■海外の部 ABU地域 優秀賞
(シニア・グループ) 
「視覚障害教育で国がなすべきことは?」 インド バボージャ・ラムジャ・チューデュリー 36歳・男性

  教育界における基本的なイデオロギーは二つあり、それは「分離」と「統合」である。その考え方をインドにおける視覚障害者の教育で具体化したものが「分離学校または特殊学校」システムと「普通学校」システムである。
 インド政府と州政府は、国や地方レベルのNGO団体と協力して、すべての視覚障害児童に対し学校教育プログラムを運営している。この努力を真の成功にするために第一に必要なのは、学齢期の視覚障害児童の特定と、子どもたちへの適切なサービスの提供である。

対象領域
 失望させることを書くが、学齢期の視覚障害児童・生徒の正確な数や彼らが受けている教育基準と教育内容を評価する広範囲に渡る調査報告はない。2002年のNSSOの報告書では、視覚障害のある5歳から19歳の人数は63万3000人と発表している。インド計画委員会傘下のマンパワー応用研究所は、視覚障害児の5歳から14歳までの数は約85万人、そのうち弱視の生徒は43万2400人と報告した。
 少し前のNUEOAの統計によると、普通学校で学ぶ視覚障害児童・学生数は24万9200人。AICBのサンプル調査によると、400校ある盲学校で学んでいる生徒数は約3万3000人とのことである。これらの数字は古く、すべてが検証できるものではないが、学校教育を受けているのは4分の1以下だということは十分に裏づけが可能である。

視覚障害児童の教育の外観
 視覚障害のある子どもたちは盲学校で正規の教育を受ける。彼らは統合教育とインクルージョン教育プログラムを通して教育を受け、普通学校で行われている地区初等教育プログラム(DPEP)と「すべてのための教育」が行っているプログラムにも参加することができる。教育の領域は教育委員会が作成したカリキュラムにある教育プログラムと教育活動、それと一般社会で必要な教育スキルに刺激を与える付加的カリキュラムである。

質の高い教育のための必要条件
 1.質の高い人材
 教師は適切な資格を有し、教師をはじめ教職以外の職員、例えば、支援機器の指導職員、図書館職員などは、自分の仕事に対する明快なビジョンを持たなくてはならない。彼らは視覚障害児童の教育的ニーズを理解する重要さと必要性を納得する必要がある。点字、数学、幾何学や科学、学習機器の使い方の習得なども必要である。
 2.質の高い教材
 子どもに焦点をあてたアプローチ、指導法、テクニックを学ぶ一方で、教師は教科書、参考書、余暇に読む本などを可能な限り、点字や音声版で図書室に常にそろえるよう学校に働きかける。普通学校の管理者は、視覚障害に配慮された黒板や白板、CCTVなどの使用、またロービジョンの児童にはメガネ、レンズ、拡大鏡などの使用を働きかける。さらに、学校は視覚障害児に点字枠、インター・ポイント・フレーム、テイラー・フレーム、そろばん、幾何学で使う学習教材、白杖(はくじょう)などを無料または補助金で提供する。
 3.質の高いサービス・システム
 すべての視覚障害児の特定と児童が、適切な教育プログラム、教育システム、学校に組み込まれるには質の高い教育サービスの実施が必要である。普通学校の管理者は視覚障害のあるすべての子どもたちに視力検査、視機能検査、視覚刺激などを学校教育以前に行うよう制度化すべきである。この制度のもとでは、学校は「支援機器の提供」「情報とコミュニケーションへのアクセス計画」「子どもの教育的ニーズに沿った教育プランの準備」などのサービスを整備する。彼らはまた視覚障害児が入学する前に点字の読み書き、支援機器の使い方、方向・移動などについて指導を行う。

課題の割り当て
 インドの経済状況、憲法上の責任、国際社会への貢献、国連に加盟していることなどを考えるとインド政府、NGO、市民が、何らかの課題を与えられるのは当然であろう。視覚教育の荒地が、視覚障害児童にきめ細かい配慮をし、質の高い教育を行うことによって達成感という緑地にかわることが出来る。
  1. 視覚障害者の人数に関するデータベースを準備し、学校教育を受ける資格のあるすべての視覚障害児童を特定する。
  2. 地域の学校や社会的に高く評価された人たち、そして地域が協力して、すべての視覚障害児童の特定と、教育的配慮を実現するために活動する。
  3. 視覚障害児のニーズに即した教育の必要性と重要性を草の根レベルで絶えずアピールする。
  4. 普通学校に通う視覚障害児に移動・方向などの訓練を指導するために、メーンストリーム校のすべての教師に研修(初等教育の学位を与えるなど)を行う。
  5. 地区やブロックごとに、盲学校の現場の教師、普通学校で視覚障害児の教育にかかわる一般教師に対し、オリエンテーション・プログラムや再研修プログラムを作成する。
  6. 視覚障害者に関連する現存の法令や憲法の条項の実施に向けて、期間に制限のある資金を活用する政策やプログラムを実行する。サービスの実施、教材・資材の調達、技術開発、研究開発、教師・計画立案者・学校管理者の研修や訓練を円滑に行うために関係機関、施設、センター、関係企業の数を増やし、サービス能力を強化する。
   まとめ
 教育はすべての子どもたちに与えられた憲法で規定されている権利である。したがって、政府、NGO団体、メディア、地域が密接に関係し、質の高い教育、つまり本当の教育を受けることができる環境を彼らに提供する活動に寄与するのは義務であり責任である。


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