新曲のアイディアはどこから湧いてくるのですかという質問に、「たとえば、この机の脚が5本あったら・・・」と目の前にした当たり前の光景から、突拍子もない発想をどんどん繰り広げていく、感受性豊かな松永貴志さん。今回お話してくださった作曲にまつわるエピソードを知ってオリジナル曲を聴くと、また違った楽しみ方ができそうです。

松永貴志さん プロフィール
(まつながたかし) 1986年1月27日、兵庫県芦屋市生まれ。ジャズピアニスト。5歳の頃よりピアノ、オルガンを始め、10歳でオリジナルCDを発表。15歳には「松永貴志プロデビューリサイタル」を実施する。
17歳の年の5月にデビュー・アルバム「TAKASHI」を発表。ベストセラーとなり、各種メディアにも多数取り上げられる。6月から7月まで初の全国ツアーは大成功を収める。翌年にはグラミー賞受賞アーティスト、ボビー・マクファーリンと共演。また、全米、およびヨーロッパ(イギリス、ドイツ他)、アジア各国から 「STORM ZONE」(邦題「MOKO-MOKO)を発売し、 ブルーノート・レーベル65年の歴史上、最年少のリーダー録音記録を作った。
テレビ朝日系「報道ステーション」のテーマ曲として<オープン・マインド>を作曲・演奏するなど、その活躍は止まるところを知らない。今後、日本のみならず、世界各地での活動が期待されている20歳。 東芝EMIより4タイトルCD発売中。


阪 井
  この間は東京でのライブを拝見させていただきました。超絶技巧といいますか、本当に素晴らしい演奏で聞き惚れてしまいました。 男性ファンも多いようですね。
松 永
  久しぶりの東京でのライブで、以前とはお客さんの層も少し変わっていました。
男性ファンも大歓迎ですよ(笑)。

―― ホームシアターは憧れですね。
(マリンシアターの説明を聞いて)
松 永   ホームシアター買いたいですね。将来家を買ったときには絶対欲しいですよ!
ホームシアターは憧れです。
(扉に隠されたサブウーファを見て「おお〜」と唸る。)
(THXのデモCDから「ジャングルサウンド」を聴く。)
松 永
  サウンドがすごく立体的ですね。
これでオーケストラ演奏をやると面白いでしょうね。スピーカーがオーケストラに合わせるのではなく、オーケストラがスピーカーに合わせたり。立体サウンドを再生するように、マイクの位置を最初から配置調整して録音するんです。現在はサウンドは後処理的で行っているので、もともとそれを行うといいですね。
阪 井
  S席の音、みたいな(笑)。
松 永
  ピアノを車輪つきの台に載せて、演奏しながら動かしたり。聴いている方も「ピアノが動いてる」的な、マイクの周りをまわって、それを立体的にサウンド再生できる、というような・・・実験音楽ですね。マニアックではない実験音楽。
阪 井
  ぜひ挑戦してください。
松 永
  立体サウンド・・・音楽も再生技術とともに発展して行かないといけないと思います。
音楽に合わせてスピーカーも発展したんだけど、スピーカーに合わせて音楽も発展してもいいと思います。 実験的で、かつわかりやすいものがあってもいい。
阪 井
  今は立体サウンドは映画を中心に発展しているので、音楽にもぜひ応用してもらいたいですよね。
松 永
  いかに生演奏に近い音へということだったのでしょうが、再生技術を生かした新しい録音の試みがあって もいいですよね。
(スター・ウォーズ エピソードIIIを観る)
阪 井
  スター・ウォーズは映画館で観られたのですか?
松 永
  いえ、映画館にはほとんど行きません。
スターウォーズは全部好きです。スターウォーズの日にしようと思って、1日で全部みました。
(効果音を聞きながら・・・)
松 永   これは音の効果をあとで臨場的に入れてますが、音楽部分は立体にはなってないですよね。音楽も最初から立体的に録音していると面白いと思います。
松 永
  大きい画面で映像がメチャクチャキレイだなぁ。ふだんはなかなか見られないので。

―― 世の中に面白いことってたくさんあるじゃないですか。
阪 井
  ピアノの道に入られたきっかけは?
松 永
  父親がジャズ好きで、その影響もあってジャズピアノの世界に入りました。中学のときに理論を習ったくらいで、あとはほとんど自己流です。
阪 井
  多くのピアニストの方々は英才教育を受けたりしているようですが…。
松 永
  そういうことを考えると最初から型にはまってないので、僕は特殊といえば特殊ですね。クラシックも中2くらいから始めました。
阪 井
  オリジナルも多いようですが、どういうふうな発想で作曲されるのですか?
松 永
  世の中に面白いことってたくさんあるじゃないですか。
例えば、この机の脚が5本あったらどうだろうとか、そういうことを考えていくのが好きです。それを音楽の中に取り入れたいと考えています。普段みんなが当たり前に過ぎていくところを、当たり前に過ぎないようにするというのでしょうか。セミが鳴いていたとして、よく聞くとセミって変拍子で鳴いているじゃないですか。自然のもので一定のものってないと思います。そういうものを音楽に取り入れてもいいんじゃないかって。 新譜「無機質オレンジ」もそういうことをいろいろ取り入れています。


