■海外の部 ABU地域 最優秀オーツキ賞
「世界平和にむけて − 体験から訴える」
スリランカ レンシー・ベネディクト(61歳・男性)
写真-レンシー・ベネディクト

  「バーン」 ガラスが粉々に割れた。泣き叫ぶ人やうめき声。落ちてきた残骸の山。空に舞い上がり、かたまりとなった土煙。パチパチと音を立てている炎。あわてふためき、走り回る人々。
  こうした光景は、四半世紀の間、私の母国、スリランカでは日常茶飯事でした。しかし、4年間の紛争の後、トンネルから抜けたように紛争はまったくなくなりました。この20余年間、破壊活動をするスリランカのテロが国際ニュースの前面に出てくるようになったのは本当に残念です。他の地域も同様で、インドのカシミール、アッサム、ミゾラム、パキスタンのイスラマバード、カラチの爆弾騒ぎ、バングラディシュの恒常的な政治紛争、ネパールのマオリストの暴動、ミャンマーの政治闘争、タイのモスリム系の反乱、インドネシアのバリやアチェでの爆弾事件、そしてフィリピンでの暴動など数えればきりがないのです。
  スリランカの人々は、とかく外見に神経を使いすぎているように思えます。しかし、本当に必要なのは、私たちの心の平和であり、人類が生き残るためには世界平和がもっとも大切なのです。
  振り返って見ると、第二次世界大戦が終わってから、世界は大変悲しい状況になりました。多くのエネルギーが医療の面の研究や機器の開発に費やされるのではなく、兵器や弾薬などさまざまな破壊的な目的に使われてきたことです。豊かで力のある国々が「世界平和に貢献した」と言う実態はこうしたことなのです。
  世界のほとんどの地域では平和が存在しませんが、平和がないと非難するとき、共産主義、資本主義、帝国主義、社会主義、グローバリズムなどという言葉はよく好んで使われてきました。 さらにもうひとつ、平和を脅かすものに持てるものと持てないものとの大きな格差があるということです。先進国と開発途上国との格差は、労働者の収入の面では数倍違います。先進国の多くの人が立派な施設で健康管理されるのに対し、開発途上国では、貧しい患者は何にもない環境のもとで生き延びなくてはなりません。
  開発途上国での怒りや憎しみは結果として軋轢と反抗を生み出し、形を変えて、革命や氾濫へと導くのです。
  宗教でも、原理主義者や急進主義者は平和と安定を阻害する働きをしているのです。宗教上、不寛容さの原因をもっと探求し、初期の段階で根絶しなければなりません。数10年前、共産主義者は、「宗教は阿片」と宣伝しました。本当にそうだったのでしょうか。宗教指導者たちは、平和を構築し、維持するために大きな役割をもっているのです。イエス・キリストや、仏陀、予言者モハメドなどの聖人は、説教のなかで、平和は礎石と位置づけ、重要な教義としているのです。ですから、あのような急進主義者や暴力がどうして神聖で侵すことのできない教義にこそこそと入り込んでいけるのかが不思議でなりません。
  平和主義は平和、友好、慈愛、許しのメーセージを広げるために、山頂の狼煙のように常に目標になっていなくてはならないのです。聖職者も平信徒も恒久の平和の実現のために本当に努力をしているかを自らの良心に問う必要があります。すべての宗教的活動は、他の信仰に対しても寛容であり、敬意を払うことを目的のひとつにすべきです。宗教と政治は、まったく別の立場で目標を立て活動すべきです。
1990年代初頭のソビエトの崩壊は、恒久の世界平和に向けて希望の灯火を与えたように見えました。しかしながら、これは8年にわたるイラン・イラク戦争と、90年初頭のイラクによるクエート侵攻といった紛争の火種によりたちどころに消滅しました。これは世界の他の地域にも戦乱を巻き起こすような環境を産み、火種が広がりました。
  戦争とテロが渦巻く中、障害者は攻撃から逃れ、生き延びるチャンスがあるのでしょうか? 障害者は、テロリストやいわゆる民主国家を標榜している政府によって常に行われる爆弾や地雷、自爆テロ、空爆で攻撃されている場所から速やかに逃げ出すことができません。障害者は声をひとつにして戦争やテロ、紛争を呼び起こす人たちに対して結束して反対の声をあげるべきです。世界から戦争をなくすように立ち上がりましょう。
  平和を構築しようとするとき、学校は、基本的なことを子供達に教え育てるのには理想的な場と言えましょう。人類が生き延びるためには平和がどんなに効果的なものかを早期の時点で親しませることは効果的です。平和と安定が社会の発展のための必須条件であると理解した学生たちは、仲間や家族の間にそのことを広げるでしょうし、そうすることによって世界平和を拡大するのに大変役に立ちます。
  障害者は、政府の軍事行為に反対するために、ほかの人達にも呼びかけて話し合いによる融和的なアプローチ広げるべきです。過去50年以上の間、これまでどんな国やグループでも自分の要求を通そうとして武力行使にでたり、暴動の鎮圧や戦争に訴えても、成功しなかった事実を私たち障害者は高らかに訴えるべきです。この特筆すべき意義を障害者は、戦争当事者、国連、宗教団体、その他、強力な世界のリーダー達に訴えるべきです。戦争を中止させ防止し、世界の平和と安定を構築するために、私達こそが国内外の団体に「障害者によるユニバーサルな組織化を図る活動」を呼びかけましょう。
  戦争による被害は健常者と比較して障害者のほうが何百倍にもなるというのが私たちの基本的な考えです。戦争を終結させ、平和と安定を構築したいという努力が、健常者よりも何百倍になるのは当然のことで、まったく自然なことなのです。今こそ立ち上がり行動を起こしましょう。障害者はすべての人のため平和の番人となることができるのです。


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