舞台やテレビ、映画で活躍中の白井晃さん。最近ではオペラの演出やひとり芝居に挑戦するなど幅広い活動が注目されています。稽古場で大音量で聞いているので、自宅では静かに音楽を楽しんでいるという白井さん。この日は最高級のホームシアターで心ゆくまで音楽と映像を堪能していただきました。

白井 晃さん プロフィール
(しらい あきら) 1957年5月21日生まれ。大阪府出身。俳優。演出家。舞台のほか、映画・テレビドラマ出演も数多い。1994年「ラ・ヴィータ」(演出・出演)で平成6年度文化庁芸術祭賞を受賞。2001年の舞台演出活動全般と2002年の「ピッチフォーク・ディズニー」「クラブ・オブ・アリス」で第9回・第10回の読売演劇大賞優秀演出家賞を連続受賞。
三谷幸喜作品でもおなじみの俳優であり、三谷幸喜初のミュージカル作品「オケピ!」の2000年の初演ではサックス奏者を、再演の2003年には真田広之に代わって主演のコンダクター役を演じた。



最新出演映画の「チェリーパイ」やテレビ初出演のドラマ「王様のレストラン」などの話題に花を咲かせながら、 役者の道を選ばれたきっかけからインタビューはスタートしました。

「最初、演劇は嫌いだった・・・・」
ONKYO
どうして役者さんになろうと思われたのですか?
白 井
いや、本当に高校まではむしろ演劇は嫌いなほうで。映画には興味があったのですけど。なんとなく生身でやっている芝居に対して、気恥ずかしさを覚えたところがありましたね。京都で浪人していた時に演劇に初めて出会いまして、アンダーグラウンドな芝居ばかり来る、京都大学の西部講堂という場所があったのですけれど、そこで本当は浪人生活をしているはずなのに、何気に観に行っちゃったのがきっかけで。今までの自分の演劇観念が吹き飛ばされてしまいました。それまでは演劇というものは、キレイな劇場でやっているものだと思っていたものですから。テントで芝居をしたり、廃校で芝居をしたり、能楽堂でやったりとか、そういうのを見て目から鱗だったわけです。俄然、演劇に魅せられていきました。自分ひとりでは何も出来ないと思って、一体自分に何が出来るのだろうと悩んでいる時に、演劇はいろんな人々の力が集まってできるもので、自分もその一要素になれるのでは、そう思わされましてね。それで大学に入って演劇を始めたわけです。早稲田大学の演劇研究会と言うサークルが西部講堂に来て、それを観た時に猛烈なショックを受けた。他のアングラ劇団がハチャメチャで、ものすごい勢いだったものですから、その中に入って行けるほどの勇気は無かったですね。ところがその早稲田大学の演劇研究会のメンバーは同世代で、同世代の人間がこういうような事をやっているのかということに非常に心打たれてしまいまして。方針を転換しまして、京都から東京に出て早稲田に行こうという風に思って。 今度は、早稲田大学に入学したんですけども、まるで演劇研究会に入学したような。(笑)
ONKYO 大学のサークルではよくそういうパターンありますね。
白 井
音楽の方なんかでも、やっぱりジャズ研にしか行っていないみたいな人いますよね。
ONKYO 音楽学部卒業で経済学クラブみたいな人もたくさんいらっしゃいますね(笑)
ところで早稲田の演劇というと、今でも現役の大物俳優さんがたくさんいらっしゃいますよね。
白 井 初代幹事長が森繁久弥さんです。
ONKYO 凄いですね。
白 井
小沢昭一さんとか、僕と同世代だと鴻上尚史さんとか。まあ、今でも出身の方でがんばっている役者さんは結構いらっしゃいます。

