末な家でした。
負けるとわかっていましたが、トランプをしていました。
彼は丈の短い靴、長い靴などあらゆる種類の靴を作りました。
そして妹に2サイズ小さすぎる靴を作ったりしていました。
ある日、レモネードをすすっていた時のことです。
顔を上げると、目の前に一人の若いメイドの女性がいました。
とても美しく、髪に真珠をつけていました。
その女性に、どうしてここにいるのか、尋ねました。
「私が仕える王妃様は、めったに姿を見せない方ですが、
今夜の王様の舞踏会に履かれる白い靴が必要なんです。」
そこで、彼は王妃様への靴を作ってあげ、幸せな気分で、
その夜は遊びに出かけることにしました。
劇場に行き、席に着きました。
その休憩時間に食べるものを買いました。
そのころ、先ほどの若いメイドは王様の舞踏会にいました。
実は、彼女は王様の愛する一人娘だったのです。
彼女の母である王妃様は、すでに2年前に亡くなっていました。
その夜、彼女は足が痛くなるまで踊りました。
翌朝、王女は目覚めると、
彼女のメイドを見てこう言いました。
「メイドの変装を私にもう一度させて。
町をもう一度見たいの、
父のスパイ(監視役)無しで。」
メイドの姿をした彼女は、
靴職人がレモネードのすすっていた時に会った若い女性でした。
王女は再び変装をして出かけました。
靴やに向かって歩いていた時、
教会の鐘が10時を知らせました。
靴職人が彼女を見つけ、
温かい笑顔で迎えました。
王女はお店に入りました。
王女と靴職人は、その日ずっと話をしました。
その帰り道、王女は道に迷いそうになりました。
彼女が無事戻ると、父は外にいて、
顔は見えない誰かと親しげに話しをしていました。
翌朝、王様は王女を呼びました。
そして、ある高貴な男性に嫁ぐように告げました。
「それはできません」王女はうろたえて言いました。
「昨日会った靴職人のことを愛しているからです。」
そう言うと、彼女はわっと泣き出してしまいました。
これまで、父にそむいたことは一度もなかったからです。
王様は、そんな娘の様子をしばらく見て、
肩にそっとふれて、満面の笑みでこう言いました。
「うれしいはずの時に、どうして泣くのか?
結婚相手の高貴な男性というのは、その靴職人のことなのに。」
そして、王様は、スパイのことを王女に話しました。
彼女は変装していたにもかかわらず、スパイに監視されていたのです。
靴職人に靴を作ってもらったことも見ていたし、
二人がクルーズのことなどを話しているのも聞かれていました。
二人が愛し合っているのは素晴らしい。
私が死んだら、おまえは王妃、靴職人が王となればいい。
こうして二人は結婚し、
ずっと幸せに暮らしました。

 アンナ、今度、あなたに会う時には、あなたの考えていることを私に話してください。そして、その時には一緒にオレンジジュースを飲みましょう。ルイ・ブライユ氏が点字を考案した時、点字がこれほどまで重要になると想像していたでしょうか?馬具職人の息子で、幼い時に事故で失明しましたが、ルイはこれで人生は終わり、とは全く思わず、自分の才能と学習への熱意で、精一杯人生を全うしました。すでに時計が鳴り、もうすぐ朝なので、このへんで書くのをやめて、少し寝ることにします。
 愛をこめて、
 Jamie