M-5000R TECHNOLOGY
新開発「DIDRC(Dynamic Intermodulation Distortion Reduction Circuitry)」技術
可聴帯域を越える高い周波数の音は私たちの耳には聴こえません。しかし聴こえる場合もあるのです。それは複数の高周波波形による相互間のビートが、ある条件下で可聴帯域内信号として変換されるからなのです。このビートとは、複数の周波数の波形が合成されると、その差の周波数成分が発生する現象のことです。
例えばデジタル音声信号などの高周波波形自体は聴こえませんが、それらの周波数が近接して存在すると、ビート現象によって可聴帯域内に余分なノイズを生成してしまうということです。これが混変調歪というもので、特に音声信号と相関を持ったノイズの発生は有害です。楽器等では複数の音色が混ざり合い、ハーモニーとなって美しい響きを作り出してくれます。しかしオーディオ装置では勝手にビートを作り出さないように配慮する必要があります。
スペックで書かれているSN比の値は、信号の無いときの残留ノイズレベルを表します。前述のビートによるノイズは、残留ノイズのレベル以下なので、測定器では計ることはできません。しかし、残留ノイズより遥かに低いレベルで含まれる楽器の倍音が識別できるのと同様に、ビートによるノイズはたとえそれが低いレベルであっても、人の耳には音色の変化として感じてしまう可能性は否定できません。
従来これらのノイズの悪影響は高調波歪率(THD)や可聴帯域内混変調(IM)を少なくすれば良いと考えられてきました。しかしながら、これらの測定項目はアナログオーディオ時代に制定されたもので、ディジタルオーディオで発生する高周波での問題は想定していませんでした。
オンキヨーはこれら測定値には表れない動的ノイズの発生メカニズムを究明し、高周波帯域まで増幅性能に優れ、上下の対称性が良く、低歪率を達成した新回路DIDRC(Dynamic Intermodulation Distortion Reduction Circuitry)を、モジュール化することでM-5000Rの増幅器に搭載しました。
あらゆるスピーカーを確実にドライブするためのテクノロジーを結集
M-5000Rのパワーアンプ部は、アンプの地力ともいえるスピーカードライブ能力向上のために、回路自体の裸特性改善に着目し、歪率や周波数特性などスペック改善のためのNFBを最小限とした独自のワイドレンジアンプ技術「WRAT(Wide Range Amplifier Technology)」によるディスクリート構成を基本としています。
さらに、入力とNFBのポイントが1点となる正確な負帰還を実現する回路方式を採用。増幅回路が2つ接続される2段構成とすることで、2段目の入力感度を下げ、聴感上のS/N向上に貢献しています。また、前置増幅部はモジュールで構成された応答性能の優れた回路を採用しました。
また、出力段の超低歪率を実現する独自の3段インバーテッドダーリントン回路には、クアッドプッシュプル出力段を搭載。出力段からのNFBをわずか12dBに抑え、瞬時電流供給能力:HICCが150Aを誇るという低歪み&超強力な出力段によって、ドラムやピアノのアタック音など瞬時の立ち上がりにおいて、現信号に極めて近い再生能力を獲得しています。
外部機器との接続での伝送ロスを抑える端子部
アナログRCA入出力端子には、金メッキ真鍮削りだしタイプを採用。
※XLR端子の接続は、BTL接続によるモノラル使用時に限ります。
高い電源供給能力を可能にする強力な電源部
M-5000Rには、オーディオ回路専用に磁束漏洩が少なく筐体内の他の回路に影響を及ぼしにくい大容量のトロイダルトランスを2基搭載。チャンネル独立でパワーアンプ±B電源のみを供給するという、余裕のあるツインモノラル構成の大型電源回路により、チャンネル間の干渉を限りなく小さくしています。また、厚さ1.2mmの純銅バスプレートをグランドラインに用い、グランド電位の安定化を実現しています。
振動抑制を徹底。シャーシ構造をはじめ梁構造によるフローティング回路支持方式を採用
筐体内部の各パーツは、音楽再生時に発生する不要な振動を受けると、音声信号とは異なる電流を発生させ、これが音の質感を曇らせるノイズに結びつきます。これは回路基板に使用されるコンデンサーなどのパーツ類がマイクロホンの役割になり、スピーカーの音圧によって内部に響いた振動を拾ってしまうことに主な原因があります。
M-5000Rでは、フロントパネル・サイドパネルには剛性の高いアルミ押出し材を、底板には肉厚のスチール板を使用。相互の振動の伝播を防いでいます。また、通常は底板に固定する回路基板についても、振動の影響を限りなく小さくするため、前後または左右に渡した梁に固定する手法とし、底板からの振動の影響を防いでいます。