三谷幸喜さんとの出会いから、テレビ出演のお話に
ONKYO
三谷幸喜さんの作品によく登場されていますが、三谷さんとの出会いはどんな感じだったのでしょうか。
白 井
僕は「遊・機械/全自動シアター」という劇団を作っていまして、同時期に劇団を立ち上げられた仲間がたくさんいました。ちょうど80年代に小劇場のブームみたいのがあって、時代の流れなのですけどね。野田秀樹さんの芝居とかとか、つかこうへいさんの芝居とか、たくさんの若者が演劇に流れた時期がありまして、その頃に同世代でやり始めてたのが三谷さんだったんです。ただ三谷さんは日芸1出身で、大学では演劇をやってらしたんですが、僕と出会った時は、自分の劇団をやりながら、放送作家もやっておられたんです。
TBSのある番組で、小劇場のグループを紹介するという番組の放送作家ををされていたんですね。若手の面白そうな劇団を4劇団選んで紹介すると言う時に、僕達の劇団の芝居を観に来てくれて、それで気に入って下さって呼んで下さったんです。それがきっかけで、交流が始まりました。三谷さん、僕の事を俳優としてどういうわけか気に入って下さいまして。自分の劇団のお芝居に、時々、声を掛けて下さっていたんですが、僕の方も自分の劇団の公演があったりとかで、なかなか出る機会が無くて、あれやこれやで7年8年経ったのかな、「王様のレストラン」を、自分の発案で連ドラを書くと言う事で電話が掛かって来て、で、「出てくれませんか?」と。「白井さんテレビとかって出ませんよね?」って言われて。「出ない訳じゃ無いですけど、機会がなかったし、自分の世界とは違うと思ってましたが。」って話しをしているところに。「でたらめなフランス語でメニュー読むの得意でしょう。」とか言われて。確かに芝居でそういうのやってたんですけれどもね。それで出演することになって。それが初めてです。
 
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日芸:日本大学芸術学部
ONKYO 「王様のレストラン」では大庭金四郎というソムリエの役で出演されていましたがソムリエ姿がお似合いでしたよ。
白 井
あの時は本当に始めてやらせて頂いて。全然演劇と勝手が違ったので、自分の芝居を映像で見た時にかなり落ち込みましたね。
ONKYO またどうして落ち込まれたのでしょうか?
白 井 下手くそだなと思って。やっぱり映像の芝居と演劇の芝居って、表現の方法が微妙に違って、どうしても大きくやっちゃい過ぎるんですね。演劇関係者の人達もみんな良く言われるのですが、初めて出た時、声が大きすぎて音声が割れるとか、そう言うような事をよく言われます。まあ、もうテレビのお仕事なんて二度とないなと思っていましたけど、その後あれを見て頂いた方々から色々とお話しを頂くようになって。というような感じでしょうか。
ONKYO でも舞台でのお芝居だと最初からストーリーでずっと進んで行くのですが、テレビとか映画だとやっぱりラストシーンから撮ったりと言う事あったりしますよね。その辺の気持ちの入れ方が難しいなと思うんですけど。
白 井 そうですね。自分で組み立てるしかないですね。本当は時間経過的に言えば、これとこれ、ちょっと順番通りに撮ってくれればなあ、って思う事もあったりしますけどね。
ONKYO 役者さんって、本当にその気持ち切り替えが素晴らしいと思います。いつも尊敬して見ています。
白 井 いやぁ、みなさんどうか分からないけど、僕なんか完璧に失敗したと思う事もありますもんね、順番を勘違いしていて、あれ、こういう流れだっけ?みたいな感じで、「そうか、じゃあ、このシーンはこの表情じゃなかったなあ。」という事もありますよね。

