■海外の部 アジア太平洋地域 Bグループ(25才以下) 優秀賞
「生きる力を与えてくれた点字と音声機器」
アシュレイ・ジェーン・ブルックス 19才 (オーストラリア 女性)
 
 私はほかの子供たちとは違って、4才の時から幼稚園で点字を勉強しはじめました。そのときは、意味のない馬鹿馬鹿しく思えるつまらないカード遊びが、自分の生活にどんな意味があるのか、まったく理解できませんでした。しかし、いったん点字の構成がわかると、私は驚くほどのスピードで本を読みあさりました。学校に行く5分の間でも本を手から離さずに機会があれば、寸暇を惜しんで点字を読んでいました。
 授業中でも点字を読んでいることが一度ならずありました。間違いなく読み物としての点字が、私の生活の中で大変重要な意味をもってきました。フィクションやノンフィクションに限らず、人物やさまざまな事象を取り上げた読書が、私の世界を広げてくれました。これまでの人生の方向付けをしてくれたのも読書でした。
 私にとって印象深く勉強になった小説があります。それは、子供を身ごもり母親となる若い少女を、あるソーシャルワーカーが支援していくものでした。そのとき、私はまだ11才でした。
 私は今、大学で社会学を学んでいます。点字を通して読書の幅が広がったばかりか、点字は教育の面や将来の人生設計にも大変役に立ちました。
 学生時代を通して、使う教材は私を補助してくれる人がいつも点字にしてくれました。でも時々、先生は教材を点字にしないでそのまま宿題として出すのです。その時、先生は決まっていいわけをします。その言葉を聞くたびにストレスがたまるのですが、「あなたのために誰かに読んでもらった方が良いと思って……」と言うのです。そんな時、私は、先生方は例えば天文学の複雑で長い文章を誰かに読んでもらったことがあるのかしらと思ってしまいます。
 10才の時に、点字のピンディスプレイ(触読読書機)をもらいました。最初は点字タイプライターの方が好きでしたが、高校に進むようになると、逆に点字は何か時代遅れのような感じを持ちました。しかし、勉強が進むにつれて結局は、大学から貸し出されるコンピューターによる電子データよりも点字によるものが一番だということが分かりました。
 こうした経験を通して、点字と連動するコンピューター操作にも慣れました。今は、いつでも膨大な量の点字書を持ち運ぶ必要もなく、ベッドの周りに積み重ねた収納スペースを気にすることなく、点字のピンディスプレイを使っていつでも、次々と新しく浮き出てくる点字教科書を読むことができるのです。
 以前は、ジョーズ(JAWS)というソフトを使って音声電子データで読んでいました。しかし、音声で読むのは時間がかかり、時には出された課題を仕上げるために期限の延長を願い出なければならないこともありました。今は点字を使うことにより、格段にスピードが上がり、健常者の学生と肩を並べて勉強ができるようになりました。確かに以前はいろいろな音声機器が私の生活に大きな影響を与えていましたが、今では私には、音声機能付きコンピューターが、点字にとって変わるということは考えられません。
 各種の音声機器は、視覚障害者の自立に、とりわけコミュニケーションの部分では大変貢献していることは確かです。例えば、Talxという音声出力ソフトのお陰で、携帯電話器のほとんどすべての機能が使えるようになり、インターネットにもうまくアクセスできるようになりました。また、もっと大切なことは、SMSを使って地球の隅々までコミュニケーションができるようになったことです。
 私は、点字と点字の読み書きの重要性についてこれからも訴えていきます。もし視覚障害者に出会ったら、いかにほかの魅力的な代用機器があったとしても、点字の技能を高めることの大切さを強調していきたいのです。私達はできればどこでも点字や音声機器を使いたいのです。点字により世界が広がり、いろいろな分野でさまざまな仲間と一緒に肩を並べることができるのです。点字の携帯用ピンディスプレイと点字の能力とがよく組み合ってこそ、点字の明るい展望が開け、私がこれまで歩んできたように、より多くの機会に恵まれ、生活が豊かになるのです。

このページは音声読み上げソフトに対応するため配慮していますが、
本来の読み方とは異なることがありますので、ご了承ください。


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