海外の部 ABU地域 ジュニア・グループ 優秀賞
「働く権利:労働市場が視覚障害者に開かれ、包括した(インクルーシブな)ものにするには?」
アフガニスタン  サミーナ・ゼフワク(23歳・女性)
「あなたは学歴と職歴の面では有望な候補なのですが、私どもはあなたが目に障害があるとは存じ上げませんでした。マダム、申し訳ないですが、これは管理職なのです。目の不自由な方はそのような重要な地位では働けません」
 これは昨年、私がアフガニスタンでの面接の最初に突きつけられた回答でした。視覚障害者(盲目及び低視力の人)が自分や家族を養うために適切な職を見つける補助をするのは人としてのみんなの務めだと私は確信しています。とはいえ、四つのステップによってアフガニスタンの労働市場を変えることができるでしょう。第1のステップは政府が適切な立法で介入すること。第2のステップは、こうした法律、規則、規制を適切な方針で運用すること。これによって労働市場のあり方に関する伝統的なやり方や社会通念が変わってゆきます。この移行を簡単にするのには、社会の認識が非常に重要です。そして非常に重要な最後のステップは、視覚障害者に、教育、技術、必要な技能を身につけさせること、また労働市場で競争していくためのさまざまな形の支援を提供することです。
 前述したとおり、適切な立法が第1のステップであり、あらゆる変革の骨格になります。国連障害者権利条約では、障害者の就業と雇用の権利を認めています。国家が適切な措置をとり、働く権利の実現を促進すること、労働市場を障害者にも開かれた、障害者を包含した、障害者もアクセスできるものにすることを導いています。国連加盟国として、アフガニスタンは2004年のアフガニスタン憲法、アフガニスタン国家開発戦略(ANDS)、障害者の権利・特典法、労働法を通し、障害者の権利を守ろうとしてきました。しかし、これらの法律は、視覚障害者に関して明確・具体的ではありません。つまり、視覚障害者の積極的参加を促進するものではなく、労働市場や労働環境についても表面的に触れているだけなのです。むしろ、障害者を援助に依存させてしまうものです。
 アフガニスタンの障害者を支援する法律はよい点もありますが、あるべき姿で運用されていないために効果が表れていません。以下は当該法の主要部分です。大統領により、上院議員2名について視覚障害者の代表を任命すること。社会保護政策の傷害指標。3%割り当て雇用制度。運転免許取得のための資格。組織で就労している間に障害者となった従業員に対し雇用を継続する義務。しかし、これらの条項を実施するにあたり、腐敗や縁故主義が深刻な障壁となっています。アフガニスタン政府が適切なモニタリングや評価をしておらず、また視覚障害者組織の声や権利擁護活動が弱く、まとまりがありません。苦情を調査するしくみがほとんどなく、アフガニスタンの労働市場を開かれ、包括された、アクセス可能なものにする最後の障壁になっています。
 社会の認識が考え方を変え、社会的変革の道を切り開くカギとなる手段です。上記の問題を認め、解決のための計画をたてるのに加え、大小の規模の運動を行うことによって視覚障害者の権利を理解し、差別を減らしていくでしょう。いろいろな利害関係者が共同でとりくめば、あらゆるレベルの人を対象に運動ができます。政府、NGO関係者を対象にしたセミナーやワークショップ、村の年配者、草の根レベルの意思決定者を対象とした研修、学校カリキュラムの中に視覚障害者や働く権利に関するテーマを盛り込むことなどでもよいでしょう。唯一必要なのは、アフガニスタン政府内の政治的意思と国際社会の技術的支援、そしてアフガニスタン内で視覚障害者と共に、そして視覚障害者のために権利擁護活動を行うことです。
 その一方で、不況後の今の時代、視覚障害者が適切な職を見つけることがますます難しくなっており、法的保障と社会の認識に加え、視覚障害者は自分を労働市場で売り込むためには、教育、技術、技能、さまざまな形での支援が必要です。現代の包括的教育は、良い仕事を見つけるための要件の一つです。包括的教育は差別を減らし、人のいろいろな集団の中でより多くの友人をつくり、包括的社会に向かって前進していくための強力な源です。2番目に必要なのは技術です。視覚障害者は異なるニーズを持っているので、教育や仕事の補助のための器具が必要になります。白い缶から、生物や生物ではないものの形、点字タイプライター、点字板、点筆、拡大鏡、音声電卓、音声コンピューター、エンボス加工機、点字ディスプレー等に至るまで様々です。このような機器の発達は労働市場におけるギャップをさらに縮小していくでしょう。
 さらに検討が必要な第3の問題は技能の向上です。大切なのは、自分の仕事において必要な技術をどう使っていくかを知ることです。さらに、移動する技能、リーダーシップ、やる気、規律、効果的コミュニケーション、組織力、創造的考え方、問題解決、その他多くの技能を学ぶことによって、よりよい仕事の結果を出していけます。つまり、視覚障害者は最新の本や定期刊行物(もし可能であれば)を定期的に読み、いろいろな研修に参加していかなければなりません。非常に重要な最後の点は、さまざまな形の支援です。市民社会の組織がこのような支援をすることができるでしょう。就職活動、面接のテクニック、就職あっせん場を見つける、職場に行くときの支援という形でもよいでしょう。視覚障害がある投資家や起業家に対して、免許の取得、オフィスの賃貸、スタッフの採用面でアドバイスや支援、情報提供をすることもできるでしょう。権利擁護活動を通して、視覚障害者の権利を守るという形でもよいでしょう。意気消沈した時に克服するためのカウンセリング、感情面でのサポートという形でもよいでしょう。
 結論として、視覚障害者は何らかの調整をすれば、ほとんど全ての仕事をすることができます。管理職、弁護士、議員、上院議長、内務大臣にでもなることができます。自営、ビジネスマン、起業家にもなれます。作家、点訳、教師、大学教授、通訳、電話交換手、歌手、楽器演奏家、スポーツマン、ラジオのリポーター、ソーシャルワーカー、職業訓練の講師、その他数多くのものになることができるのです。これは、国民や政府が次の4つの問題に目を向けることによって初めて達成できるものです。
 (1)立法(2)法律の適用(3)国民の意識(4)視覚障害者が 教育、技術、技能、さまざまな支援を受けるようにする。これには、骨の折れるような努力と視覚障害者のための組織・視覚障害者組織の擁護運動やこの問題を最重要課題にするという政府のコミットメント、国際社会からの財務・技術的支援が必要です。こうした取り組みを組み合わせることにより、アフガニスタンの労働市場は、視覚障害者にとって、インクルーシブで、開かれた、アクセス可能なものになるでしょう。