■海外の部 ABU地域 佳作
(シニア・グループ) 
「点字と音声機器」  キルギス ヤコブ・アレクサンダー(31歳・男性)

 私達の暮らす現代社会には、世界の動きを知るうえで、いろいろな情報源があります。テレビや無線、インターネット、それとさまざまな印刷物などです。けれども、視覚障害者は、触覚及び音声から情報を受け取ります。それを可能にするのは、点字システムや、 "Jaws"のような画面読み取りソフトを搭載したコンピューターです。
 私にとっては、情報の中心は、音声情報となります。それが最新の情報だからです。たとえば、ラジオやテレビの最新ニュース、とても興味深いドキュメンタリー、最新の音楽や映画などが挙げられます。磁気テープやデジタルテープに音声を吹き込めば、点字を印刷した本よりもコンパクトになります。ひとつ顕著な例を挙げましょう。視覚障害者用の図書館では、非常に大量の点字図書を見つけることができます。例えば、トルストイの小説「戦争と平和」は、点字図書では24巻になります。すべてを読むには、非常に長い時間と労力を要します。ですから、情報を音声で受けるほうが、点字で受けるよりも便利です。例えば、私は高等教育機関の学生ですが、そこには音声や点字の図書館がありません。そこで、私はすべての講義をDictaphoneで録音し、家に帰るとそれらを聴いて理解することに多くの時間を使っています。講義の内容を音声から点字に起こすのは、不便です。この場合、読み、書きし、理解することにもっと多くの時間を費やすことになるでしょう。それに加え、点字システムの利用には、もうひとつ欠点があります。ある条件が整わないと使えないからです。考えてみてください。勉強中や通学途中でも、音声情報ならどちらの場合でも聞くことができます。座っていても歩いていても、いつでも大丈夫ですが、点字の場合は、座っている場合にしか使うことができません。それに、他の人から好奇の目でみられることも、しばしばです。
  私たちの図書館には、専門文献や一番重要な規範条例が点字で用意されていないので、一般向けに出版された本やコンピューター本を使わなければなりません。コンピューター本であれば、自分のコンピューターやその他のオーディオ機器で利用できるので、私の場合、もっとも適切で入手しやすい形式なのです。
  そうはいっても、私は学習や生活の中で点字システムをよく使います。音声図書には見つからない点字図書もいくつかあります。点字で書かれた音楽やチェスの本がそうです。私もチェスをやりますので、チェスを学んでいたころは、点字図書がそのための唯一の手段でした。私の個人的な経験から、点字システムを使う利点にも気がつきました。視覚障害者は点字でテキストを読むとき、無意識のうちにテキストの文法や正しいつづりに気を配ります。点字は、自動的に刺激や触角による記憶を発達させます。また、点字を声を出して読み上げることによって、記憶も呼び起こされます。私自身、学校や大学で外国語を勉強したときに経験しました。外国語のテキストを点字を書いたり読んだりするだけで暗記できました。現在、私にとって一番重要な情報源はインターネットです。インターネットは、国内だけではなく、世界全体に向かって開く扉のようなものだと思います。
  ここまで述べたことをまとめると、現在私にとって最も重要で、入手しやすい情報は音声情報です。テレビや無線、特別なプログラムの入ったコンピューター、ディスクや磁気テープに吹き込まれた音声図書などの助けを借りて利用しますが、点字図書を利用する場合もあります。
  私たちは最新の装置を使って音声情報を聞きますが、ひとつ決定的な欠点があります。それらは電気を使いますので、電気がないと、これらの装置はすべて役にたたないごみになってしまいます。その点、点字システムは万能です。
  私はどちらの方法も積極的に使って知識を得、見識を広めて、自分の住む世界についての最も詳しく興味深い事象を知りたいのです。
  私は当分、音声情報が最も広く利用される方法だと強く信じています。 21世紀の現代、生活のテンポはますます速まっており、情報量は増え、相互交流のコミュニケーションシステムになっています。未来を予測するのは、あまりよくないことかもしれませんが、少なくとも禁止されているわけではありません。音声の情報源は、利用価値が増し、点字の重要性は少なくなるでしょう。けれども、点字システムは不朽です。視覚障害者が情報を得るための専用の方法ですので、なくなることはないでしょう。

このページは音声読み上げソフトに対応するため配慮していますが、
本来の読み方とは異なることがありますので、ご了承ください。


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