海外の部 ABU地域 ジュニア・グループ 佳作
「進化続けるネット空間の利便性」
パキスタン グル・アンブリーン (24歳・女性)
 「ソーシャルメディア」は、クラウドベースの仮想コミュニティー内でインターネットサービスを使って、双方向にコミュニケーションをしたり情報を交換したりするプロセスと定義できます。ソーシャルメディアの形態は、優に15年以上も前から存在し、90年代後半に誕生し普及したインターネット掲示板がその始まりです。インターネット掲示板では、情報の掲示やメンバーによるコメントの投稿ができました。掲示板はその後、登録メンバーが投稿した電子メールに対して複数の人に同時に返信できる電子メールベースのリストサーブへと進化しました。最近のソーシャルメディアはクラウドベースのノウハウを活用し、掲示板やリストサーブは過去のものとなっています。しかし視覚障害者の間では、リストサーブはいまだに幅広く使用されているツールです。
 ソーシャルメディアは10年以上にわたり利用されてきました。今では多くの晴眼者の日常のものとなり、私たち視覚障害者の多くも活用し、大いに恩恵を受けています。もちろん、ソーシャルメディアはフェイスブックやツイッターだけではありません。ソーシャルメディアは、学校や職場で同じ興味を持つ知り合いや友達とコミュニケーションをするときの一般的な手段となっています。教育機関や企業でも、ソーシャルメディアの要素を取り入れて組織内の情報メディアを構築し、教師と生徒、経営者と従業員の間で情報をやり取りし、より良いコミュニケーションを図っています。
 しかし、どんな技術的進歩でもそうですが、利用者の多くがこれらの情報メディアへのアクセスに対してかなり戸惑いを感じています。まだ利用したことのない視覚障害者は、ソーシャルメディアは脅威とさえ感じるかもしれません。ただ、ソーシャルメディアをあまり利用したくない、忙しすぎて時間がないなどの言い訳によって、その戸惑いが見えないだけです。でも実際は、ソーシャルメディアの利用によりたくさんの恩恵を受けることができます。いったんその概念を正しく理解し、アクセスの問題を解決すれば、ソーシャルメディアは、視覚障害者にとって便利で楽しいツールになります。
 視覚障害者がソーシャルメディアに感じている不安を取り除くには、それがどういうもので、どう機能し、なぜ重要なのかを理解することが大切です。

ソーシャルメディアの基盤
 ソーシャルメディアの存在に不可欠な二つの主な構成要素があります。ソーシャルメディアには次のような特徴があります。
 ・ユーザーがリアルタイムに情報を提供する。例えば、公開討論などで質問を掲載すると、さまざまな回答が投稿される。
 ・ユーザーへウェブベースアプリを使ってコンテンツを配信する。
 ・ユーザー同士のグループ内で、文書や前述のマルチメディアコンテンツのような各種形態の情報を双方向にやり取りする。

クラウドコンピューティング
 このプラットフォームは「クラウド」という言葉で表すことができ、これもまた抽象的概念になりますが、考え過ぎなければそれほど難しくはありません。クラウドは、ソーシャルメディアのウェブサイトやアプリが存在する仮想空間です。クラウドコンピューティングのプロセスにより以下のことができます。
 ・他の人とリアルタイムにコミュニケーションや情報を共有する。
 ・異なるオペレーティングシステム(OS)を搭載した各種のデスクトップや携帯端末から、ウェブサイトやコンテンツへアクセスする。
 ・記憶装置を使用せずに、情報や情報メディアを保管、検索する。メモリカードやUSBメモリを必要としないので、紛失することもありません!
 クラウドを基盤、ソーシャルメディアを仮想アクセスの手段と位置づけることで、インターネットソーシャルメディアがどういうもので、どう機能し、なぜ私たちにとって重要であるかをより深く理解することができます。

ソーシャルメディアへのアクセスを妨げる隠れた問題
 ではなぜ、これまで述べてきたソーシャルメディアの利点を、より多くの人が享受しないのでしょうか。理由はきわめて簡単です。アクセスの問題があるからです。それを解決するには、戦略と即興性が少しだけ必要です。以下に例を挙げてみましょう。
 ・さまざまなウェブエレメンツを利用した、上記の機能へのアクセス。
 ・インターフェースや機能性を絶えず改良し続けるソーシャルメディア開発者たちの飽くなきチャレンジ。ソーシャルメディアが変化し続けているので、視覚障害者がこれらのサイトへどうアクセスするかも変わります。それほど注意せずに、変更箇所だけを考えてアクセスする戦略を立てるとよいでしょう。
 ・携帯型タッチパネル技術の出現。これにより、ソーシャルメディアへのアクセスには、特定のサイトを訪れる代わりに携帯アプリを使用することができます。これらのアプリもすぐに改良されるので、画面読み上げソフトが、以前のバージョンを使用したときのようには動作しないというリスクがあります。
 さあこれで、ソーシャルメディアがどういうもので、視覚障害者がパソコンにどうアクセスしているかをより深く理解できたので、ここからはソーシャルメディアが真に威力を発揮するプラットフォームについてみていきましょう。数年前にソーシャルメディアが誕生した時、今日ではよく知られるiOS及びAndroidの端末やタブレット端末はありませんでした。スマートフォンが普及し始めた頃は、仮想コミュニティ−の機能の進化に対応できるだけの、ハードウェアのパフォーマンスやOSがありませんでした。ここ数年でなんと変化したことでしょう。

携帯端末のソーシャルメディアレイアウト
 ソーシャルメディアのアプリは、画面レイアウトを一連のボタンで変更できます。変更することで、タブレットや電話のタッチパネルが、一般的なウェブページのような見出しやフレーム、目印などでゴチャゴチャにならないので、視覚障害者には扱いやすくなります。

最後に
 ソーシャルメディアは視覚障害者にとり、支障が全くないわけではないものの、それらの支障をはるかに超える利便性をもたらします。パソコン上でソーシャルメディアを使って情報を検索したり、他の人と共有したりすることで、晴眼者と視覚障害者の間で自由に情報をやり取りでき、学校や職場、コミュニティーを通して、視覚障害者はより平等な機会を得ることができます。文書管理という点では、PDFを共有したり、マイクロソフトワードで作成したレジュメを掲載したりするのは、パソコンでマイクロソフトやアドビなどのソフトウェアを利用するための練習として最適です。
 視覚障害者が、これらの進化に十分に対応し、うまく使いこなすことができれば、ソーシャルメディアがいかに強力でインクルーシブなツールであるかが分かるでしょう。ソーシャルメディアを利用することで、状況に応じて、いつ、どのツールを使うとよいか、が分かるようになります。ソーシャルメディアをまだ使っていない皆さん、ぜひこの進化し続ける、素晴らしい世界に足を踏み入れてみてください。