海外の部 WBU-AP地域 シニア・グループ 優秀賞
私の人生における点字の重要さとそのクリエイティブな活用
 ベトナム     ドゥオン・ティー・ヴイ(29歳・女性)
 生まれたときは、私も他の晴眼の子どものようにきらきらした輝く瞳をもっていました。でも、悲しいことに10才で私は太陽の輝きをもう見ることができなくなりました。私の未来はそのときから永遠に閉ざされたとずっと思っていました。でも、そんな終わりのない暗闇のなかで、一人の友が障害を克服する私を常に支えてくれました。それは奇跡をもたらした小さな浮き出た点々たちでした。
 初めて両手を点字の上に置いた日のことを、私は今でも覚えています。小さくて弱々しいたくさんの点にさわった時、心がためらいました。ほんの少しでも強く手で押さえたら、その小さい点々は消えてなくなりそうでした。その日、私は指先ですべての感触を試し、数週間後にはすべての点字記号を覚え、読み書きできるようになりました。自分の名前や家族の名前を書き、うれしくて胸がいっぱいになりました。その時から、点字版と点筆が、私が不運を忘れて新しい人生を始める手助けをしてくれました。
 それからの何日かは人生で忘れられない日々です。流暢に点字の読み書きができるようになると、バクニン省の視覚障害者協会から、ハノイ市にあるグエンデインチュウ特別支援学校で勉強するため送り出されました。そこで晴眼の子どもと一緒に学び、多くの困難に向き合いながらも楽しい毎日でした。私は生命に満ちあふれた木のように、毎日点字版と点筆を持って学校に行きました。不思議なことですが、何の変哲もないシンプルな点々だけで世界全体が私の指の下に現れてくるようでした。匂い立つ水田から道路まで。両親の苦労が刻まれています。私を養うために毎日汗水流し一生懸命働いていました。そうしたすべてが、まるで絵画のように私の小さな指の下に現れました。
 両親の励ましと私自身の努力で、勉強や生活の限界と苦境を日ごとに克服し、未来への劣等感はいつしか消えてなくなりました。毎年、学年末には成績優秀賞をはじめとする数々の賞を両親に渡しました。点字を使って歌や楽器の弾き方だけでなくITや英語も学びました。両親は何も言いませんでしたが、とても誇らしかったと思います。心のなかで両親は、点字が不運な娘に大きな変化をもたらした不思議な奇跡に感謝していました。
 英語は世界の多くの国に共通する言語だとわかっていたので、英語を習い始めた日から熱心に勉強しました。教室での授業に加えて、ストリームラインA教科書からも学びました。点字の教科書の数が限られており、他の多くの視覚障害者も英語を学んでいたため、点はかなり平たくなっていました。私は自分で全5巻のコピーをつくることを決心し、ひとりで取り組みました。毎日、あいた時間があればコピーづくりに費やしました。すべてのページを書き写すのに何日もかかりました。何時間も座ったままだったので、手と腰が痛くなりました。ほぼ1年後、ついにストリームラインA教科書全巻を自分のものにしただけでなく、点字を読み書きする能力と英語のスキルも格段に上達しました。
 自分がそのような困難を乗り越えたことが未だに信じられません。おそらく大きな情熱があれば、こうした困難、どんなに厳しい困難でさえも克服する勇敢さが心に備わるのでしょう。私の場合、そのような情熱は点字から指先を通して伝わる感動から日々育まれています。
 点字を学んだ日から10年以上経ちました。これまで、大小いかなる困難も、視覚障害者である私の強い意志の前に敗れました。たとえば教科書や参考書がないときは、授業内容を点字で書き留めたり、録音図書を活用して点字で参考書を作ったりしました。こうした私自身の忍耐と努力、そして先生のサポートのおかげで、学校での12年間はいつも成績がよくクラスで一番でした。さらに高等部での成績が優秀だったので特別にハノイ大学英語学部に入学を認められました。
 今、私は大学の最終学年を迎えようとしています。困難の上に困難が重なりますが、大学でも点字がいつも一緒です。授業ノートを点字で取るのは私だけなので、点字版と点筆のカチカチという音のために頬が紅くなることが何度もありますが、それでも点字を使っています。困難を克服しようとする私のそばには、常に点字があります。複雑な学習プログラム、教科書の不足、私のような障害を持つ生徒を取りまく困難さに、時にはくじけそうになることもありますが、それでも自信と自分の強さを確認するために点字版と点筆を手に取ります。
 2015年、これまでの努力が実り、タイで実施された英語点字の読み書きコンテストに参加するという栄誉を受けました。また同じ年、駐ベトナム欧州代表部協賛ベトナム学生新聞主催で「EUの印象」をテーマにした作文コンテストで3位に入賞しました。そのコンテストには1,000人以上が参加しましたが、10位入賞者の中で障害者は私だけでした。さらに大学の最終学年であるため、学業においても良い結果を維持しようと努力しました。こうした成果は小さいことばかりですが、愛用の点字と何日も努力した結果です。このように夢が大きく翼を持ち上げるまでに、どれほど多くの眠れない夜を過ごし、どれほど多くの涙を流したことでしょう。
 現在は翻訳の勉強のために英語とフランス語の文書を点字で書いています。将来、優秀な翻訳家になることが夢です。そのために自分に言って聞かせています。「勉強、もっと勉強、そしてずっと勉強」と。
 点字は私に自信と楽観的な考え方、そして生き、学び、働き、何かに取り組みたいという気持ちを与えてくれ、私の人生を最もサポートしてくれた友です。そして、これからもそうあり続けるでしょう。点字を発明したルイ・ブライユに心から感謝しています。点字のおかげで、私を含む視覚障害者の未来への道のりが、より広く、より大きく、より明るくなりました。