■ 国内の部 特別賞
「ぼくとおんがくづくり」  山梨県甲府市・野澤幸男(のざわ ゆきお)(10歳) 
(山梨県立盲学校小学部4年)

 ぼくは、音声パソコンを使って、自作音楽を作っています。4年前、僕が1年生のとき、自分用のパソコンをおかあさんに買ってもらいました。ぼくはおかあさんにやり方を聞きながら、パソコンで文字を打ったり、メールを打ったりしました。そんなことが続くうちに、おかあさんでは分からないことが多くなってきて、教えてもらえなくなってきました。そこでぼくは、自分でパソコンについていろいろ研究することにしました。最初のうちは、大事なデータを変なふうに変えてしまったり、句読点の入力の仕方が分からずひらがなで「まる」などと書いていました。でも、それをどんどんくりかえしていくと、だんだんいろいろなことを覚えてきました。
  「あ、ここはこうすればいいんだ。ひとつ覚えだぞ」
  こうしてぼくはパソコンの使い方がいろいろわかってきました。
  ぼくは、5歳の時からピアノを習っています。ぼくの通っているピアノ教室は普通の教室と違い、たくさんの友達といっしょにピアノだけでなく、リズムの勉強や、手話を教えてくれるピアノ教室です。ぼくは今まで5年間、たくさんの友だちといっしょにピアノの連弾をしてきました。友だちと息を合わせて弾くので、練習はとてもたいへんです。でも、ぼくは目が見えなくても見える友だちといっしょに連弾ができることがとてもうれしいし、とても楽しいです。ビアノの発表会の本番の日、友だちとの連弾が成功し、終わったときに、
  「良かったね」
  「あそこ編曲したでしょ!」
などど、喜びをわかち合うのが、ぼくの楽しみです。
  そんなぼくが、パソコンを使って音楽を作りたいと思ったきっかけは、ピアノを弾いていた時でした。その日、ぼくはピアノの教室で、なんだか自分の中に音楽が浮かんだので弾いてみました。すると、これがとても楽しく感じました。そこでぼくは、自作音楽を作りたいという思いが出てきました。その日の夜、ぼくは自作音楽の参考にする音楽をさがすため、いろいろなインターネットサイトから、音楽をダウンロードしてきて、聴いていました。すると、とても静かで心がやすらぐような「いいなあ」と思う音楽がありました。ぼくは、その音楽が気にいってしまい、それをカセットテープに録音して、なんどもなんども聴きました。なんども聴いているうちに、音楽を作りたいという思いが、さらに強くなってきました。さっそくぼくは、つぎの日の夜、かんたんに音楽が作れるソフトをインターネットでさがしました。でも、まったくぼくの使いやすいものが見つかりませんでした。かんたんだけれどお金がかかったり、無料だけれどうまく動作しなかったり、なかなか見つかりませんでした。
  それから半年後くらいに、ぼくはついに使いやすいソフトを見つけました。説明によると、「ドレミファ ソラシ」と書けば、音が出てくるということでした。さっそくパソコンに取り込み、いろいろやってみました。1日やっただけですぐに慣れました。でも、いざ音楽を作ってみると、思ったよりもはるかにむずかしいものだったのです。
  「あれ? 音が小さいなあ」
  「なんだ これは! 楽譜がめちゃくちゃだ!」
  「しまった! まちがえてだいじなだいじな楽譜に別の楽譜を上書きしてしまった! どうしよう…」
  こんな問題にまどわされながらも、ついに「のはら」が完成しました。これは、ぼくが
ピアノの教室で考えていた音楽でした。これをきっかけにぼくはつぎつぎと音楽を作っていきました。たまにふざけて、「チューリップの歌」の主せんりつを鳥のさえずる音にしてみたり、「犬のおまわりさん」のぼうとう部分だけを作って、最後に爆発音を鳴らしてみたりしました。こうして、ぼくの作った音楽は50曲近くなりました。ぼくの将来の夢は、プログラマーになって大好きなケームソフトをたくさん作ることてす。10歳の今、大好きなネコをテーマにしたゲームを作り始めています。そこで今はゲームに使う音楽を作ってます。
  そして今年、ぼくがとても楽しみにしていることがあります。「連合音楽祭」です。これは、甲府市の小学校の4年生が集まって、合奏や合唱を発表しあうというものです。ぼくは交流校の池田小学校の9人の4年生と参加します。合奏で「宙船」という曲を、リコーダー・パートで演奏します。合唱では「スマイルアゲイン」という歌を、ソプラノ・パートで歌います。練習が始まったとき、ぼくは友だちといっしょに歌についていけるかなあとか、リコーダー・パートがむずかしいかなあなどの不安でいっぱいでした。でも、まわりの友だちが、わからないことを教えてくれたり、励ましてくれたりしました。だから、もう不安なことなどありません。なぜ楽しみにしているかというと、友だちと歌ったり、合奏をしたりできることがとても楽しいからです。盲学校では、こういう経験はできません。それからこの経験をまた音楽作りにいかせるからです。音楽というものは、音だけで楽しみや悲しみ、うれしさなどを表現することができます。ぼくは、これからもいろいろな音楽を作っていきたいと思います。

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