阪 井
  タイトルもいろいろとユニークですよね。「宿題」とか。
松 永
  あれは高校に入って宿題の量の多さに驚いたことをきっかけにできた曲です。「宿題」のテーマメロディーも特に4/4拍子にあてはまらないものです。無理やりあてはめたというか。
楽譜って地図みたいに指し示すだけのものじゃないですか。クラシックは間違えることを気にするようなものですが、間違えたらそのように楽譜を書き換えてしまえばそれが正しくなるわけです。そういうことを試しています。
阪 井
  メジャーデビューして変わりましたか?
松 永
  それは生活も含めてかなり変わりました。それまでは関西だけで活動していたのですが、ニューヨークやヨーロッパなどあちこちを回るようになりました。1年後の自分というのが想像できないです。濃い時間です。ブルーノートから最年少記録と言われたり。普通では経験できないようなことを経験したり、とても充実した10代でした。

―― ハナワのように(笑)
阪 井
  ニューアルバム「無機質オレンジ」について教えてください。
松 永
  これは10代でいろいろやって来たことを集めたような感じです。
「TAKASHI」から2年、その間に経験してきたことを全部詰められたらいいなと。
阪 井
  曲の内容はどんな感じです?
松 永
  スタンダード3曲、あとはオリジナルです。
(「無機質オレンジ」を聴く)
阪 井
  タイトルの「無機質オレンジ」というのはどういう意味があるのですか?
松 永
  都会的な中に冷酷なものがあったり、その緊張感を表現したかったんです。食べ物の中に、たんぱく質とかいろいろあって、無機質は注目されにくいですが、それと、食べ物の中のスーパースター?オレンジの組合せです。
松 永
  「ダンダンダン」はディキシー的なものと、イマ的なものを組み合わせました。
阪 井
  いろんなジャンルの音楽の要素が散りばめてありますよね。
レコーディングの時のエピソードとかありますか?
松 永
  「鬼が島」という曲はレコーディングの時に急にできた曲です。
阪 井
  なぜ鬼が島なんですか?
松 永
  もとは岡山でできていたんです。鬼を退治しにいく闘志むき出しで。
あとは「神戸」とか。これはホームタウンのイメージです。
阪 井
  WEBでも試聴しましたが、キレイでやさしい曲ですね。神戸のイメージにぴったりです。
松 永
  この曲は難しいことはできるだけ何もやらずに作った曲です。これは、「神戸」の何かに使ってもらえないですかね(笑)。「モコモコ」は福岡で作った曲ですし、「ナイト・リバー」は芦屋川です。 3月からツアーに出るので日本全国あちこちの曲を作ったりして。ハナワのように(笑)
(「LOVERS」を観る)
松 永   これはすごいですよね、あり得ないことだけどすごい!アジア大陸系、面白そうですね。
中国はあり得ないことをなんでもやってしまうんでしょうね。大きい画面で見ていると、場面の中の住人みたいになりますよね。一緒に映画の中にいるみたいですよ!
阪 井
  ポップスとかロックとかは聴かれますか?
松 永
  たまには聴きます。ヒット曲などは流れてくるものは聴きますが、自分からは買ったりすることはないですね。
(モントセラト島救済コンサート ライブDVDを観る)
阪 井
  サラウンドのライブ感をお楽しみください。
松 永
  なるほど。これもすごいですね。
みんなが楽しんでやってますよね。お客さんも演奏する側も これが本当の音楽ですよね!

―― さらに跳躍していきたいな、と。
阪 井
  今後の抱負を教えてください。
松 永
  20歳にもなりますし、10代の整理をして、さらに跳躍していきたいな、と。
30歳までに世界一のピアニストを目指しています。100%の力を出し切る、ということにチャレンジしたいと思っています。僕はジャズにはこだわっていないので。
ビル・エヴァンスが神様、バド・パウエルが神様って言っていても面白くないじゃないですか。聴く側はいいんですが、演奏者側は尊敬した上で柔軟に変えていくということなので。自分の中でいろんな要素を取り入れて行きたいと思います。
今後、僕らに刺激されて若い世代がどんどん世に出て行ってくれるんじゃないでしょうか?
阪 井
  新たな境地をどんどん開拓していかれるわけですね。
今後もさらなるご活躍をお祈りいたします。

東京八重洲のマリンシアターで顔を合わせて、ふと気づいたのが、ゲストの松永さんもONKYOスタッフも、みんな関西在住ということ。ONKYOは本社も大阪府寝屋川市。「関西でお会いすればよかったですね〜」と大笑い。それでもONKYO自慢の地下視聴室、マリンシアターは東京だけ。わざわざ足を運んでいただいた甲斐はあったと信じています。(ちなみに本社にはマンハッタンの夜景をイメージしたシアタールームがあります。)(阪井)


★ サイン&メッセージ

松永貴志さんにサイン(右)と、
ヴォイスメッセージ(下)をいただきました。

松永 貴志さんヴォイスメッセージ

松永 貴志さんサイン

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<今後の活動など詳しい情報はこちらまで>
松永貴志さん オフィシャルページ http://www.takashi-matsunaga.com/

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