海外の部 WBU-NAC地域 シニア・グループ 佳作
今日のテクノロジー社会における点字の重要性
 カナダ      シャーマイン・コー(26歳・女性)
 今日のテクノロジー社会において、点字が視聴覚障害者にとってもはや重要なな技術ではないという方が多くいると思います。なぜなら、コンピューターによるスクリーン音読プログラムの開発により、視覚障害者がコンピューター、タブレット、あるいは携帯電話を使って読み書きできるようになったからです。しかし私は、点字はテクノロジーの進歩にもかかわらず、今でも習得すべき必要な技術だと思います。このエッセイでは、なぜ私がこう信じるかを、三つの理由で述べたいと思います。

 第一の理由は、音読された文を聞くことは読み書きの習得、例えば綴りの習得には適切な方法ではないことが証明されています。たとえコンピューターによるスクリーンリーダーが一つずつの単語の綴りを示すことができるにしろ、視覚障害者にとっては、この種の情報技術へのアクセスに多大な時間を要します。視覚障害者が音読されている文章をただ聞いているときには、スクリーンリーダーは自動的にはそれぞれの単語の綴りは読み上げません。スクリーンリーダーは一語ずつ文章を読み上げるにとどまり、指示されない限りは単語ごとの綴りは読み上げません。しかし、もし視覚障害者が聞くのではなく、点字で文章を読む場合には、自分で文を読みながらそれぞれの単語の綴りを同時に読解していくのです。例えば、「華氏」(fahrenheit ―ファーレンハイト)という単語を例にあげてみましょう。もし視覚障害者が初めてこの単語の綴りを学ぶ場合、ただ単にスクリーンリーダーから読まれた単語を聞くだけでは、その綴りを効果的に学ぶことはできません。スクリーンリーダーにより言葉ははっきりと読まれますが、単語の綴りはその音とは一致しないため、綴りの理解にはつながりません。しかし、視覚障害者がこの単語「華氏」を点字で読んだとしましょう。この時は、この障害者は即座にその綴りを一文字ずつ理解することができます。このとこは、視覚障害者にとって、点字は効果的な読み書きの習得のために必須のものであることを示しています。

 さらに読み書きを習得するうえで、点字では視覚障害者が文章中の活字書体の変化に即座に気づくことができます。例えば、点字によって読み手は太字やイタリック体で書かれた文字や文節に素早く気づくことができます。スクリーンリーダーによってもこの情報は容易に得られることができるという議論もありますが、このスクリーンリーダーは、このような情報確保にもっとも優れた方法ではないと思います。例えば、視覚障害者がイタリック体を含んだ文を読んだとしましょう。もしこの人がスクリーンリーダーで読んだ場合、この読者はこの文にイタリック体が含まれていることにはすぐには気がつきません。なぜなら、スクリーンリーダーは文章を読み上げながら、活字書体の変化を示唆しないからです。もしこの読者が、その種の情報を得たいとするなら、必要以上の時間を費やさなければなりません。しかし、もしこの人に同じ文章を点字で読ませたならば、イタリック体の箇所は即座に認識される訳です。このことから、点字は文章中の活字体の変化を知るためには必須のものなのです。
 最後に、点字は視覚障害者にとって読みながら聞くということを可能にします。例えばある人がスクリーンリーダーで読んで(聞いて)いる時には、他のものを同時に聞くことは難しいでしょう。このことを示すのに、私個人の実際の例を挙げてみましょう。
 私が大学一年生の時、私は授業中に教授の講義を書きとるための点字用ノート取り器具を持っていませんでした。そのため、私は自分のラップトップとスクリーン音読機能を使ってノートをとっていました。初めは、私はこの方法で満足していました。しかし学業を続けていくうちに、この方法では教授の講義と音読機能の声を同時に聞くことが徐々に難しくなってきました。そして学生生活五年目にやっと、どこででもノートを取れる、携帯点字ノート取り器具を手に入れることができました。これにより、私は教授の講義中に講義を聞きながら効果的にノートを取ることができるようになりました。言うまでもなく、私がクラスの他の健常者と同じように講義を充分に聞きながら書くことができるようになり大満足でした。
 私個人の点字の習得に関する経験を通して言うならば、スクリーンリーダーの開発によって視覚障害者にとっての点字はもはや必須の技術ではないという考えには議論の余地があると思います。私個人の体験で示されるように、点字を使えば、別の資料を聞きながら、同時に読むことが可能です。
 結論として、視覚障害者にとって、スクリーンリーダーが点字に取って代わることはないと強く信じます。なぜなら、最先端のスクリーンリーダーでも、識字学習を促すには限界があるからです。さらに、点字では視覚障害者が文章中の活字書体の変化を素早く読み取ることができます。その上、スクリーンリーダーは他の音声資料を聞きながらの同時に別の資料を読む機能には適していません。これらの理由により、私は点字による読み書きの能力が、活字の読み書き能力と同じぐらい重要だと強く信じています。