ONKYO なるほどねぇ。お仕事柄映画も色々とご覧になっていると思いますが、「アメリカンビューティー」がお好きだということでしたので、ちょっと観てみましょうか。
(「アメリカン ビューティー」を観て) 「演劇的な映画ですよね」
ONKYO ケビン・スペイシーがお好きだという事ですが彼の出演作品の中では、やはりこの「アメリカンビューティー」が一番ですか?
白 井 そうですね、もちろんあの「LAコンフィデンシャル」観てこの人すごいなと思ったのが結構大きかったんですけど、その後色々観ていて、同世代の俳優さんなので興味があって。俳優さんとしてやっぱりうまいって思わせる方ですよね。
ONKYO 結構この時の役は、今までの“切れ者”というイメージではなく“情けない男”という役ですよね。
白 井 それがかえって好きだったんですね。言ってみれば、ケビン・スペイシーは本当はこうなんじゃないかと。
ONKYO なるほどねぇ
白 井 彼の地がそのまま素直に出ているのじゃないかと思えた。僕なんかも、どっちかと言うと輪郭がはっきりした役柄をやるケースが多いんですけれども。そうじゃない役柄のほうが本当は興味がある。自分で、自分を投影しながらやれるっていうのは、やりがいがありますよね。
それからこの映画、やっぱりそのランディー・ニューマン2の音楽がかなりものを言っているような気がします。
 
2 
ランディー・ニューマン:映画音楽家 「アメリカンビューティ」の音楽を担当
ONKYO そうですねぇ。
白 井 印象的なシーンに、主人公が恋する少女の胸元から、花びらが大量に出て来る所がありますけれど、突然、予想しない音楽がグーンと入ってくるのがすごく効果的なんですよ。やっぱりサム・メンデス3が元々演劇畑の人なので、ああいうシーンを見ると、演劇人が作った映画っていう感じがするんです。
 
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サム・メンデス:舞台・映画監督。「アメリカンビューティ」にてアカデミー監督賞を受賞
ONKYO 演劇人がつくったという感じですか なるほど。
白 井
初め見た時は「何なんだこれは!」と思ったんですね。この感覚は何だろう、映画にしてはおかしいと思ったんです。サム・メンデスのプロフィールを見たら演劇人で「キャバレー」を演出してるって知って、ああ、それでこうなるんだと納得しましたね。
ONKYO なかなかそういう観点で一般の方は観られないと思うんですけどね。
白 井
ものすごく演劇的だというのが。
(映像をみながら)これなんか圧倒的に演劇的!
とても演劇的だなぁという風に思えたのは、急に空間と時間が移動していく。それをいとも簡単に出来ちゃってる所があって。どうしても映画の場合は、シナリオも監督もそこまでの飛び方をなさらないですよ。やっぱり時間軸を流れにそってちゃんと作られる。
ONKYO 飛ぶ?
白 井
平気で飛ぶ。芝居をやっている僕達は、制約された空間しかないので、時間と場面を飛ばない事にはイメージが膨らまない。飛んでいかない事にはどうしても世界が広がらないものですから。僕はどちらか言うとそういうのがとても好きなもので。例えばシカゴの監督も演劇畑の人ですけれども、この方も同じ感覚があります。
舞台を作っている人の映像ですよね、正にそんな感じがして。
ONKYO では、ちょっと「シカゴ」も観てみましょう。
同じような“演劇的”な映画「シカゴ」を観る
白 井
これも古典で、舞台は昔どこかで観た事があったんですけど、リメイクされた舞台が発端でこの映画が作られましたけど、舞台以上の迫力がありますよね。
ONKYO どの場面がおすすめでしょうか。
白 井
オープニングのオールザットジャズの所もいいし、あそこもうまくやっていましたよね、操り人形の場面も。
ONKYO 主役のロキシーがリチャードギア扮する弁護士と記者会見する場面ですね。
白 井 (映像を観ながら) そうです、そうです。どこも面白いんですけど、これ大変だったろうなぁ・・・
編集が・・・凄いなあ、見事に編集されている。
ONKYO これは確かに舞台で観たいですね、このシーンは。
白 井
う〜ん。ボブ・フォッシー4の「キャバレー」がとっても好きで、やっぱりこの「シカゴ」とか元々ボブ・フォッシーの作品は、近しい雰囲気がありますよね。あのいかがわしい「キャバレー」っぽい感じ。(笑)
 
