海外の部 ABU地域 最優秀オーツキ賞
教育を受けた人とはどういう人か。そしてその社会的役割とは
インド    マノジ・ヤーダヴ(29歳・男性)
 

教育は、衣食住と同様すべての人にとって最低限必要なものです。このため、インドの憲法は初等教育を受ける権利を基本的権利として認めています。
現在の世界では、教育とは単に机上の知識や学位取得を意味するだけでなく、習得した知識を行動に移すことを意味しています。学習は継続的なプロセスです。

教育の意味と定義

英語のeducationという語はラテン語のEdukoに由来するEduketamが語源で、Edukoは人を内から解放し力を与えることを意味します。いずれの言語のおいても、「教育」は人が持って生まれた資質や強さを引き出し行動で示すというニュアンスがあります。

「教育」は多くの学者によって定義されてきました。スワミ・ヴィヴェーカーナンダは、教育を人に生まれながらに備わっている完全さの表出と定義しました。同様に、アリストテレスは教育を「健全なる身体における健全なる精神の創造」と定義しました。

つまり、自分が持っている知識や能力を引き出し最終的に地域社会に貢献できる人を、教育を受けた人と見なすことができます。知識を習得し、その知識を社会の幸福や利益のために使える人が、本当に教育を受けた人です。教育を通して得る知識が社会の繁栄に不可欠であるのはそのためです。

教育を受けた人の社会における役割
必要な設備やインフラを提供することで社会は教育に投資しています。そのため、教育を受けた責任ある人は社会に対して義務を負っています。教育を受けた人の役割と責任は下記のようなものです。

  1. 教育を受けた人は、円満で幸福な家庭を築く責任があります。アリストテレスは、人の人生において家族は社会の最小単位で最初の学校であると主張しています。教育を受けた人だけが子どもを教育し、道徳を教え、子供の人格を形成することができます。同じように、教育を受けた人は、家庭内で男の子と女の子を平等に扱い同じ教育の機会を提供することで、女性教育の推進において重要な役割を果たすことができます。
  2. 教育を受けた人は、その知識を生かして一般の人を教育し、自分達の権利と義務を自覚させることができます。また、民主的な組織においては、人は一定の権利を持つと同時に一定の義務も負うことを認識させることができます。
  3. 教育を受けた人は、豊かな文化を分かち合い広めることで愛国心を築くことができます。同時に、私達の祖先が多大な犠牲を払った結果手にした遺産を受け継ぎ広めることで、将来国民性を形成する責任を果たす覚悟を持つように若い世代に働きかけることができます。
  4. 教育を受けた人は、社会や文化、宗教上の調和を生み出す重要な役割を果たすことで、地域社会に愛と信頼と平和が根付くようにします。これによって国全体がまとまり、国家の一体感と発展をもたらします。
  5. 教育を受けた人は、河川や空気などの天然資源の大切さとその価値を教える重要な役割を果たすことができます。天然資源の大規模な搾取により気候の変動が大きくなり、地球は深刻な脅威に直面しています。そのため、教育を受けた人がこの分野でより積極的な役割を果たすことが重要です。
  6. 教育を受けた人は、社会悪と戦う責任を引き受けることができます。児童結婚、婚姻時の持参金制度、不可触民制、児童労働などの間違った慣習に挑むことによってこれを実現することができます。

強固な建物を造るには良い石材が必要なように、文化的な文明社会には強固な教育の基盤が必要です。しかし、皮肉なことに教育を受けた今日の若者は誤った方向に導かれており、その結果、女性に対する犯罪や暴力、恐喝等が増加しています。搾取への恐怖や不安がはびこる環境下で、教育を受けた責任ある人は先頭に立って社会の価値観が損なわれないように、不安感や恐怖感のない社会を世界中で築くために重要な役割を担わなければなりません。
現在、各国では地球を破壊しかねない化学兵器や原子爆弾等の製造に知識が悪用され、狂気ともいえる軍拡競争が進んでいます。また天然資源の保護を台無しにする開発も行われています。このため、教育を受けた人は開発の代替モデルを提示し、平和を維持し戦争を避ける政策を推進しなければなりません。
教育を受けた人は、平和と調和、天然資源を守る行動をしなければなりません。同時に、社会に道徳的な価値観を根付かせ文化の崩壊を防ぐ大使としての役割が求められています。