海外の部 EBU地域 ジュニア・グループ 優秀賞
がたがた道
イギリス     メーガン・ポール(23歳・女性)
 目が見えない生活は、苦難に違いないと思われているようです。視覚障碍者の生活については何も知らない人が多いようなので、私はいくつかの利点を述べたいと思います。まず、車の中で読んでも、車酔いしません。点字をよく読む人は、これがとても大きな利点だと同意してくれるでしょう。
 私が8歳の時、ノースウェールズ地方のがたがた道を車で旅行していました。車のトランクは、私たち家族(両親と4人の子供)の荷物でいっぱいでした。でも両親は私の「有名な5人」9巻とパーキンスの点字タイプライターを詰め込んでくれました。私が余暇を過ごすために持っていくものは、場所をとるものでしたが、両親は私を連れていくときは、私の本と点字タイプライターは必ず持っていってくれました。2年後に、私に点字携帯ノートブックを与えられたときは、両親はほっとしたことでしょう。それ以来、私の点字本は、このノートブックに保存されたので、車が広く感じられました。
 話を2000年にもどしましょう。ウェールズに向かってがたがた道を走っていた時のことです。私は、点字本を妹の膝に置いてバランスをとり、妹はそれを嫌がっていました。車が角を曲がると、私の指は読んでいた箇所を離れ、またそこを見つける、というようなことを繰り返して何時間も過ごした旅行でした。
 私が点字にほれ込んだのは、4歳の時でした。同級生と一緒に読み書きを学んでいました。ほかの友達がグループになって書き方を学んでいるとき、私の点字の先生はchとstの違い、ingと文字の uの区別の仕方を教えてくださいました。今でも最初に読んだ本のことを覚えています。ロケットについての本で、ストーリーがとても好きだったのですが、msとshsを混同してしまったことを覚えています。その後まもなく、点字タイプライターの前に座り、紙を差し込み、タイプで書き始めました。このようにして数年間、簡単な文章でいくつもの文章を書きました。成長するにつれ、点字は私の生活を豊かにしてくれました。2000年は、複雑な気持ちを経験した特別な年でした。その年、ハリーポッターの第4巻が発売されたのです。ほかの人たちと同時に読めなかったのでイライラしましたが、先生が数ページをコンピューターにタイプして、点訳してくれたのです。私の指先の下で新しい章が繰り広げられるのを魔法のように感じました。

 中学校では、フランス語とドイツ語が必須で、すなわち2つの新しい点字コードを学ばなければいけませんでした。符合を混同してしまって、フランス語をあきらめたのは、幸いだったと思っています。ドイツ語の点字は、7年後にドイツで一年過ごした時に、大変役に立ちました。読み書きができなかったら、外国語としての英語を教えることなど不可能だったでしょう。

 中学生の時、点字に関する新たなチャレンジを経験しました。私の教科書は、刑務所で点訳されたので、入手するのに時間がかかったのです。またマクベスを中学3年生の時に学びましたが、私の点字本は5巻にわたっていたのです。マクベスはそれほど長い劇ではないのに、点字本としても、量が多すぎるなあと思っていました。授業でマクベスの劇を読むときになって、文書の合間に囚人たちの間で取り交わしたメモが書かれたことに気付いたのです。例えば「私の目の前にある短剣よ、(砂糖入りのブラックコーヒーかい?)」という具合です。読みながら私は笑いをこらえていました。

 また最近も、点字で笑ってしまったことがあります。障碍者用のトイレに案内してもらったとき、ドアに点字が表示されていたのですが、残念なことに間違って「トリエット」と書いてあったのです。

 子供時代には、誕生日とかの特別な機会というのは大切なものです。私の家族は高価な点字のグリーティングカードを取り扱う特別なお店を見つけてくれました。そのおかげで、少なくとも年に一度は点字の書かれたカードをもらいました。でもそのカードには、「だんじようびのおめでたい」(誕生日おめでとうではなく)と間違って書かれてあり、そしてクリスマスには、「季節の喜ばしい魚たち(季節の喜ばしいご挨拶ではなく)」と書かれてあったりしたのです。

 点字を読む者にとって、人生の見方が変わってくるのは明らかです。読めるからと言って、薬屋のすべての箱を読む人なんているでしょうか?また、私が試験の時に感じるようなストレスを感じる人はそれほどいないでしょう。正しく点字で記述された問題が少ないので、点字の問題が普通の印刷されたものと異なってしまうことがしばしばです。先生の補助がなければ、不要な点数を引かれてしまうことになります。レストランで、あることなどほとんどないものの、「点字のメニューがありませんか」と聞いてみることが、嫌になってしまうなどということはありません。自分が読める様式で書かれたメニューを手渡されたときは、本当に尋ねてよかったと思えるからです。


 私がウェールズ地方のがたがた道を旅行した時からずいぶん時代は変わりました。最近、家族で旅行するときは、空港のセキュリティーのスタッフに私の大切な点字ノートブックのアペックスは、無害で、手荷物として許可されるべきだということを説明しなければいけません。電子点字ディスプレイが、危険物ではないことをチェックして、セキュリティーのスタッフは、「それで、どうやって使うの?」と興味本位にきいて来ます。簡単に、点字の文字は6つの点から構成されていることを説明すると、もっと知りたがるので、この中には、たくさんの私の文章と500冊ぐらい本が入っているのよ。と答えるのです。「点字を書くのは時間がかかるんでしょうね」ということをよく聞かれます。実際、グレード2の収縮点字は普通の人と同じぐらいのスピードで書くことができるのです。質問に全部答え終えると、セキュリティーを通らせてもらいます。

 そして、飛行機に乗り、自分のシートに腰を下ろします。妹は雑誌のページをめくっています。飛行機が滑走路を走り、離陸すると、私はアペックス点字ノートブックを取り出し、文章を書き始めるのです。