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ボブ・フォッシー:「キャバレー」でアカデミー監督賞を受賞、20世紀ミュージカル史上最大の演出家
(ついつい画面に引き込まれてしまう白井さんとスタッフ)
白 井
今回演劇関係者の映画ばっかり選んでしまいましたね。
ONKYO いや、逆に、なんかそういう見方があるんだなと思いました。映画に観るもうひとつの視点という意味で勉強になりました。

ONKYO
さて音楽の方ですが音楽の趣味も、事前にお伺いしたアンケートによるとバッハから菊地成孔からすごい、なんか広範囲という感じがしましたけど。
白 井
いやぁ、何を書いて良いのか、なかなか絞れなくて、その時、その日の気分というのがであって。例えば芝居なんかでも、クラシックを多く使っている時期なんかは、もうやたらクラシックばかり聞いたりだとか、映画音楽の方に興味が行くと、そればっかり。一時期はランディ・ニューマンに凝って、いやあ、もうはまってしまいまして。ランディー・ニューマンが曲を書いている映画は全部調べて、集めない事には気が済まないとか。全部調べましたね。だから日本で公開されていないものまで集めて。
ONKYO
全部集めないと気がすまないというお気持ちよくわかります。
何か聞きましょうか。何が宜しいでしょうか。(CDが山積みされて)
この中から選ぶのが大変かもしれませんが。
白 井
何が良いですかねぇ。ピアソラなんかも、良いかもしれませんね。
タンゴの革命児 アストロピアソラのCDを聴く
ONKYO
結果的にはお仕事の関係で聞くということが多くなるのでしょうか?
白 井
そうですね。多いですね。本当に個人的にプライベートで聞くとなるとジャズとかボサノバか、クラシック。気持ちが良いとう意味で、ちょっとリラックスしたい時に聞きたくなってしまいますね。このCDはこういう状態で初めて聴きますね。
(CDを聞きながら)
良い。良い環境で聞くとやっぱりまっさらに良いですね。やっぱり。
ONKYO
独特の哀愁というか、その何とも言えない、日本人好みと言いましょうか。
白 井
そうですね。なんとも言えないメランコリーな感じ。
ONKYO
メランコリーな感じ・・・演奏は、なかなかこの日本人はこのスピリットは出せないと思います。
ONKYO
音楽がお仕事に影響を与えた事とか、自分のお芝居に活かされると言いましょうか。そんな事ってありますか。
白 井
う〜ん、もうそれは圧倒的です。音楽と、演劇を切り離しては考えられない。僕は演出にかなり音楽を取り入れるタイプだと思います。演出を考えると時に音楽をシンクロして考えるケースが非常に多いです。例えば、こうやってこの音を聞いていて、じゃ、この曲は、どんなシーンが良いんだろうかと想像しちゃいますよね。この曲が流れていて、悲しいシーンじゃなくて、むしろ明るい風景が展開されていればと思ってしまう。後ろでこの曲が流れていると、プラスアルファな意味が生まれてくることがあるのかもしれない、っていう風に。
ONKYO この先何か悲劇が訪れるのではないか、みたいな。
白 井
この場面が、時間を経た時にどういう風に見えてくるのか、想像を膨らませることが出来るとか、そういうことが多いですねぇ。
ONKYO
お芝居とか映画、やっぱり音楽が果たす役割が非常に大きいと思いますね。音楽だけ聴いて、がぁっと昔観た映画の一場面が蘇ったりと言うのは良くありますからね。
白 井
そうですね。
(しばし音楽を聴いた後)いいですねぇ。
ONKYO
ジャズ系も聴いてみましょうか。ジョン・コルトレーンなんかいかがですか?
白 井
はい。コルトレーンは色々な名曲があるのに、僕は何といっても「My Favorite thing」が好きなんですよ。
ONKYO
コルトレーン臭いってのありますよね。
白 井
あると思うんですけどね、「My Favorite thing」と言う曲がすごく好きというのもあるんですけど。初めて映画の「サウンドオブミュージック」で、男女のカップルが歌うのを聞いた時、なんて変な曲なんだと思ったんですよ。(笑)

