国内の部 学生の部 特別賞(小中学生対象)
「かわった自分」
長野県立松本盲学校小学部6年 矢澤 彩夏(やざわ あやか)
(12歳・女性)
 わたしは盲学校にきて、自分らしさを出せるようになった。
 保育園のころは、正直行きたくなかった。それは、みんなは楽しそうに遊んでいるのに、わたしだけ先生と2人で教室にいたからだ。みんなのにぎやかな声が聞こえて、聞こえないようなふりをしようと思ったのだけれど、やっぱり聞こえてしまって、自分もみんなと遊びたいと思っていた。双子のすずかには友だちがいっぱいいて、家にも遊びに来ていたけれど、わたしには友だちがいないと思っていた。
 小学校に入学しても、やっぱり友だちができなかった。みんなと授業を一緒にやりたかったけれど、朝の会が終わると、わたしは一人、弱視学級に行かなくてはならなかった。そのことが、楽しくなかった。休み時間も友だちが声をかけてくれるのではなくて、先生と2人で遊んでいた。3年生になって、少しずつ友だちができて、家にも遊びに来てくれるようになった。すずかの友だちでなくて、わたしの友だちだ。まほさんとつばささんが来たときは、今まで友だちがいなかったから、すごくうれしかった。
 わたしには目の見える友だちはいなかったけど、見えない友だちは小1から、いた。
 弱視学級の友だちだ。それは、ゆきさん。ゆきさんは、わたしより一つ年上だ。ゆきさんはわたしと同じように見えないから、わたしの本当の気持ちが言える。自習のとき、2人でこっそり読書の間に、ちょこちょこしゃべったのが楽しかった。でも、ゆきさんもわたしよりは普通学級で勉強することが多くて、ゆきさんが行ってしまうとさみしかった。このころから、わたしは盲学校に行きたいと思うようになっていた。それは、見える人たちは、やることが早いからもっとゆっくりと勉強したいと思うようになったからだ。
 わたしが5年生になるとき、盲学校に転校してきた。初めは家を離れて、話をする家族もいなくて、うちに帰りたいと思っていた。だけど、1学期が終わるころに盲学校の友だちができてからは、楽しくなってきた。わたしは盲学校に来て、かわったと思う。大きくかわったのは文化祭のとき。小学部で最上級生だったわたしは、小学部の発表を小2のことこさんと2人で協力して考えることになった。初めは進行をどうやっていいのかわからず、なかなかすすまなかった。しかし、練習が進んでいくうちに、みんなをまとめることや、進行も上手になっていったと思う。普通学校にいたときは、みんなをひっぱるのはむりだと思っていた。やろうとも思っていなかった。しかし、文化祭で小学部の発表をまかされたり、みんなをリードしている先輩たちを見たりしているうちに、わたしもやってみたい、「見えなくてもできる!」と思うようになってきた。今までやったことがなかった、人を引っ張ることがわたしにも少しだけど、これからできるんじゃないかと思うし、やってみたい。
 今年、わたしは盲学校の隣にある旭町小学校のみんなと修学旅行に行く。その話を担任の先生から聞かされたときは、保育園や低学年のことを思い出し、普通学校のみんなと修学旅行はいやだなと思った。旭町小には友だちがいなかったので不安ばかりだった。でも、社会見学に一緒に行ったり、寄宿舎に遊びに来てくれたりして、友だちもだんだんできてきた。でも、盲学校の友だちのように自分の気持ちが言えるまでにはなっていない。「それ、わたし、自分でできるから」と、言いたいこともあるけれど、言ってしまうと関係がくずれそうで言えないでいる。今はまだ言えないけれど、言えるようになりたい。これからも、もっとかわれると思う。
 そのために、自分からたくさん話をしたい。楽しい修学旅行に自分の力でしていきたい。
 今までわたしは、将来の夢をもっていなかった。旭町の見える友だちもだんだんできてきて、自分を振り返るようになって、将来のことを考えるようになった。わたしは将来、見える人と一緒に仕事をしたいと思っている。そして、見えない人と見える人をつなぎたい。どんな仕事がわたしにできるのか、わたしがやりたい仕事はなんなのかを、これからゆっくりと考えて、それに向かってがんばっていきたい。
 今まで出会った人たちと、旭町小6年1組のみんなにありがとー!!