国内の部 サポートの部 優秀賞
「新しいコミュニケーション」
茨城県立盲学校高等部普通科3年 大高 翼(17歳)

 コミュニケーションの方法には、直接会話をすること、ラインやメール、電話や手紙など、何かを通して伝えあうこと、以前はこのようなものだけだと思っていました。
 しかし、僕は新しいコミュニケーションの方法である「指点字」を覚えたのです。指点字とは、点字タイプライターの六つのキーを相手の両手の人差し指・中指・薬指に対応させて点字を打つようにして伝える手段です。
 昨年度クラスに盲ろうの友達が転校してきました。左耳は少し聞き取れると言うので、耳元でゆっくり大きな声で話しかけるようにしていました。
 ある日このような出来事が起きました。体育の授業を行う場所をうまく伝えることができず、彼だけが違う場所に行き一人ぽつんとみんなを待ち続けていたのです。「どんなに不安な時間を過ごしていたのだろう。もっときちんと伝えておけば、彼もみんなと一緒に行動できたのに」と思いました。そして、もっと分かりやすく情報を伝えられないかと必死に考えました。そこで、手のひらにひらがなを書き情報を伝えることにしました。それでも今度は伝える時間が長くなり、遅くなってしまいました。
 沖縄への修学旅行で、観光バスに彼と隣り合わせに座りました。バスガイドの観光案内や外の景色などを伝えたくなりました。耳元で大きめの声で伝えましたが、十分には伝わりませんでした。そこで、彼の手のひらにひらがなを書いてみました。通じたようでしたが、ガイドさんの話すスピードが速く、全く追いつきませんでした。自分の力のなさを感じました。
 そのとき、彼が「点字は分かる?分かるなら『指点字』っていうのがあるんだけど」と言ってきたのです。小学生の時に点字を少し学習していましたが、なかなか覚えられずあきらめていました。その場ですぐに、「点字を教えてほしい」と頼みました。彼はうれしそうな笑みを浮かべ、点字の仕組みを分かりやすく教えてくれたのです。
 できるだけいろいろな情報を伝えられるように早く指点字を学び取ろうと、修学旅行中の自由時間に必死に練習しました。また、寝る前にも五十音を繰り返し練習し、三泊四日の旅行の間に覚えることができました。
 ゆっくりとたどたどしい指点字通訳でしたが、ひらがなを手のひらに書くよりは早く、バスガイドの説明を伝えることができ、彼は聞き取ったことをブレイルメモという盲人用の情報機器に入力しメモしていました。僕が指点字を覚えたということを、その日の日記に書いていたそうで、彼の喜びが伝わってきました。
 たくさん話をしたいという気持ちがますます強くなっていきました。指点字を覚えたことによって、彼との雑談の時間も増えました。なぜ僕が必死で指点字を覚えようという気持ちになったのかを今振り返ってみると、正しい情報を伝えることはもちろん、もっと彼のことを知りたいと思ったからだと気づきました。友達としての絆を築きたいという強い思いがあったからです。
 指点字に限らずコミュニケーションというのは、生きていくに当たってすごく重要なものだとあらためて思いました。これからもコミュニケーションを、そして友情を大切にしていきたいと思います。