ジョン・コルトレーン「My Favorite thing」を聴く
ONKYO

この曲は結構色々な人がカバーしていますよね。

白 井
そうですね。
ONKYO
逆に、えっ?この曲サウンドオブミュージックの曲だったのって言うくらい一人歩きしていますよね。
白 井
そうですよね。でも、出だしがものすごく印象深い。このコルトレーンのはね。そしてメロディーラインが出てきた時に、何て言うんでしょうね・・・もっていかれちゃうんですよね。大学時代にジャズ喫茶がたくさんあったんですね、そこで初めてリクエストした曲がこれですね。
で、ああいうお店で、学生で19、ハタチくらいの時リクエストするっていうのは、周りの人たちに自分のセンスを問われていることのような気がして。
♪e-onkyo music でも ジョン・コルトレーン「My Favorite thing」を配信中
ONKYO ジャズ喫茶独特の雰囲気がありましたね。
白 井 「なんだ、あんな曲をリクエストしやがった。」みたいな感じがあったりして、甘く見られてるんじゃないか、っていうのがあるんですよね。で、そういうのがあって、凄くきばっちゃうんです。だけどでもどうしてもこれが聞きたくて。
ONKYO ジャズ喫茶のオヤジってすごい拘りって言うか・・・
白 井 拘っていますからね。
コーヒー一つ頼むのにしても、ミルクとかお砂糖とかを使ったら、フンって、バカにされそうな感じが。
ONKYO

何だよブラックで飲まないのかよみたいな。(笑)


