海外の部 WBU-NAC地域 ジュニア・グループ 佳作
点字の美
ジャマイカ    サモヤ・ジョーダン(25歳・女性)
 美というものは見る人次第です。
 しかし、美は目で見るだけでなく、感じることもできるのです。
 美は魂を魅了し、心と肉体を掻き立てます。
 動物ですら美を認識しているのです。

 クジャクはその格段にカラフルな羽を使って伴侶を惹きつけたり、捕食しようとする敵から身を守ります。花はその自然の美しさを利用して、受粉に必要な虫たちを惹きつけるのです。

 子供は美しいものに惹かれるので、玩具メーカーはそれを上手く利用します。おもちゃやお菓子のパッケージはそのカラフルなデザインで子供たちを魅了するのです。

 子供の頃、私はあらゆるものの中に美を見いだしました。雨と虹。緑の葉にとまるてんとう虫。水の表面に反射する光。庭の花々が作り出す模様。遠くの山を優しく包む雲。市場のバスケットに高々と積まれた野菜が見せる様々な色と形。道ばたの水たまりで行水する小鳥と、獲物に襲いかかるのを待つかのごとく雲の中をスイスイと泳ぐように飛ぶ大きな鳥。静かな水に小石が落ちた時にできる波紋。海岸の波と、潮の流れとともに動く貝。これらの出来事にうっとりする私は、絵の具を使って紙の上に表現しようと試みましたが、見事に失敗に終わりました。

 1991年、私は視力を失い、ものの見方を変えることを余儀なくされました。(イスラエル王の)サウルはダマスカスに行く途中、雷に打たれ視力を失いましたが、パウロとして視力を回復しました (新約聖書の使徒言行録9)。同様に、視力を失った私は想像力を駆使して世界を見、経験することを学んだのです。これによって私は、目に見えるものだけに捕らわれることがなくなったのです。

 点字は、詩を書くこと、読むこと、そして自分の詩を朗読するなどの芸術に対する興味に火をつけました。

 知識は力なり。教育は貧困から抜け出すただ一つの道なり。
 これは点字の重要性を示すものであり、コミュニケーションを有効に図る手段を視覚障害者に与えてくれるのです。フランシス・ベーコン自身が「知識は力なり」と言いました。これが私に頑張り続ける勇気を与えてくれ、点字の習得後、幸福感をもたらしてくれました。

 ご馳走、ご馳走、ご馳走
  堂々と厳かな色の
  花から花へスキップし
  どこにとまろうか決められず
  まあ! 空を褒めたたえる花を見つけ
  ああ、なんて美しく明るいこの花
  ここにとまろう、とまろう、とまろう

 
  この詩を書いているとき、私にはシナリオが再生されるのが見えましたが、詩を読み返した時には驚きが見えたのです。花の色と太陽の光につやつや輝く蝶の羽。ゆらゆら揺れる花、庭の花の香り。バラ、ひまわり、キンポウゲ、赤、ピンク、白、黒、白、赤と太陽に輝くひまわり。宙に舞う蝶のダンス。容赦ない風に引っこ抜かれた草の舞。風が奏でる地面に落ちた様々な色の葉のまるで約束に遅れたかのような音。庭の近くの池に反射する太陽の光。驚いたことに、書き、読み返したとき、私の想像力はより鋭くなり、楽しみと喜びを与えてくれたのです。

 私が最初に読んだ本は、点訳されたものがなかったので、口述してもらい、点字タイプライターを使って点字で書き写すというものでした。私は何度も「銀の刀剣」を読み返しました。シーン、破壊、洪水、人びと、家族のストーリーを点字で、読み返していると、その展開が見て取れました。感情、喜び、希望、情熱、愛、恐怖、決意、意志、決断そして発見。読むうちに私はただ楽しんでいるだけでなく、人びとの置かれている立場や不本意ながらも平然とした様子で難しい決断をしなければならないことを理解したのです。この本を読みながら私は喜びと恐怖の涙を流し、そして疲れ果てるまで笑い、登場人物を応援しました。
 
 両親は、私が他の視覚障害者の子供と付き合うべきだと考え、視覚障害者のための救世軍の学校に入校させました。そこで出会った友達から点字文学のことを知り、彼女は私に本を読んでくれました。やがて彼女はその本を私にくれ、読むように勧めてくれました。

 私はいつも友達のジェイミーから新しい本をもらうのが楽しみでした。彼女の本はいつも中世が舞台で、悲しくもありハッピーでもある冒険物語ですが、みな楽しく読みました。点字を読みながら、自分が女王や戦士や貧乏な農民であるかのように想像するのです。あまりにも役柄にのめり込んでしまい、彼らのように話したりしました。そのおかげで私の語彙は増え、文法も上達したのです。

 友達が図書館の存在を教えてくれました。それはかつて経験したことがない驚きの場所でした。匂いと音の反響にうっとりしてしまいました。私は棚に並ぶたくさんの、読んでもらいたいと言わんばかりの本に触れました。海に浮かび新しい冒険を待つ船のように、著者は自分の本を世に送り出すのです。この素晴らしい出会いの後、図書館は私の聖域となり、本は私の親友となりました。

 児童書籍を読破した後、私は聖域をさらに奥深く進み、親友である本とさらに仲良くなりました。本の内容は大人っぽくなってきましたが、それでも次に何が起こるのかワクワクしながらページを読み進み、楽しみました。私は笑わせてくれる本、泣かせてくれる本、どうしてなのかしらと思わせる本を読みます。点字がなければ私の人生は真っ暗でしょう。なぜなら本は私の空の星なのです。目が見えない人は杖を持っています。私は世界中を旅行するために本を持っているのです。本は私のパスポートなのです。祖母が教えてくれた詩で(このエッセイを)締めくくりたいと思います。

 本は、そう、私たちの友達
 学ぶのに必要なものは、本だけ
 本はあなたを、どこでも好きなところに連れて行ってくれる
 さあ、本を読みましょう