海外の部 ABU地域 シニア・グループ 優秀賞
「点字と新技術」
パキスタン アルシャッド・ アッバシ (31歳・男性)
 点字は、視覚障害者が学習するための最も適切で、入手が容易なツールです。以前は視覚障害のある子供も大人も、早期教育から高等教育まで、もっぱら点字のみに依存してきました。しかしながら、ここ10年くらいの間に、状況は完全に変化しました。コンピューターが安価に個人使用のために入手できるようになって以来、学習のための新技術が次々に登場しました。さまざまな種類の文字読み上げソフトウェアも、スクリーンリーダーとして見なされるようになりました。これらのソフトを使えば、視覚障害者も簡単に読み書きができるようになり、晴眼者に能力が勝ることもあります。さまざまな技術革新と発明で、視覚障害者の生活は非常に楽になりました。視覚障害者が高等教育を受け、自らの能力を最大限に生かし、最善の結果を出すことが可能になりました。
 私は新技術の中でも、特にこれらの読み上げソフトウェアを頻繁に使用します。私はこれまで新技術を活用することによって、最も望ましい結果を出すことができました。私はパキスタンで公務員試験を受け、全パキスタン人中11位、外交官の分野では1位の成績を収めました。私はパキスタンではトップの大学であるクァイダ・イ・アザム大学で、理学修士号を取得しました。同大学で、国際関係論で哲学修士号も取得しました。国際関係論で理学修士号、哲学修士号ともに金メダルを受賞しました。
 が、私のすべての業績は、点字無しには成し遂げられませんでした。コンピューターのソフトウェアは研究論文を紙に書く代わりに入力できたので非常に便利でしたが、点字はメモをとったり、試験勉強でメモを読んだりするのに非常に役立ちました。私が非常に重要な作業をする場合には、読み書きの方法として何よりも点字を好みます。私はまず最初に、点字を使用し、バックアップの方法として、コンピューターソフトやその他のさまざまな読み上げソフトを使います。私は現在、イスラマバード国際イスラム大学の国際関係論学部で講師として教鞭をとっていますが、2012年12月よりパキスタンの外務省に勤めることになります。私は点字とコンピューターソフトの両方を使って、講義の準備をします。点字は使いやすく、便利なので、講義を行う際には主に点字を使います。
 初等教育においては点字のほうが使いやすいため、点字は新技術よりも重要だと思います。視覚障害を持つ子供たちに教育を受けさせる手段としては、点字よりも優れたシステム、手段、ツールは未だ発明されていません。新技術が重要な役割を果たしている高等教育においてでさえも、最先端な高度技術よりも点字がより重要になる場合もあります。パキスタンの外務省で外交官として働くこととなる私自身の例を挙げると、点字無しに読み書きをしなければならないとしたら、非常に不便に感じます。そのため、私は常にラップトップだけではなく、点字の読み書きのツールを持ち歩いています。点字はまた、数学においてもコンピューターソフトに比較するとより重要です。
 以上をまとめると、視覚障害者にとって、点字に匹敵する技術的発明品は存在しないというのが安全で簡単な結論です。新技術機器は視覚障害者にとって無くてはならない存在ですが、点字を格下げしてしまうのは賢い方法ではありません。点字は視覚障害者を教育するために発案された最初の方法であり、未だに最良の方法なのです。その他の技術的に進んだ機器が点字に取って代わるのではなく、新技術が点字を補強し、改善する補助的な役割を果たしてほしいと思います。点字は私たち視覚障害者が読み書きを行うための最も重要な方法であり、点字がより効率的に使われるためには、その重要性が認識される必要があります。
 21世紀には、視覚障害だけでなく、その他のあらゆる障害を助ける発明品や工夫が登場するでしょう。 こうした言い分は、障害に関連する促進運動が不可欠である社会における、科学の飛躍的な進歩に基づいています。視覚障害に関しては、脳内に装着できるツールや装備を使って障害を乗り越える試みが行われています。 この人工視力は多くの財政支援を受け、眼科医、光学技術者、神経科医の注目を集めています。飛躍的な発明がなされ、視覚障害の困難がなくなることを願っています。 しかしこうしたあらゆる進行する傾向と結果志向の研究にも関わらず、視覚障害者は将来に楽観的になってばかりはいられません。楽観主義は人生において前進するには役立ちますが、単に楽観的であることに依存しても真の満足感は得られません。
 楽観的に考えると、この急速に進展し発達する科学の時代においても、点字は視覚障害者の生活に安定性をもたらすとりでであると結論付けるかもしれません。点字はいまだ、身体内の視覚に関連する様々な問題を抱える人々の生活において、あらゆる学習を行うにあたって欠かせない要素となっています。低視力を補強するための読み書きの技術を用いる人々も、長時間目を使うにつれてストレスと過労に耐え切れなくなり、点字を使わざるを得ない状況になるために、点字の重要性を認識しています。このように、点字は生まれつき視力を持たない人々だけでなく、徐々に視力を失う人々の最後の望みとして浮上しています。
 結論として、私は自分自身の経験を引用することにより、現代における点字の使用と効率性に対する私の信頼を繰り返し強調したいと思います。 私の学問的技能および専門的事業におけるすべての業績は、点字のおかげで成し遂げられました。点字を使い続けているために、人生を好転させた視覚障害者の友人や同僚は無数にいます。視覚障害を持つ人々にとっての点字とは、人体にとっての酸素のようなものです。点字は、視覚障害者の人生における希望の光であり、輝く星です。点字は実際のところ、目が見えない人にとっての視力なのです。