海外の部 EBU地域 ジュニア・グループ 佳作
「点字のある生活」
アイルランド アオイフェ・ワトソン(17歳・女性)
 私は、エレベーターのボタンの上の小さな突起に気づいたことがあります。私はいつもバスの停車ボタンの上の点々が実際に意味を持っていることに感動しています。私はいつも奇妙な思いにとらわれます。しかし、私の知識では、点字とは完全に全盲の人のためだけのものだと思っていました。しかも、私は全盲ではありませんでした。私は見ることができたのです。そう、私は他の人ほどには見ることができないものの、大きな文字なら読むことができ、それなりに幸せでした。
 私はいつも学ぶことが好きでした。私は学校が好きでした。私は本当に頑張って、いい成績を収めました。しかし、あるとき、病気になってしまいました。疲れてももっと頑張った結果、病を得てしまったのです。私の視力はゆっくりと下り坂を下るように、下がっていきました。それとともに、学業成績も下がっていきました。私は、これ以上はもう何事もうまくいかないと思うようになりました。頭がいいとは思えませんでした。しかし私はいつも自分がなにか特別なものを持っていると感じ、正確なところは分かりませんが、私は自分は目立った存在であり、普通とは違っている(いい意味で)と思っていました。しかし、私はそれも失って、普通よりも劣っていると感じるようになってきたのです。
 そうした中、ある機会が訪れました。その機会とは、文字通り、私の人生を変えるもので、私が失った学ぶことへの情熱を取り戻してくれたのです。視力がなくなれば、点字を学ばなければ十分ではないということを学んだのです。私は興奮しました。六つの点の組み合わせでなにごとも表現できるという事実に、本当に心からびっくりしてしまいました。たった六つの点で、ですよ。なんてかっこいいんでしょう。一目見たときは、とても不可能に見えました。私は、気持ちを大きく持たなければなりませんでした。そうは言っても、新しいことを学ぶには、若ければ若いほどいいってことじゃないですか。私が学び始めたときは、年を取りすぎていました。しかし、そんなに悪いことでもありません。私は、2013年10月ごろ、少しずつ文字を習い始めたのです。
 学校の休み時間を使って、指が固くなるまでアルファベットを繰り返し繰り返し、パーキンスブレイラーでたたき続けたのです。次が数字で、それが十分になると、物語へと移りました。それはビルとジェインの物語でした。ストーリーは死ぬほど退屈で、たぶん6歳ぐらいの子供用のものでした。しかし、すぐに私は二人が好きになりました。ビルがジェインの飼っている犬にかまれたときに笑ったり、ジェインがビルを怠け者と言ったときには悩んだりもしました。私は、自分が本を読んでいるときには、時間が早く過ぎるのに気が付きました。私は年をとっていた分、教科書のよき読み手だったのです。私はつねに、点字が私にとって新しいものであることを意識していました。それで、ビルのこっけいな行いやジェインのえらそうな態度に、心がやわらぐのを覚えました。こうした子供向けの簡単な物語を使って習い始めたということは、私にとって少しも苦にはなりませんでした。逆に心がうきうきするものでした。点字は私の人生にとって、まったく新しい何かでした。友達や家族の中で、私はそれを使う最初の人間だったので、私は有頂天になりました。習えば習うほど、もっと知りたくなりました。
 点字は、私に学ぶ喜びをもたらしてくれただけではなく、他の人に学ぶ喜びを教え、他の人を勇気づける機会を与えてくれたのです。私は11歳の女の子と並んで点字を習ってきました。彼女は点字がとても上手で、いっしょにスタートしましたが、私よりずっと上手だったので、二人はともに上手になりました。私は、彼女にはほんの少しの励ましが必要だったのだ、と思いました。彼女は5年生で、中学校を訪問する機会が与えられたとき、彼女は私に中学校について、たくさんの質問をしてきました。一緒に点字を学習し、互いに助け合うことは本当にいいことです。私たちはお互いに、たくさんのことを学び合いました。
 私が点字を習い始めたのが学生時代だったので、クラスの数人の女生徒が、個人技能の選択科目に点字を選びました。私の技能クラスでは、点字を習っている視覚障害を持った子供たちのために、触知本を作っています。私はそれらの本のタイトルを、パーキンスブレイラーを使って書いています。このことは、私のクラスメートにとっても、私にとっても、たいへんいい機会です。彼女らは、視覚障害について、この種の本をつくるのにどれほどの労力が要るのかを学んでいるのです。そして私にとっては、私の点字力を鍛え、またそれをクラスの仲間と共有する機会が与えられたのです。
 私がそんなにも早く点字を選んだという事実は、私自身の能力について、ある程度、自信を取り戻してくれました。私は点字が好きです。それは、(まだ視力の残っている)私の目を休めることになるという実用的な意味だけではなく、本当にかっこいいからです。まるで秘密の暗号みたいです。それは全ての人が知っているというわけではなく、もしも全ての人が少しでも点字を知っていれば、全ての人の役に立つものであるにもかかわらず、全ての人ができるわけでもないものを私ができるという意味で、私を特別の存在にしてくれます。私が点字を習っているのだったら、クリスマスまでに点字で書かれた英語の本を読めるようにするべきだ、と言われました。このことは、私を信じられないくらい幸せにします。