海外の部 EBU地域 ジュニア・グループ 優秀賞
「『ally』と『ation』(英略字)にさよなら!」
イギリス  ルイス・ショウ (15歳・男性)
 僕は保育園、初等学校、そして今の中等学校を通して、常に学校でただ一人の視覚障害者でした。人と違うことはいいことだと言われますが、本当にそうでしょうか……。たくさんの人が僕のことを「かわいそうな小さな目の不自由な子」とか「目が不自由な生徒」とか言うけど、あのね、僕には名前があるのです。ルイス・ショウですよ!
 僕が3歳のとき、ジャーディーン先生(視覚障害児を助ける先生)と僕の家族はたくさんの話し合いを重ねた結果、僕を近所の普通学校に入れることにしました。100マイル離れた視覚障害児のための学校に入れるという選択もありましたが、月曜から金曜まで僕が家族から離れなければならないという理由で、父と母はあまり気が進まなかったのです。でも僕の姉のブリオニーだけは乗り気だったと思います!
 そして僕の学校生活の最初の日がやって来ました。いざ保育園へ出発。そこで僕は点字を使うと決められたのです……。僕の記憶では、誰も僕には聞かずにだよ! 僕はおとなしく言われるままに従い、うれしそうな声を出して楽しんでいるふりをしました。でも点字がジョリーのフォニックス(単語の読み方をアルファベットの音と結び付ける教授法)の歌遊びと結び付けられると、実際に楽しくなってきました。そして点字マシーンのキーがそれほどいやなものでなくなってきたのです!
 初等学校1年。僕はまだ目が見えなくて、ほかの人と違うことに気づき始めました。点字での算数は悪夢でした! ナンバー記号、ナンバー記号、ナンバー記号、ナンバー記号、ナンバー記号……。もう一回言われたら、悲鳴をあげてしまう!
 初等学校2年には僕が面白くないと思っていることに、学校が気づきました……。学校はお菓子で釣ろうとしたり、いろいろ試しました。
 初等学校3年。学校は新しい作戦を試みたのです。そしてこの作戦は成功しました。「算数のいたずら小僧」です。一体それは何だ、と言っているのが聞こえるけど、これは夜に学校に忍び込んで、無礼で厚かましくてふざけたメッセージを教室に残していく小さなモンスターなのです。仕掛けはこうです。メッセージは点字で書かれているので、ジョークを知りたければ、点字の点々の順番を覚えなければならないということです。ふざけたことが好きな僕は、興味を持ちました。メッセージには「ルイスは水泳用のゴーグルをかけて寝る!」、「初等学校3年生は保育園に戻る!」、「シン校長先生は全校集会にオムツで出席する」などと書かれているのです。結局、僕はいたずら小僧に返事を出すほどにこの作戦は成功しました。学年末が近づくにつれて、僕は何か怪しいとうすうす気づき始めました。というのも点字が打たれているノートが、点字ルームにあるハガキの紙と全く同じで、時々、デラニー先生の香水の匂いまでしたのです! 学校は、僕は気付いていないと思っているけど、僕はスタッフの仕業だと知っています! それでも僕が点字で書き出したのだから、作戦は成功でした。
 次にアビーという本です。このシリーズを書いた人はすごいユーモアのセンスの持ち主です。だからこれもまた僕の注意を引きました。家族が買い物をしている間にアビーがお風呂に入ったり、ずぶぬれになりながらピザを焦がしたり、というような話です。8歳児にはこの種のものが楽しかったのです。
 この頃、僕は学校を巻き込もうと決めました。毎週木曜日のランチの時間に活動する点字クラブを立ち上げたのです。僕は自分で小さなクラスを教え始めました。自分たちでワークシートを作り、アルファベットを5週間、そして6週目には数字をやりました。デラニー先生がペンで生徒の指にキー番号を書き、僕が点字のシールをキーに張りました。
 僕たちは地元の町でお金を集め、クラブの活動資金やみんなの一番の楽しみのセッション終了パーティのために使いました。ホットチョコレートやフランプ(イギリスの甘いお菓子)を出し、大きな音で音楽を流し、僕がコースを終了した仲間に修了証書を手渡すのです。全部合わせて約140人の子供に点字を教えることができたのです!
 初等学校6、7年までには、僕は小数、分数、百分率、そして最悪の代数をやっていました。今でも代数に苦しんでいるし、もうやめてしまいたいよ! 先生たちは、初等学校卒業までに僕がどこまで進んでいるべきかをすでに決めていました。そしてうれしいことに僕はすでに目標に到達していたし、目標を超えて進んでいる部分もあったのです。もう代数のことは二度と話さないでおきましょう!
 僕はアナン中・高等学校(この地域で一番大きい学校で、常に1000人以上が建物にいる)に進学しました。でも、そうです、視覚障害児は僕だけ! 早速、仕事に取りかかった僕は点字のドア・プレートを作り、自分が使う全部のドアに張りました。好きな先生には机にカッコいいネームプレートも作ってあげました。
 今、僕はここにきて4年目であと数週間で5年生になります。点字もバッチリだし、ちょっとリラックスし始めようと思ったら、衝撃発表。英点字が変わるらしい! 僕が新しく覚えなければならない最大のことはUEB(英語圏で統一的に使用される点字コード)です。さんざんブツクサ言い、ジタバタした結果、やらなければならない、やるしかないと思いました。笑ってしまうのは、新しいことはあまり覚えなくていいのに、すでに覚えたことを忘れなければならないということです。
 そこで僕たちは学校の点字ルームで、もう使えないものを見つけ出して、すぐさまこれが最後という意味で点字にし、「点字刑務所」に入れることにしました。でも時々その中にいるべきものが一つ二つ抜け出してくるのです。特に「ble」と「to」が。きっと無期懲役だってことに気がついてないんですね!
 UEBのコースから戻ってきたデラニー先生が、そこでふと耳にした女の人の会話を僕に話してくれました。一人の女の人がもう一人の人に、「『ally』と『ation』(英略語)にさよならする悲しい日だわ!」と言っていたらしい。僕たち二人ともこれには笑い転げてしまいました。今のところ僕はこの二つに関してはしっかり忘れていますよ!
 この新しい改定を、絶対覚えられないと言った人々がいるけれど、その人たちは間違っていると思います。点字がないと僕の生活は困難になります。だから僕はこの挑戦を受けて立つのです。あきらめないで。何でも最初が一番難しいのです。挑戦に立ち向かうことをやめた瞬間から、前進をやめることになるのだから!