■海外の部 ABU地域 佳作
 (ジュニア・グループ)
「視覚障害教育で国がなすべきことは?」 インド カンリス 19歳・女性

教育はきらめく宝石のように貴重である
文字を読むことは誰にとっても必要だ
この世に知識よりすばらしい富などない
だから、世界中の人々は知識を賛美する

 教育は人生を洗練されたものにする。誰かがこうも言った。「知識は人を礼儀正しくする。礼儀正しさからは将来性が生まれる」と。人間としてふさわしい成長は教育なくしては不可能である。教育がすべての人に必要であるのなら、障害者にとって、とりわけ視覚障害者にとっては不可欠である。
 教育は晴眼者と視覚障害者とでは意味が違う。識字委員会によると、「読めること(reading)、書けること(writing )計算(arithmetic)出来ること」の3Rを出来る人が「読み書きの出来る人」とみなされるという。それは晴眼者にとっては正しいかもしれないが、視覚障害者にとっては知的、物理的・身体的、精神的、そして経済的に自立しない限り識字は何の意味もない。そのためには質の高い教育が不可欠なのである。
 現在、教育に関する考え方には、(a)インクルーシブ教育 (b)特殊教育の2つの考え方がある。
(a)インクルーシブ教育― インクルーシブ教育のもとでは、ある地域の学校に専門的な訓練を受けた教師が、視覚障害児童を1週間に1回あるいは2回訪問して教育をする。しかし、これでは児童の総合的な発達には不十分である。なぜなら視覚障害児童は晴眼の児童と比べてよりきめ細かい配慮が必要だからである。加えて、インクルーシブ校では視覚障害児の適切な発達に必要な施設、環境、周囲の健全な態度が不足している。そのため、初等教育をインクルーシブ校で行うのは望ましくない。
(b)特殊教育 ― 視覚障害児童は8年生までは、専門的な訓練を受けた教師によって、十分な科目数、点児板・点筆などの点字用品、点字教科書、ブレイラー、スポーツ用品などのある学校で教育を受ける必要がある。子どもたちは点字の仕組み、算数などの基本的知識を初等クラスで学び、代数、幾何、地図の読み方などを6年生以降に学ぶため、8年生までは特殊学校で教育を受けるべきである。この時期の教育は特殊学校だけで可能である。

その他の重要な提案
 インクルーシブ教育は9学生から行うべきである。しかし、インクルーシブ教育でさえも問題はある。視覚障害児はインクルーシブ校では、体に異常があるのではないか、病気なのではないかなどという態度で見られることがある。彼らは他の生徒から孤立してしまうことが多い。それは視覚障害児・生徒が教師から十分に評価されず、教師には子どもたちへの十分な配慮が欠けているからである。クラスメートは視覚障害児を哀れみの目で見る。これらの学校では視覚障害児に必要な施設や設備が不足している。そのような環境では視覚障害児の総合的な発達は望めない。
 視覚障害児関連のインクルーシブ校は、(1)必要かつ適切な施設・設備 (2)適切な環境 (3)健全で協力的な態度―の3つの重要な点に注目するべきである。
(1)必要かつ適切な施設・設備
 視覚障害児の教育のために、インクルーシブ校の教師は最小限必要な基本的訓練を受けるべきである。そうすれば、教師は子どもたちのニーズや可能性を理解し、確認することができる。一般的に、視覚障害児の家庭は貧しいことが多い。そのため、教科書、タイプライター、地球儀、コンピューターなどは貸与、または与えるべきである。
(2)適切な環境
 視覚障害学生の健全な身体的・精神的発達にはゲームやスポーツが必要である。視覚障害児童・生徒は徒競走、走り幅跳び、円盤投げ、二人三脚、クリケット、ルード、チェスなどのスポーツやゲームを容易に行うことができる。必要なのは適切な励ましと助言である。白杖(はくじょう)での移動が楽に出来、落ちてケガをしたり、重症を負うことがないように校舎および周辺を安全にすることが必要である。例えば、穴に落ちないように覆いをし、階段やスロープをつける。このような環境があれば、視覚障害児童は学校で十分な教育を受け、社会に出てから成功を収めることができるだろう。
(3)健全で協力的な態度
 インクルーシブ教育と並行して、教師やクラスメートは視覚障害児に対し、前向きな姿勢で接することが必要である。同情心を捨て、子どもたちの能力を伸ばすよう努力する。教育で彼らを援助すると同様に、卒業後の職業についても準備することが大事である。また子どもたちは学校で行われる教育文化関連の催し物に参加することも必要である。
 インクルーシブ校では、他の子どもたち同様に、視覚障害児は縫い方や編み物などの技術も学ばなくてはならない。これらすべてに健全で協力的な態度が欠かせない。
 視覚障害児にとって良い教育とは、西洋のインクルーシブ教育とインドの特殊教育を適切に組み合わせた混合型だと思われる。それに関して、D・ラママニ博士は「西洋のやり方だけでは視覚障害者の利益にはならない」と強調している。インクルーシブ教育は、経費面では節約になるが、特殊学校の重要性を無視してはならない。なぜなら視覚障害児童は、知識、マナー、点字、算数、初等科学といったものを特殊学校で学ぶのである。
 著書「私たちとあなた方、そしてその子どもたち」の中でラ・アドバーニは、子どもたちは一人一人違ったニーズを持っていると述べている。そのためにも、クラスの人数は少人数に限られるべきで、そうすれば一人一人のニーズと能力を把握しやすい。ニーズに対応した配慮ある教育は、彼らが可能性と思いやりのある市民になる一助となるのである。

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