■国内の部 特別賞
「私と点字楽譜」  福岡県立柳河盲学校中等部3年 高木智代(15)
 
 私は、幼稚部の時から点字を勉強し始めた。でも、小学部1、2年のころは、墨字(普通の文字)を使っていた。拡大読書器を使って文章を読んでいたため、一文字ずつしか読めなかった。だから、読むのもとても遅かった。また、読むことにだけ集中してしまい、内容などもほとんど理解できていなかったので、先生にもう一度、読んでもらうこともあった。
 そこで、小学部3年の時からは、ほとんど点字を使うようになった。練習するうちにだんだん読むのが速くなってきた。そして、4年の夏に出会った「ハリー・ポッター」の本に私は夢中になった。点字の本で100ページ以上のものが8冊あったので、墨字を使っていたころには、絶対に読めなかったと思う。それまでは、あまり本を読まなかった私だったが、この本のおかげで、読むのがとても速くなった。そして、本の楽しさも知った。「点字を使えばこんなに速く読めるのだなぁ」と思い、楽しかった。だから、点字という視覚障害者にも読める文字があって、よかったと思う。
 そして、点字の本があることと同じくらい感謝したいのは、点字の楽譜があることだ。私は音楽が大好きだ。6才の時から、ピアノを習っている。そして、小学部2年の時からは、学校で琴も習い始めた。5年で楽譜を習うまでは、耳で聞いた曲を、音を探して弾いていたので、音が違ったり、少しずつずれていたりすることもあった。でも、楽譜にはきちんと正しい音階が書いてある。上手く読めていれば、音を間違えて覚えることもないのだ。点字楽譜があることは前から知っていたが、読み方を知らなかった私は、「なるほど! こんなふうに読むのだなぁ」と思った。これなら、知らない曲でも、自分で楽譜を見て弾けると思い、嬉しくなった。
 しかし、点字は指で読むため、墨字の楽譜のように、読みながら両手を使って弾くことはできない。だから、何かを弾こうと思っても、すぐその場でというわけにはいかないのだ。ピアノの場合をいうと、まず右手、それから左手というふうに、覚えなければならない。他の楽器の場合も同じである。だから、すぐにすべてを覚えるのは、そんなに容易ではない。けれども、一度覚えた曲は、なかなか忘れないのも事実である。前に弾いた曲なら、少しの練習で、すぐにまた弾けるようになる。これは、点字ならではの面倒な点であり、うれしい点である。
 またもう一つ、点字楽譜には良いところがある。墨字楽譜は五線譜なので、音の高さの差が大きいと、「ド」がここだから、「レ」「ミ」「ファ」などと数えることもあるが、点字楽譜は上部6点が音の高さを表すので、一目でどの音なのかが分かってしまう。
 私は楽譜が読めるようになって、今までより音楽が好きになった。ピアノを習い始めたころは、先生の弾く音を聴いて、それから鍵盤の位置を教えてもらっていた。だから、初めて楽譜を見ただけで、一つの曲を弾けた時は、本当にうれしかった。「やったー! 自分でも楽譜を見て弾けた!」と思ったからだ。そして今では、ピアノのレッスンで習っている曲や、音楽の授業で学習した唄の伴奏なども弾けるようになった。ただ一つ残念なのは、琴の点字楽譜を知らないことだ。点字楽譜があるのかさえ、知らない。でも今は、琴の先生に熱心に教えていただいているので、困ることはない。それでもいつか、必要になるかもしれない。もし、きちんとした楽譜がないのならば将来、作られたらよいなと思う。私は、ピアノと同じくらい琴が好きだ。だから、これからも続けていきたいと思っている。
 まだまだ点字楽譜は普及していないと思う。読めない人もたくさんいる。良いところ、大変なところ、それぞれにあるが、私は点字が、そして点字楽譜があることをとてもうれしいと思っている。また、もっともっと点字楽譜の本が増え、いつでも健常者とともに音楽を楽しめたらよいなと思う。点字を発明したルイ・ブライユと、点字、それを教えてくれた先生方に感謝したい。そして、もっとたくさんの人と、音楽を楽しみたい。

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