海外の部 WBU-NAC地域 ジュニア・グループ 優秀賞
「点字とオーディオ機器を使ってどのように知識を得るか?」
アメリカ アンナ・アブラメンコ (22歳・女性)
「点字は知識なり。知識は力なり」(ルイ・ブライユ)
 私はこの偉大で含蓄のある言葉を強く信じています。それは、私自身、幼い頃から点字の恩恵にあずかってきたからです。私は3歳の時に視力を失いました。父が亡くなり、視覚障害のある母が視覚障害のある娘を、一人で育てなくてはならなくなりました。旧ソ連崩壊後の独立国家ウクライナで視覚障害のある子供として育った頃は、あらゆる物資が不足していました。母が点字を教えてくれたので、視覚障害児学校の1年生になる前にはもう、読み書きが上手にできるようになっていました。学校は家からかなり遠かったのですが、母は私を学校に行かせてくれました。私に良い教育を受けさせようと、大きな希望を抱いていたのです。しかし、当時のウクライナはとても貧しくて点字用紙さえ配給されないことがあったので、視覚障害児学校でも点字を使い続けることが難しい状況でした。
 点字本の不足も深刻な問題の一つでした。ウクライナの教育制度が改革されたのに、出版社には新しい本を点字で再出版する資金がなかったのです。そのため、学校で晴眼者のクラスメートに遅れずについていくのは、大変でした。旧ソ連時代に出版された古い教科書を使って勉強したり、弱視のクラスメートに手伝ってもらって、宿題を終えたりしなければならないことがほとんどでした。
 私はずっと外国語の勉強に関心を持っていました。本が全く手に入らない状況で英語を勉強するのが、どれほど難しいことだったかは言うまでもありません。でもそれを打開する策を見つけました。ブリティッシュ・カウンシルが録音したカセット式のオーディオブックを使って、英語の勉強を始めたのです。2008年には、アメリカへ1年間留学するために「未来のリーダー交換プログラム(FLEX)」に参加しようと決心しました。FLEXはとても競争率の高いプログラムですが、幸運にも参加者として選ばれました。
 アメリカではウィスコンシン州のウェンツェル家にホームステイをしました。この一家も視覚障害者で、視覚障害者が社会の平等なメンバーの一人として成功していくためのさまざまな方法を教えてくれました。その一年間で私は英語の点字略字を学び、ブレイルノートという素晴らしい技術があることや、Bookshareというウェブサイト(それ以来、このサイトから本をダウンロードしています)を知りました。読み書きのレベルも飛躍的に上がり、ウクライナでは効果的な学習機会をどれだけ逃してきたのかが分かりました。私は幸運にも全額支給奨学金をもらって、コロラド州視覚障害者センターで点字プリンター、スキャナー、その他の先端の視覚障害者用機器の使い方を学びました。
 私は現在、カンザス州のエンポリア州立大学の学生です。オーディオであろうと点字であろうと、必要なあらゆる情報源を活用して自立し、自信も持っています。幾人かの個人と大学のご厚意により、Victor Readerとブレイルノートという親友ができました。今では以前より良い環境の中で、晴眼者のクラスメートと競い合うことができると思います。
 点字が読めるということは、文字の読み書きができるということであり、成功と自立への鍵です。点字は全ての視覚障害者に、欠かせない生活の一部です。私は自分がとても恵まれた人間だと思います。何でも好きなことを点字で読み書きできるようになるという、信じられないほどの幸運に恵まれたからです。私は数学用の点字表記であるネメスコードから点字楽譜まで、何でも知っています。祖国ウクライナのクラスメートたちにも、点字を使って成功するチャンスをつかんでほしいと、心から願っています。