海外の部 ABU地域 ジュニア・グループ 佳作
技術
イエメン     マストラ・アルゾクリ(20歳・男性)
 一般に、どのような社会においても、障害者は最もケアされるべき存在とされています。そして、芸術、科学、生産における能力や創造的才能が限られている障害者に対しては、社会が、特別なケアや心理的な備え、教育訓練を与えるべきだとされています。多くの場合、障害者は地域共同体を主導する人々によって、厄介者扱いをされています。障害者は、何の能力も技能もなく、非生産的だと思われているのです。この文章では視覚障害者のみを取り上げますが、視覚障害者の苦しみやニーズについて述べ、ささやかな提案で締めくくるつもりです。生まれてから、この文章を書いている現在に至るまでの人生において私が経験してきた苦しみを考えると、もしもこれらの提案が採用されれば、視覚障害者の苦しみは大きく低減されるはずです。
 私たちは21世紀の前半に生きています。21世紀は、知識、技術、そして技術革命の時代と呼べるでしょう。この急速な革命は、生活のあらゆる側面を圧倒しています。その恩恵を受けて、同じ時代に生きている以上、偉大な科学者たちが生み出した技術やその努力を否定すべきではありません。彼らは、発明や技術を独り占めするのではなく、視覚障害者のために役立て、視覚障害者たちが他の人々とより双方向的で近しい関係を築く手助けとすることによって、視覚障害者の生活をより快適なものとしています。
 点字による読み書きの技術は、視覚障害者にとって、革命的なマザーツールです。点字は、6つの点からなる文字や数字を示すコードで、それぞれに1から6まで番号が振ってあり、視覚障害者はそれを手引きとすることによって、どんなテキストも読解し、理解することができます。この技術は簡単に使用したり、学習したりすることができるという特徴があり、その重要性と他の技術がそれに依存していることから、マザーツールと呼ばれます。点字はアラビア語と英語の話し言葉と書き言葉を表し、それによって、インターネットを通じて、視覚障害者もソーシャルメディアに参加することができるようになりました。インターネットの良いところは、強力なプロセッサ付きのカメラを搭載し、盲人が指で指し示したものの写真を撮影して、その写真を分析して、ヘッドフォンで聴ける音声に変換する機能を持ったデジタル指輪です。この指輪はまた、硬貨や紙幣、請求書、道端の障害物などを認識することができます。この指輪はアメリカの研究所で発明されましたが、価格が非常に高いので、広く市場に流通しているわけではありません。
 また、科学者は、視覚障害者が同伴者なしで、一人で歩くための方法を開発してくれました。視覚障害者のために特別に設計されたスマートスティックを発明したのです。このスティックにはレーザーセンサと超音波装置がついており、障害物や障壁、穴や階段などがあると、音や振動で警告し、正しい方向を示してくれるので、視覚障害者も健常者と同じように危険を回避しながら通行することができます。このスティックを使うと、反応速度が上がるので、安全に歩行することもできるし、普段よりも早い速度でのジョギングさえ、自信をもって行うことができます。このスティックは、保健所や薬局で入手可能で、無料で配布している団体もあります。さらに、スマートフォンも視覚障害者にとっての貴重な技術の一つです。スマートフォンのプログラムやアプリのおかげで、友人に電話をしたり、点字や音声入力を用いてSMSに書き込みをしたりすることができます。どんな点字テキストも英語に翻訳してくれるアプリもあるので、健常者がそれを使えば、視覚障害者を理解することができます。
 技術は視覚障害者に多くのものをもたらしてくれますが、これらの技術とそれを本当に使うべき人々との間には非常に大きなギャップがあります。このギャップは主に金銭的なものです。つまり、技術のほとんどは高価なので、特に貧しい社会に住む人々には手が届かず、恩恵を受けることもできません。また、国際組織や研究者には、視覚障害者に対して良質の医療、衣服、食事や良質の教育を得る権利を与える責務がありますが、それがなされていません。さらに、視覚障害者が最も必要としている心理的支援を与える責務も果たされていません。各種の組織は、貧しい途上国に住む視覚障害者が、使いやすくて安価な技術を手に入れられるようにするための研究や科学的調査への支援を、積極的かつ前向きに行うべきです。
 研究者や科学者には、あらゆる所得レベルの全ての視覚障害者に対して、簡単・単純で、安価な技術を提供する義務があります。私たち(視覚障害者)は、弱視者の人でもはっきり見えるようになる光学レンズの発明を待ち望んでいます。そして、技術や新しいテクニックによって実現する、より良い、より明るい未来を求めています。私たちの夢がかなうことを望んでいます。
 以下、まとめとして提案を述べます。ぜひ考慮していただきたいと思います。

  • 全ての盲学校や盲人向け施設に、現代的な機器を提供し、新しい技術が使えるようにする。
  • 盲人を教える教師に対して、それらの新しい技術の使い方の研修を行う。
  • 全ての盲学校や盲人向け施設に、技術者を配置すべきである。
  • 各施設に教育センターを設け、充実したプログラムに基づいて、教師に、現代的な教授法を伝授する。
  • 盲人の学生が数学や物理のような理系の教科を容易かつ効果的に学べるようにするために、教授法の開発や調整を行う。
  • 国家や組織は、盲人に対する全ての教育テクニックに関する十分な支援を行い、彼らがきちんと勉強し、仕事に就いて、普通に生活をするために必要なケアを十分に行うことを誓約する。
  • 発明家は、盲人向けのより易しい教育・学習方法を開発するために、高度科学分野における取り組みを行う。
  • 国際的な企業は、盲人の学生が学習スピードを上げることができるような安価で使いやすい機械装置を提供すべきである。