VLC (Vector Linear DA Converter)
はじめに
ここでは、従来にはない全く新しい方式によるデジタル・アナログ変換(DA変換)「VLC:Vector Linear DA Converter」について解説します。
音は、時間軸上をダイナミックにその波形(周波数)を変化させ、我々の耳を楽しませてくれます。オーディオ機器において原音の忠実再生は常に要求されるべき課題であり、デジタル・オーディオにおいても例外ではありません。
一般にオーディオ機器における再生性能の良否を評価する際、その周波数特性が注目されます。しかしながら、この特性は時間的空間が定義されておらず、原音の持つ時間的なダイナニズムに対する応答特性が考慮されていません。
ベクタ・リニア・コンバータは、従来の周波数特性に加えて、原音の持つ時間的ダイナニズムに着目し、従来のデジタル・アナログ変換の有する時間的揺らぎから発生する不安定感を完全に排除する新規のデジタル・アナログ変換方式です。
VLCのアドバンテージ
VLCは、デジタル信号をアナログ信号に変換するのに、サンプリング・データ間の変化分についてもリアルタイムにアナログ量に変換する全く新しい発想から生まれた画期的なDAコンバータです。
● オーディオ信号における究極のアウトライン・フォント化
● デジタル信号 → なめらかなアナログ波形へダイレクト変換
・ 究極のオーバー・サンプリング
・ フィルターレス DAコンバータの実現
・ 変換時間の最小化。直線位相特性
● ユニークなアナログ回路にて実現
・ 多大で複雑なデジタル演算処理が不要
・ 超高速ロジック、高速DACが不要
・ デジタルノイズによる音質劣化なし
従来のデジタル・アナログ(DA)変換
従来のDA変換は、ラダータイプのマルチビットDA変換器によるアナログ階段波生成や、1ビットDA変換に代表されるパルス幅またはパルス密度による変調方式にて実現されています。しかしながら、以上のDA変換はいずれもサンプリング時間毎のデジタル値をアナログ量に離散的に変換しているにすぎず、サンプリング周期に相当する高周波成分が多く含まれています。このため、このままでは原音とはかなり異なった波形であり、後段に高周波成分をカットし、滑らかなアナログ信号を得るよう高次のアナログ・フィルタの存在が不可欠となります。そして、この高次のアナログ・フィルタが、再生信号の位相特性を劣化させ、再生音に「原音にはない時間的揺らぎ」を発生させることで聴感上の品質を著しく低下させてしまいます。
新DA変換回路VLC
VLCはユニークなDA変換回路により、上記の課題を克服しています。
VLCは、サンプリング・データ間の変化分についてもリアルタイムにアナログ量に変換するDA変換器です。即ち、離散的なサンプリング・データ間をリアルタイムに滑らかにつなぎあわせていくものであり、これが、各サンプリング・データを単純に離散的なアナログ量に変換する従来のDA変換と大きく異なる点です。
Fig.1 従来のDA変換とVLCの違い
Fig.1に従来のDA変換とVLCの違いの概念図を示します。
従来のDA変換である1Bit DA変換やMulti-Bit DA変換では、最初に離散的なアナログ変換が実行され、次にアナログ・フィルタによる高周波成分カットが実行され、滑らかなアナログ信号を得ています。しかしながら、アナログ・フィルタの位相特性により、第一段階の離散的アナログ変換より、時間的にかなり遅れ、さらにオーバーシュート等の歪みが発生します。
これに対して、VLCでは、DA変換の最初の段階ですでに、サンプリング値間にその変化に相当するアナログ量が生成されており、滑らかなアナログ信号再生を可能にしています。よって、VLCによれば、デジタル値を高周波成分の極めて少ない滑らかなアナログ量にダイレクトに変換することが可能です。
VLCの基本原理
VLCは、高度なデジタル処理と斬新かつ強力なDA変換器を整合性よく組みあわせたシステムであり、デジタル・オーディオの再生に新たな能力を提供するものです。
VLCによるDA変換は、変換時間が最小で、原音を忠実にトレースする能力を有しています。このため、原音のもつ表現力をあますことなく再生することを可能にしています。以下にVLCの動作を解説します。
Fig.2
VLCは、Digital値をAnalog値にユニークな方法によって変換するDAコンバータです。DAコンバータの入力であるDigital値は、サンプリングによって得られる離散的なデータ列になります。このため、Digital値を単純にDA変換して得られるAnalog値もまた離散的なデータになります。この離散的なアナログ値とは、Multi bit DACの階段波形や、1bit DACのパルス密度あるいはパルス幅変調に代表される波形を意味します。
VLCは、Fig.2に示すように、各サンプリング点の間を結ぶアナログ・ベクトルをリアルタイムに生成します。すなわち、離散的なデジタル値を滑らかなアナログ値にダイレクトに変換することを可能としています。
従来の「滑らかなアナログ出力をダイレクトに得る手段」として、強力なデジタル演算処理回路によりサンプリング点間の補間値を計算し、超高速なDACを介してアナログ値に変換する手法があります。しかしながら、こうした手法では等価的にサンプリング周波数を増大させただけであり、離散的なアナログ出力という観点では同様となります。また、高速デジタル処理によるノイズ増大が副次的に音質に悪影響を与えます。
VLCでは、多大で複雑なデジタル演算処理や超高速のDACなどを必要としません。また、サンプリング周波数を増大させるものでもありません。従来の複雑なデジタル演算が必要だった「補間値の演算処理」を非常に簡単なアナログ回路にて実現し、しかも「離散的ではない連続データ」を生成します。
DA変換の対象となるNbitのデジタル信号は、各サンプリング点での量子化の値を示しています。各サンプリング点の間を滑らかに結ぶためには、サンプリング点間の差分に見合ったベクトル成分をリアルタイムに生成し、その点でのサンプリング値に加算することが必要になります。
VLCでは、各サンプリング点間の差分値を電流値に変換し、その値を積分しながら、元のサンプリングデータ値に加算していく処理をリアルタイムで実行します。(Fig.2)
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