海外の部 ABU地域 シニア・グループ 佳作
「視覚障害者と共生する社会を実現するには」
アフガニスタン パルワン・ジャムシェディ (28歳・女性)
 一般の人と障害者、特に視覚障害者が寄り添って生活し、差別のない幸福な生活を送ることができる社会を、共生社会と呼びます。共生社会では、視覚障害者であっても自分の人生で高い目標を持つことができ、すべての人に人生のあらゆる場面で必要な機会が与えられます。太陽の輝き、花の甘いにおい、心に染み入る雨のしずくは、全ての人が等しく享受する神様からの贈り物であり、それと同様に人間も全ての人に等しく敬意を払うべきです。全ての社会が優しい共生社会になる、それが現代社会の切実なニーズです。とはいっても、この目標を達成するには多くの困難があるでしょう。でも、だからといって目標達成に向けて努力しなくてよいというわけではありません。
 国、民族、時代に関わらず、どの社会においても視覚障害者にとって多くの問題が生じているのが現実です。それでもこれらの問題を克服して共生社会を築くことができる確かな方法があります。まずは問題点、特にアフガニスタンで私たちが直面している問題点を説明し、それから解決策を考えます。私はアフガニスタン人として、他のどの国と比べても、アフガニスタンの視覚障害者は多くの問題を抱えていると言えます。生まれたその日から、生きている間ずっと問題が続きます。視覚障害者が女性の場合はさらにひどい状況になります。低い教育水準、意識の低さまたは欠如、問題の多い数々の慣習、貧しい経済状態などがそうした問題や課題の原因です。
 「社会」と言うと、自動的に家庭、近所、遊び場、学校や大学、職場などを思い浮かべます。共生社会でない場合は、それぞれの構成要素で視覚障害者に対する問題が生じます。視覚障害のある子供がいる家庭では、家族がそれに戸惑い、そのことを長い間隠そうとします。子供が成長して家の外で友達と遊びたがっても、戸惑いというその同じ理由で、できるだけ子供を外に出さないようにしてしまうのです。そのため、視覚障害をもった子供は限られた環境、大抵は家庭という息苦しい環境の中で育ちます。ただ、たとえ視覚障害の子供が外に遊びに行ったところで、他の子供たちからいじめられるので、結局、子供自身も家に閉じこもりがちになります。
 視覚障害を持つ子供の親は、「視覚障害を持つ子は学校に一人では行けないので、家族の誰かが学校まで毎日付き添わなければならないけれど、そんなことは到底無理」と言って、子供を学校に行かせないのです。このようなわけでアフガニスタンでは、読み書きのできない視覚障害児の割合が高く、就職のために必要な技能を持てずにいます。やがて家族、特に両親が亡くなった後は、読み書きのできない視覚障害者は物乞いをして生きていくしかありません。女性の視覚障害者の場合、状況はより深刻です。アフガニスタンでは女性を一人で外出させない、地方では特にこういった慣習が強いため、女性の視覚障害者は学校、集いの場、仕事の機会から遠ざけられています。そのため誰かに依存して生きていくしかなく、ただ呼吸をして生きているだけで、多くは生きるすべを知らないままです。
 アフガニスタンのこのような社会を共生社会へと変えるには、絶え間ない努力、闘い、そして時間が必要です。社会は人の集まり、つまり家庭、教育機関、その他の社会組織によって構成されていて、政府であっても社会の一つの要素なので、まず人の意識を変えることが必要です。国際社会から技術や金銭面での支援を受けている市民社会団体(CSO)であれば、市民の意識向上や市民からの支持を通して変化をもたらすという重要な役割を担うことができます。CSOは、社会により良い変化をもたらすために、家庭、教育機関、さらには政府の役人にも働きかけるべきです。
 視覚障害、視覚障害者の権利、晴眼者と政府の役割、視覚障害者を社会に取り込むことの重要性などについて、市民の意識を高めることが、目標とする共生社会を実現する最初の重要なステップです。そして、市民の意識向上に最も有効かつ効率的なツールは、印刷物やビデオ、そして最も重要な音声メディア(地方に住んでいる人たちもラジオは持っている)であることは明らかです。研修や講習会、セミナー、会議なども有効だということは、これまでの経験から分かっています。一方アフガニスタンでは、宗教指導者や地方の有力者も住民から深く尊敬されているため、非常に影響力を持っています。
 すでに述べたように、社会はさまざまな構成要素から成りますが、家庭がその中でも最も重要な要素です。家庭で視覚障害を持つ子に教育の機会を与えることが特に重要です。視覚障害児も晴眼児と一緒に遊び、公園やピクニック、そして最も大切なのが人々の集う場所へ連れて行ってあげることです。家族の一員である視覚障害者の自尊心を傷つけるようなことはすべきではありません。さらに、生きていくすべを教え、尊重し、自信が持てるようにしてあげるべきです。そして、視覚障害についての家族の意識を高めてもらうために、先に述べたツールを利用することが必要です。
 社会の別の構成要素である教育機関も、市民の意識向上プログラムの対象とすべきです。まず、小学校から共生教育を始めます(市民の意識向上に加えて、市民からの支持を得ることが必要だからです)。共生教育によって視覚障害者の社会への統合が後押しされ、晴眼者と密に、あるいは直接触れ合う機会が与えられるでしょう。視覚障害者関連の活動をしているCSOは、意識向上活動やカリキュラム作成などで学校を支援することができます。また、視覚障害児童に、話をするコンピューターや点字タイプライター、点字盤と点筆、その他の学習用品や教材、さらに各種訓練(運動、教育、職業教育)などの提供で、支援することもできます。
 共生社会を実現するために次に大切なことは支持を獲得する活動です。CSOは、地方、国、国際的なレベルで視覚障害者の権利を擁護しなければなりません。アフガニスタンの議会と省庁の支持を得る必要があります。こうした活動は力を結集して行うものであるため、視覚障害者の権利を保証するのに必要な法律を通すために、全てのCSOがロビー活動をして議会において声を一つにしなければなりません。省庁や地方議会、地方自治体もその活動の対象とし、例えばすべての政府機関において視覚障害者の職員の定員を設け、割引を設定するなど政策の効果を上げることが必要です。
 最後に、共生社会は視覚障害者のニーズに対応する唯一の道です。この目標を達成するには市民の意識と支持が必要であり、これにはかなりの時間が必要ですが、共生社会を実現するまでは努力を続けるべきです。一方で21世紀はグローバルな時代であり、共生社会なくしてはグローバル社会の一員にはなれません。そのためCSOは、共生社会の実現という目標を達成する過程で、最近の複雑な問題や課題に対して実行可能な解決策を見つけるために、家庭、教育機関、その他の社会組織、さらに政府機関を対象とした市民の意識向上と支持獲得の活動を実施するべきです。