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 VLSC (Vector Linear Shaping Circuitry)


はじめに

 ここでは、従来にはない全く新しい方式による「パルス性ノイズの飛躍的な低減」を達成したデジタル・アナログ変換(D/A変換)「VLSC:Vector Linear Shaping Circuitry」について解説します。
 オーディオ信号の記録/伝送方式はアナログからデジタルへとすっかり変貌し、その音質も飛躍的に向上してきました。しかしながら、D/A変換時に発生するパルス性ノイズは除去しきれないという問題がありました。パルス性ノイズそのものは、人間にとって検知できませんが、ノイズのあとに続く微小な音声情報が認識できなくなったり、ノイズ同士のビートによって可聴帯域内に新たなノイズ成分を発生させるなど、音に悪影響を及ぼす大きな要因のひとつとなっています。

 当社は、2000年秋、マルチビットDAC(D/Aコンバーター)における量子化ノイズを抑制する新D/Aコンバージョン・システムVLC (Vector Linear DA Converter)を開発し、Integra ResearchのDVDプレーヤー「RDV-1」およびAVプリアンプ「RDC-7」に搭載、多くのホームシアターファイルの方々から高い評価を得てきました。そしてこのVLCの思想を継承した1ビットDAC用の新回路VLSC (Vector Linear Shaping Circuitry)を開発しました。


VLSC のアドバンテージ

VLSC● ベクトル発生器を内蔵
  当社フラッグシップモデルのIntegra Researchに採用したVLC(Vector Linear DA Converter)の思想を受け継ぎ、ベクトル発生器を内蔵しています。ベクトルを入力信号に追従させる方法でピュアなアナログ信号を生成し、デジタルオーディオを「鮮度が良く、滑らかな音質」で再生します。またVLSC 2では、さらに精度が高いベクトル発生器を内蔵。よりピュアな音楽再生能力を獲得しています。
VLCの詳細はこちらを御参照下さい (ベクターリニアDAコンバーター)
● パルス性ノイズの飛躍的な低減
 高品位なサウンドに有害なデジタル回路からの刺激性の強いパルス性ノイズを大幅に低減し、従来同ノイズによりマスクされていた微小音色成分を忠実に再現します。

● 圧縮オーディオの高品位再生
 MP3などの圧縮オーディオは原理上、人間には聴こえにくい音を削除して圧縮しています。このことから、その音は「磨ぎすまされた音」と表現できます。これは刺激性の強いパルスノイズに弱いことを意味し、ノイズ対策が不十分な場合ザラつき感を多く感じ、音質的に評価が低い原因となっていました。VLSCではMP3をより本来の音に近づけて再生するため、デジタル圧縮オーディオ(MP3:InternetやATRAC3:MD)を「ザラつき感を抑えた音質」で再生します。


従来のデジタル・アナログ(DA)変換

 現在最も広く普及している1ビットDACでは、D/A変換されたアナログ信号には元の音声信号とは無関係なノイズが多く含まれています。しかも、そのノイズは可聴帯域を含む非常に広い周波数範囲にわたって平坦なスペクトルで分布をしているため、ノイズ・シェーピングという手法でこのノイズ成分を可聴帯域外の高い周波数に追いやった図-1のような特性になります。しかし、この高域ノイズは従来のローパスフィルターでは減衰させるに留まり高次のフィルターを用いてもなお残留するノイズにより音質が劣化することは避け避けることができず、復元されたアナログ信号にパルス性ノイズとして重畳されています。パルス性ノイズが大幅に低減されない様子を示したのが 図-2上です。可聴帯域より高い周波数で構成されているので、ノイズそのものは聴こえませんが、人間の聴感メカニズムを狂わせ、伝達されるべき微小な音声情報を認識しづらくします。これに対し、VLSCでは上記のパルス性ノイズが飛躍的に低減され、なめらかな音声信号を出力します(図-2下) 。 図1
図-1

図2
図-2

VLSCの基本原理

 VLSCは第一世代VLCと同様にベクトル発生器を内蔵していますが、その回路方式はVLCをさらに改良したものとなっています。
 VLSCは比較器とベクトル発生器とで構成されています(図-3)。比較器は1ビットDACから送り込まれる信号とベクトル発生器の出力(同時にVLSCの出力でもある)とを常に比較し、その比較情報をベクトル発生器に伝達する役割を担っています。その情報は1ビットDACの信号は発生器の出力に比べて大きいか小さいか、そしてその差はどれだけあるかというものです。ベクトル発生器はそれをもとに、大きければプラス(増加)方向に、小さければマイナス(減少)方向に、また差が大きければ増減の変化速度を早く、少なければゆっくりと、というように、あるベクトルで信号を発生します。そしてこの信号情報が再び比較器にフィードバックされ、DAC出力との比較に供され、ベクトル発生器はこの新しい比較情報に基づいたベクトルで信号を発生します。これが連続して繰り返されることで滑らかなアナログ波形を生成することができるのです。
 つまり、 VLSCは比較器の情報をもとに、新たにまったくピュアなアナログ信号を発生させることでパルス性ノイズを大幅に低減したアナログ信号を得る画期的な方式です。ヒアリングによる検証でも、通常のローパスフィルターを使用したものと比較して、音の実在感や音場空間の再現力が飛躍的に改善され、微妙なニュアンスの違いのより正確な表現にも格段にすぐれています。その効果は私たちが最も耳なじみの深いボーカルやセリフなど人の声の自然さ(口の開け方や発声方法まで類推できる表現力、あるいは「柔らかさ」「力強さ」「繊細さ」「ぬくもり感」の表情)で感じることができます。

図3
図-3

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