コンサートの話から 白井さん主演のミュージカル「オケピ」5のDVDを観ることに。
「オケピ」の秘話も飛び出しました
 
5 
「オケピ」:三谷幸喜作・演出のミュージカル。オーケストラピットが舞台となった作品で白井さんは再演時に主演の指揮者役を演じる
ONKYO
コンサートやライブに行かれたりとかはあるのですか?
白 井
行きます。でも、最近は行くのが自分の趣味と言うより、お仕事の繋がりで、と言うのが多くなって来たのは事実ですけど。ミュージシャンの方々とも毎日の様に一緒に仕事をしているので、そういう繋がりだったり、そういう事が多いのは事実ですけどね。
ONKYO
「オケピ」なんか、結構あの布施明さんとかホントすごい一流の男優さんとご出演されてますよね。オーボエ奏者を演じておられた布施明さんのコンサートに行これたことはありますか?
白 井
ええ、と言うか、もう布施さんは昔から子供の頃からファンでしたので。
ONKYO
そうなんですか。「オケピ」を観ていてやっぱり布施明さん、いい味を出しておられて。娘さんのことを歌うシーンがありまして、あれは涙が出ましたね。あのシーンはね。
白 井
8分間の歌で、布施さんは魂を込めて歌っておられますからね。やっぱりすごいですよね、すごい歌手ですよねぇ。
ONKYO じゃあ今日はやっぱりオケピをちょっとここで観たいなと。
白 井
あぁぁぁ。あははは。はぁ、久しく観て無いですね。
ONKYO これは3時間10分くらいの、すごい作品で。初演からリメイクのときに確か三谷さんが短くするという事をおしゃってましたね。
白 井 そうなんですよ。
ONKYO 結局は3時間40分。
白 井 長くなっちゃったという。初演のとき休憩を入れて3時間半だったのが、再演の時に3時間40分になっちゃったんですよね。
ONKYO 天海祐希さんとのデュエットした場面を観てみましょうか。
白 井
あれは再演の時に生まれた曲ですね。
ONKYO ああ、そうなんですか。
白 井 初演の時は無かったんですよ。初演もDVD出せばいいのにな、と思っているんですけどね。
ONKYO 初演のコンダクターはどなたでした?
白 井
真田さん。真田広之さんです。
真田さんがラストサムライに出ると言う事になって、僕に回って来ちゃったんですよ。もう初め驚きましたよ。えええ!!!真田さん出来なくなったんですか。ええ!大変だなぁと、他人事のように、どうするんだろうと思ってたんですよ。そしたら三谷さんに呼び出されて、「いや、実はですね。」って言われて。夜中の11時くらいです、「白井さんちょっと話しがあるんです」って。
(画面を見て)ああ、懐かしいなぁ。
ONKYO (「オケピ」を観ながら)これって指揮の練習をされましたか?
白 井 しましたね。かなり。初めは楽にやっていたんですけど、青山劇場は大きな空間だったんで、この映像の時よりもどんどん大きくやっていくようになった覚えがあります。
結構きつかったですね。やっぱりタクトを振るというのは物凄い運動なんだということが判って・・・
本当に身をもって知りました。指揮者のみなさんは、普通のタキシードでは合わないらしいですね。肩の筋肉が肉厚で。そういう風に聞きました。
ONKYO
逆に段々胸のあたりとか肩のあたりとか筋肉が付いて行きますよね。
白 井 僕も実際この舞台を3ヶ月その間に随分ここに筋肉がつきました。終わってから元に戻っちゃったけど。
ONKYO 戻る。
白 井
本当にこうするので(指揮の格好をしながら)、芝居ですので、見栄えがするように思いっ切り大きく動かすものですから。それは良いエアロビでした、ははは。
ONKYO で、ああいう衣装をつけておられるから、すごいですよね、1回1回終わるともうくたくたじゃないですか。あの3時間のステージが終わると。
白 井 まだこれは東京公演の時のDVDなのですけど、その後、名古屋があって大阪があるんですけど。大阪公演の時に初演の真田さんが見に来てくださって。ラストサムライ終わって。で、お会いした時の写真が残っていたんですけど、もっと痩せてまして。別に何かやっている訳じゃないんですけど。1日2回公演が多かったものですから、3時間40分が1日2回あるという事はですね、舞台上に8時間近く乗っていることになるんですね。ホテルにはただ、寝に帰っている。また次の日、開演時間になると、ああ、「始まっちゃうよぉ。」という感じなんですよ。皆そうなんです。「ああ、始まるぅ!始まったら8時間あるぞぉっ。」そんな感じでして。
ONKYO
本当に三谷さんの作品はチケットが取れないのですよ。今。
白 井 そうでしょうね。
ONKYO 多分これもすぐにソールドアウト。発売数時間で、ソールドアウト。
白 井
確かにそうだったですね。



最近の活動などのお話を聞く
ONKYO
最近の活動として、「アンデルセンプロジェクト」6という一人芝居に挑戦されておられますよね。一人芝居は本当に大変かなという風に思いますが。いかがでしたか?
私、他の俳優さんの一人芝居も拝見したことがあって。大変だろうなと思ったんですけど。
 
