■国内の部 特別賞
「初めてのフルート」     福井県立盲学校中学部3年 木原裕恵(14)

 九月二十六日、盲学校の文化祭があった。私は初めてフルートの演奏をした。フルートは、昨年の四月に始めたばかりで、練習の成果を完全に発揮することはできなかった。それどころか、他の奏者の音を聞く余裕もなかったのが実情だった。でも、ずっとあこがれてきたフルートを、文化祭という大舞台で演奏することができて、とても嬉しかった。
 わたしは、文化祭でフルートを演奏することを通して、いろいろな発見ができたと思う。評価できる点も、反省すべき点も、沢山見つかった。ただ発表するだけではなく、日頃気づかなかった、いろいろな発見ができた機会になった。
 まず、音楽部員の練習する姿。特に、専攻科の岡島さんの練習風景は印象的であった。他の部員の何十倍も練習できていたと思う。
 四月当初、「トランペットの演奏なんて、何十年ぶりだろう」と、おっしゃっていた。昔のような音が出せないと言うことだと思うが、今では全然違う。それもそのはず。岡島さんは、朝は八時頃から夕方は六時頃まで、いつも練習をされていた。その姿を思い出すと、初心者の私は練習不足もいいところである。寄宿者や家で練習できなくても、朝早く来て練習するとか、休み時間を利用するとか、様々な方法があったと思う。
 また、同じ初心者、武内さん(サックス)の上達ぶりにも驚いた。夏休みはお互いの補習の関係もあって練習日は違ったが、九月になってからは同じだけ練習したはずなのに、あれよあれよという間に、すごく上達してしまった。いつ練習していたのだろうと、不思議に思うくらい。
 こうして考えてみると、みんなは私の気づかないところで練習を重ね、とても努力していたのだと思う。「自分は精一杯努力している」つもりであった。岡島さんや武内さんの練習ぶりは、見えているようで見えていなかった。今、冷静に考えてみると、私ももっと努力すべきであったと、気づく。
 次は、音色のことについて。小学部ではリコーダーをやっていた。間違えないで演奏することだけを考え、間違わないのが良い演奏だと、その時は思い込んでいた。エレクトーンやピアノも習い始めた頃は、そう思っていた。が、今は違う。間違えないのは当然であるが、さらにどんな曲であるのかを考え、どんなふうに感情を表現していくか、その楽器の一番いい音が出せるように、少し考えられるようになってきている。
 今回のフルートも少しではあるが、きれいな音を心がけて演奏してきたつもりである。大村先生のフルートを聞くと、まだまだ未熟だと思うが、もっともっと音楽を深め、よりよい演奏を目指したいと思う。今回、こんなことを考えながら練習できたことは、とても嬉しかったことである。
 私がフルートを演奏したいと思ったきっかけは、姉が出演した「吹奏楽コンクール」に行ったことである。その時、「フルートってきれいな音が出るなあ。それに、吹いている姿はすごく格好いい!」と、感動してしまったのである。さっそく、音楽部の顧問大村先生に相談した。「いいよ!」のふたつ返事。とても嬉しかった。
 もちろん、文化祭では、ハーモニーホールで聴いたような演奏はできなかった。しかし、これからこそ練習に工夫を重ね、あの演奏を超えるような演奏ができるようになりたいと思っている。


このページは音声読み上げソフトに対応するため配慮していますが、
本来の読み方とは異なることがありますので、ご了承ください。


戻る