海外の部 ABU地域 シニア・グループ 佳作
将来の技術とあなたの願望について
 キルギス     アレクサンドル・ヤコブ(32歳・男性)
 「願望とは、優れたものを手に入れるために上を目指そうとする純粋な欲望である」ということわざがあります。創造的で賢明な人々の願望のおかげで、技術の進歩が可能となったわけですから、全くその通りだと思います。ここで私のいう「願望」とは、希望、野心、空想や人間の夢など、いつか実現するであろうことを指します。優れた人々が持つ優れた願望は、技術の発展を前進させます。ですから、私たちは皆、誰かの願望の成果を享受していると言えます。
・ ここからは、視覚障害者のために開発された現代の技術に関して、私が心に抱いている願望やアイデアについてお話しします。
1. 現代の高度な技術は、様々な障害を持った人々のために役立てることができます。様々な公的機関や民間機関でのコミュニケーションにおいて、視覚障害者が案内人を必要としたり、聴覚障害者が手話通訳者を必要としたりすることがよくあります。ですから、私は、そのようなコミュニケーション手段を提供する社会的なコミュニケーションセンターを、地方や国のレベルに設けることを考えています。このセンターは、コールセンターのようにクライアントからのたくさんの電話やメッセージを受け付けて、必要な支援を行います。障害者の社会的統合を効果的に実現するための支援仲介者のような役割を果たし、コミュニケーションにつきものの人的要因による問題の解決を図ります。
2. 次のアイデアは、交通イノベーションに関係しており、視覚障害者が道路を横断する助けとなるものです。路面近傍の約2平方メートルの区域を特殊な点字ブロックや振動式の床材で舗装することを提案します。そうすれば、視覚障害のある歩行者のために安全な区域が確保され、安全に横断できるようになります。
3. 私の次の願望は読書のためのソリューションで、対話式の教育技術を応用したものです。特別にプログラミングされた本やポスターから情報を読み取ることができる特殊な対話型装置があります。この装置を使えば、バーコードに隠された画像情報を読み取ることができます。視覚障害者のニーズに合わせるなら、鉛筆や指ぬきの形にするのもよいでしょう。どのような印刷されたテキストや手書きのテキストも読めるように、機能を拡大することも可能でしょう。実務上では、様々なテキスト情報、デジタル情報や画像情報を特定するために用いることができるでしょう。
4.ハイテク産業は、専門職についている視覚障害者の生活を容易にすることもできます。強い意志の力と技術の進歩のおかげで、今では、ほとんど全ての科学知識分野に盲人が関わるようになりました。高度な数学を勉強している人もいます。私の知る限り、高度な数学を勉強するには特殊な計算機を使います。今では、数字を読みあげてくれる計算機は珍しいものではないので、特殊な計算機にもスピーチ機能を付けて、視覚障害者にも使いやすくすればよいのではないでしょうか。そうすれば、同じカリキュラムで勉強できるので、広大な科学的基盤の恩恵を十分に得られるようになるでしょう。
5. 将来、盲導犬の役割を果たすかもしれない新型の機械式の犬のことを考えたことがありますか?実は、ロボット産業は10年以上もの間、それに取り組んでいるのです。新しいモデルが開発され、改良が重ねられています。現在入手可能なモデルのロボット犬にはキネクトセンサーがついており、障害物や階段があっても誘導することが可能です。また、先行モデルよりもスムーズに階段を上り下りすることができます。現在、音声コマンドを取り入れ、より正確な方角を示すことができるようにGPS機能を付加する研究が進められています。こういった試みは、本物の犬の技術的クローンを作成するのに似ています。これには、大きな欠点が二つあると思います。まず、人間には、生き物がもつ多くの機能全てを備えたクローンを、命の通わない物体として作成することは、決してできないということです。さらに、命の通った本物の盲導犬がそばにいるということは、必要な時に命を救うことができる親友がそばにいることを意味するからです。
6. 視覚障害者は、以前よりもずっと自由で独立した生活を送るようになっています。視覚障害者が抱く最も素晴らしくかつ希望に満ちた願望の一つは、盲目のドライバーのための自動車を設計することです。このアイデアが実用化されれば、盲人や視覚障害に関する多くの社会的偏見をなくすことができると思います。もちろん、最初は、特に晴眼者にとっては、ありえない、馬鹿げた話と思われるかもしれません。しかし、そのような車は既に開発され、試験にも合格しているのです。盲人のための自動車が、少なくとも今世紀中に、盲人ドライバーの手が届く価格で入手できるようになり、法的な障壁もなくなるとはちょっと考えられませんが、有効な利用方法が一つあります。F1レースのような場で、特別な訓練を受けた盲人ドライバーが運転するのは可能でしょう。ひょっとすると、将来、一般的になるかもしれませんよ。
7. 風の日や雨の日には自然の音が邪魔になるので、視覚障害者が外出するのは特に難しいです。いつか、安全かつ効果的な通行を可能にする特別な防音装置ができればよいと思っています。おそらく、自然の音と人工の音は特性が違うので、互いに遮音することができるでしょう。遮音と言ったのは、車などの騒音や人が発する音など、ある種の人工音は通行の助けになるからです。さらに、現在では、情報機関向けの特別な防音装置が既にできています。おそらく近いうちに、技術産業界でも広く使われるようになるでしょう。
 様々な事柄について考察してきましたが、ここで、私の最も大きな、かつ現実的な願望について述べたいと思います。それは、現在利用可能な視覚障害者のための技術や将来開発される技術の全てを、地球上の視覚障害者の大多数の人々にとって、手の届くものにして欲しいということです。現在ある技術のほとんどは、平均的な所得の視覚障害者にとっては、高すぎて手が届かないからです。