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アンデルセンプロジェクト:アンデルセン生誕200年を記念して、アンデルセンを生んだデンマークの「ハンス・クリスチャン・アンデルセン2005」から、ロベール・ルパージュが制作を委嘱された一人芝居
白 井
そうですね。僕も二人芝居まではやった事はあったんですけど、一人芝居は初めてだったものですから、この年で一人芝居かぁ、と思ったんですけど。それもロベール・ルパージュという世界的な演出家で、彼の作品のファンでもあったので、どういう作品になるのかも初めは分かなかったんですけれど、私に白羽の矢を立てて頂いたので、それは喜んでという事に。喜んでいたんだけど、う〜ん、苦しかったですね。と言うのは僕がやるのは、彼自身が現在自分で上演している作品の日本語バージョンだったので。まあ、ほとんど自己演出と言うか、稽古は自分でひとりでやらなくちゃいけなくて。ロベールは映像の魔術師と言われていて、演出に映像を多用されているんですね。その映像と演技のシンクロを体で覚えなきゃいけないのと、台詞が圧倒的に多くて、さらに早いんですね、ベラベラ喋りまくらなくちゃならない。でも、4月、5月、6月、7月、この4ヶ月と言うのは1本の作品にずっと集中していたというか、まあ今になって思うと楽しかったですね。
ONKYO
やっぱり、役者さんにとって、一人芝居をやるというのは一つの夢というか、大きなチャレンジみたいな意味合いがあるのでしょうか
白 井
そうですね、ただ僕は一人芝居っていうのを一概に面白いと思っている訳では無くて、一人でやる意味があれば面白いと思うんですけど。ルパージュの作品は一人芝居ではあるんですけど、たまたま出ている人が一人であるだけで、スタッフを含めると20人くらいが裏にいて大道具とかを動かしている訳なので。僕自身が、えぇ?こんなに裏に人がいるの?と言うくらい人がいる舞台でしたから。確かに舞台上は一人ですし、結果的には5役くらいやってるんですけどね。チェンジ、チェンジ、チェンジで、それがめまぐるしいんですけど、着替えたり、カツラ取ったり。
ONKYO
そういうチェンジがあるんですね。
白 井
はい、ありましたね。だから俳優のワンマンショーというのではなくて、一つの作品として、魅力的なものになってるいるから素晴らしいと思いましたけど。
ONKYO
なるほど 一つの作品として成立するという考えですか。
白 井
一人はパリのオペラ座のプロデューサーで、一人はカナダ出身の作詞家の役で、もう一人はモロッコ出身の移民青年、という3つの大きな役どころがありまして。それをチェンジしながらやっていくので。
ONKYO
全く違うシチュエーションですね。
白 井
そうですね、ちょっとだけ過去に戻ってアンデルセン自身をやってみたりとか、女性になってみたりとかいう所があって、もう・・・
ONKYO
それは本当に見たかったですね。
で、あとなんかオペラの演出も手がけておられますが 最近は演出をやる機会が多いのですか?
白 井
そうですね、演劇の方も最近演出の方が多くて。来年は、自分も出て演出と言うのが1つありますが、後は演出なので。でも、面白かったですね。僕は音楽に興味がある方なので。オペラだとスコアがあるので、ちゃんとメロディーやリズムが決まっている。要する、一旦始まってしまったら止まらないわけですよね。演劇の場合は、台詞という一つのコードはあるけれども、まあ、それをどういう風に自在に操ろうが、止まろうがわりと自由で。相手がこう出ればこう出るというのがありえるんですけれども、オペラでは、指揮者が変えない限り、一定の速度で進んで行く訳ですから、そういった意味で、そういう規制の中に物語をきちっとはめ込んでいく作業というのが、今までとは違うアプローチだったので、自分にはとてもいい刺激になりました。
初めは、オペラの演出って、どういうことなんだろうと思っていたわけなんです。既に曲は決まっているし、題材は決まっているし、後は美術空間だとか、ビジュアル面を創造して行くのが演出家の役目ではないのかなと思っていたんですね。いやいや、あにはからんや。やってみると、歌手の皆さんに、いかに心象を歌に乗せるかと言う事について、改めて議論してみたりして、最終的にはなんだか、役者に演出するみたいに細かくやってました。(笑)

