■ 国内の部 特別賞
「広がれ音の和」  富山県富山市・藤縄佑樹(ふじなわ ゆうき)(13歳) 
(富山盲学校中学部2年)

 去年、ぼくは三つの音楽アンサンブルと出会いました。ひとつめは中学生2人と高校生3人で結成した「パーキンズ」という音楽グルーブです。名前は、日ごろ親しみ慣れている点字を打つ「パーキンスブレイラー」から響きがとても良かったので、「パーキンズ」にきめました。楽器が得意な人、そうでない人、まずは各自が何を担当するか話し合ってきめて、次に曲です。それぞれが好きな曲や演奏してみたい曲を出し合い、これも全員で話し合って決定しました。いよいよ練習開始ですが、楽器に慣れることから始め、次に各自のパート別の曲を覚えて、最初はなかなか上手にできなくて苦労していましたが、音の分からない時は、ぼくがキーボードで教えてあげたりしながら練習していき、日を追うごとにそれぞれの音が一つになっていき、皆で楽しくのりのりで演奏できるようになりました。演奏本番は8月の終わりの暑いある日にショッピングセンターで開催された「ふれあいフェスタ」で、大勢の人の前で演奏することになりました。ぼくはうれしくて楽しくてにこにこしながらキーボードを弾きました。終わるとものすごい拍手で、ぼくは心の中で「やった!」と叫びました。5人の音が一つになって大勢の人の心に届き、それが大きな拍手の音になって自分たちに返ってきたことが、とてもうれしくて忘れられない日になりました。
 ふたつめは、中学部2人で「卒業を祝う会」に、ぼくはピアノと歌を、もう1人の彼女が鉄琴を担当して「旅立ちの日に」を卒業生に贈ったことです。ぼくは音楽が好きだけど、あまり歌うことはありませんでした。それが初めて弾き語りをすることになり、どうなるか心配でしたが、意外と「簡単やなあ」「初めにしてはうまいかなあ」と自分で思いました。余裕が出てくると、だんだん大きな声も出せるようになってきて、本番ではとても気持ちよく弾き語りをすることができてとても良かったです。会の後で卒業生や先生方から「良かったよ」「感動したよ」と声をかけてもらい、「2人のほのぼのとしたあたたかさが、とても良かったよ」と言われた時、これからいろんな人生が待っている卒業生に何かが伝わったとしたら、こんなにうれしいことはないなあと思いました。
  このとき、ぼくはブラスバンド部としても演奏しました。それが三つめです。ブラスバンド部はたったの3人で、それぞれが忙しくてなかなか3人そろってというのがありませんでした。週1回の部活動のほとんどを、ぼくはひとりでいろんな楽器にトライしていました。それが卒業を祝う会でやっと活動発表できることになり良かったです。サックス、トランペット、そしてぼくはマリンバに挑戦して「ホタルの光」を、次にピアノ担当で「世界にひとつだけの花」を演奏しました。なかなか3人そろって練習できなかったけど、なんとかぎりぎり間に合いました。年齢も科もばらばらの3人でしたが、音楽が好きなのは3人とも同じで、1年のしめくくりにやっとひとつの部になって良かったです。
  いつもはひとりでピアノを弾いているぼくですが、三つのアンサンブルでの演奏活動は曲を決め、楽器を決め、音のパートを決め、練習をして皆で作り上げていくのがとても楽しかったです。この活動を通して音楽はやっぱりいいなあと思いました。自分たちの音が聴いている人の心に響いたとき、今度は大きな拍手になって自分たちに返ってくるのが一番うれしいです。ぼくは拍手が聞こえるといつも笑顔になります。これからもこんな活動ができることを願っています。レパートリーも増やしていろんなところで演奏してみたいです。音楽を通してもっといろんな出会いがあればいいなあと思います。

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