国内の部 学生の部 特別賞(小中学生対象)
「夢にむかって」
和歌山県立和歌山盲学校小学部6年 菅田 利佳(すがた りか)
(12歳・女性)
 わたしは、ピアノとバイオリンを習っています。小学校3年生までは、耳からの情報で音楽を勉強してきました。ピアノの先生は、わたしがわかりやすいように、練習曲を右手、左手と片手ずつ、指番号を言いながら録音してくれました。また、わたしはほかの人が演奏している姿を見ることができません。そんなわたしに先生は、舞台での歩き方、おじぎのしかた、ピアノをひくときの姿勢や表情までこまかな指導をしてくれました。演奏に必要な手首やひじの動きのイメージをつかめずにいると、先生が演奏している手の上にわたしの手を重ねたり、からだを触らせて教えてくれました。わたしは、先生のおかげでピアノをひくことが大好きになりました。
 しかし、練習曲が複雑になるにつれ、耳からの情報だけでは音楽を再現することが困難になってきました。もっと音楽を勉強したいと思い、点字楽譜を覚えることにしましたが、点字楽譜を覚えるということは、簡単なことではありませんでした。なかなか楽譜を教えてくれる人と出会えなかったからです。楽譜を教えてくれる人をさがしているとき、わたしと同じ年齢の視覚障害のある友だちに出会うことができました。その友だちも、わたしと同じようにピアノを勉強していました。同学年の視覚障害のある友だちがいなかったわたしには心強い友だちになりました。
 点字楽譜は、音楽科のある東京、大阪、京都の盲学校の先生にお世話になることになりました。先生方は、初めて会うわたしにとても熱心に教えてくれました。わたしは、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 暗号のような点字楽譜を読み取ることに苦労しましたが、少しずつ理解できるようになりました。ピアノとバイオリンの楽譜では、音符などの基本的な記号は同じですが、バイオリンは、弓の上げ下げや弦を表す記号、ピアノでは、右手左手記号やペダル記号など、ほかにもたくさんの記号があります。今でもわからない記号がときどき出てきます。両方の楽譜を覚えることはたいへんですが、楽譜を読み取り、演奏できたときは、とてもうれしいです。
 ピアノの練習方法は、まず左手で楽譜を読みながら右手をひき、次に右手で楽譜を読みながら左手をひきます。そして、両手を合わせて演奏します。初めのころは1小節ずつ覚えてひいていましたが、今では4小節ずつ一度に暗記してひけるようになりました。最後まできちんと覚えてひくことは、とても たいへんです。そのようにして練習した曲を先生に聞いてもらいます。最初のころは、指番号や音などをよくまちがえ、先生に注意されましたが、だんだんとまちがいも少なくなってきました。使用する点字楽譜は、ボランティアのみなさんが点訳してくださったものを使っています。ボランティアの人とは、一度も会ったことがありません。でも、わたしのために何カ月もかけて楽譜を点訳してくれました。いつか、直接会ってお礼が言いたいです。点字楽譜を覚え、細かい記号まで読み取ることができるようになり、わたしの中での音楽の幅がとても広がりました。
 わたしは、たくさんの先生方やボランティアの方々のおかげで、今まで音楽の勉強を続けてくることができました。音楽を通して多くの方に出会い、今では親友と呼べる友だちにも出会うことができました。そして、わたしは夢をもつことができたのです。将来は音楽の先生になりたいです。障害のあるわたしに、夢をもてるよう指導してくれた先生のようになりたいと思います。これからも感謝の気持ちを忘れず、もっとたくさん、音楽を勉強し、夢をかなえたいです。