ONKYO
さて今後の活動についてお聞かせください。やっぱりメインはお芝居っていう風に考えておられますか?
白 井
そうですね。ストレートプレイも大好きですし、面白い作品に出会えればジャンルに拘らず、何でもやりたいです。古典であったり、海外の戯曲で面白いものであったり、最近の若い作家が書いた作品とか、そういう作品と出会いながら、自分でも刺激してやっていきたいです。
ONKYO
やっぱりもっとたくさんの人にお芝居を知って欲しいと言うのはあるんじゃないですか?最近色々なメディアが出て、DVDもあり、CDもあり、音楽配信もあり、その中で、でも生のステージが一番だと思うんです。生演奏であったり、生の舞台と言うのが、その感動をもう一回を聞きたいが為に、CDがあるとかDVDがあると思いますよね。
白 井
ほんとそうですよね。
ONKYO なんかチケットが取れにくいといって 気軽にチケットも取れて、なんかそうもっともっと観れたらいいなと思いますけどね。
白 井
そうですよね。いや、取れるものはいくらでも取れるんですけどね。取れないものは取れない・・・そうなんですよね、偏りすぎているんですよね。人気のある俳優さんが出てるとか、人気のある演出家とか作家の方のものにはお客さんが集中するんですけれど。
入らないものはまたこれが全く入らない。それは映画でも何でも同じ事なんでしょうけど。
ONKYO
インディーズ映画なんかもそうですね。単館映画のインディーズで、色々と難しいのかなとか思ったりしますね。そういういう意味では、なんか、物としては良いのになかなか皆の目に触れていないコンテンツと言いましょうか。一杯あるというと感じましたね。
白 井
そこ難しい所ですよね。広がって行きたい、ポピュラーな物を作って行きたいっていうのと、自分で良しと思った物を突き詰めていきたいという気持ちと、そのへんのかね合いがね。
ONKYO

さて12月から「アラカルト」という舞台が始まりますね。
これはずっとシリーズで展開しているようなんですけど途中から見ても大丈夫ですか?

白 井
ええ、全然大丈夫ですよ。ちょっとお馴染みなキャラクターも出てくるんですが、初めはちょっと驚かれるのもあるかもしれませんが、慣れると・・・
ONKYO
レストランが舞台ですよね。
白 井
一日の話です。いろんなキャラクターが出てきて、役者3人とゲスト1人で8シーンくらい色々キャラクターを変えて毎年やるというシリーズです。今回のゲストは「レ・ミゼラブル」でもお馴染みの石井一孝さんです。
ONKYO
白井さんはシェフ役かなにかですか?
白 井
いや、店のオーナー役やっていまして。オーナーだけではなく、客をやったり、女性の客もやったり、老人の客の役をやったり、色々やるもんですから。
ONKYO

それはすごく楽しみですね。
これからもすてきな舞台をたくさん私達に見せてください今日はどうもありがとうございました。

白 井
こちらこそ本当にありがとうございました。

<白井 晃 公演情報>
『HYSTERIA(ヒステリア)』
 2007年 2月13日〜3月3日 東京 シアタートラム
 2007年 3月9日〜3月12日 長野 まつもと市民芸術館 実験劇場
 【出演】
串田和美、荻野目慶子、朝比奈尚行、白井 晃
 【問い合わせ】
世田谷パブリックシアター TEL:03−5432−1526
まつもと市民芸術館 TEL:0263−33−3800 

次回は女優 田中美里さんをお招きいたします。お楽しみに。

<インタビュアーの感想>
個人的には三谷作品が好きということもあり白井さんの作品は数多く拝見していました。演劇と映画の違いや三谷さんとの出会いなど楽しくお話させていただきました。今後のより一層のご活躍をお祈りいたします。(田中)
全体のお話を通してとても紳士的なお優しい方だと思いました。最近見たドラマの中では悪徳刑事役をやってらっしゃいました。役柄とお人柄が一致しないということを身をもって体験いたしました。またお芝居の世界に興味を持つきっかけを与えてくださったように思います。今後も活躍されることを楽しみにしております。(曽根)

★ サイン

白井 晃さんにサインをいただきました。



<白井 晃さんに関する情報はこちらでチェック>    遊機械オフィス