THXサラウンド関連
THX
THXは劇場用音響、映像の品質規格。特に音響においては映画制作者のニュアンスを劇場で忠実に伝えきるために、レベルやノイズ/残響音/音響機材/スピーカーの設置位置など厳格な品質基準が設けられています。全世界で5,000を超える劇場が認可され、音響品質の高い映画館の代名詞とさえ言われます。
ホームTHX (Home THX)
映画館におけるTHXと同様のコンセプトで、ホームシアターでもミキシングスタジオの音響を再現できるようにと考えられたのが「ホームTHX」です。デコーダー、アンプ、スピーカーなど、ホームシアターを構成するさまざまな機器に厳しい規格が設けられています。ホームTHX規格準拠のAVアンプにはTHX独自のテクノロジーにより劇場環境との再生環境の違いを補正し、THX認定映画館同等の再生環境を実現する独自の音場補正機能が搭載されています。
現在は
THXウルトラ2
と
THXセレクト
の2つの規格カテゴリーに分かれています。
●「THXウルトラ2」と「THXセレクト」との違い
規定する部屋のサイズ(容積)が異なる点です。THXウルトラ2では3000ft
3
(約85立方メートル/20畳程度)を基準としているのに対し、THXセレクトでは、2000ft
3
(約57立方メートル/15畳程度)の部屋での使用を想定。それぞれその部屋の基準で100W×5chを連続して出力するパワー能力を求められることは同じですが、THXセレクトは部屋が狭い分、視聴位置までの距離が短くなるため、3.2Ω以下のインピーダンス負荷に対するパワーアンプの能力や一部の歪率、S/N性能などに若干の緩和措置がとられています。またTHXウルトラ2では、サラウンドバックチャンネルを2本使用するのに対し、THXセレクトではサラウンドバックチャンネルは1本でもよいとされています。
THXウルトラ2 (THX Ultra2)
THXウルトラ2は、従来の5.1ch音声の映画や音楽に対し、より大きなサラウンド感覚で再生できるよう考えられた7.1ch再生システムです。サラウンドチャンネルはリスナーの両横方向に設置された2つのダイポールスピーカー(左右サラウンド)とリスナー後方で近接されて設置された2つのモノポールスピーカー(左右後方サラウンド)の4個のスピーカーでの再生が基本となっています。
●これまでの「Ultra」との違い
コントローラー部:
従来の5.1chソースに対して、より拡がり感のあるサラウンド音場を提供するために、LS/RSの2チャンネルサラウンド信号に位相処理等を施して4チャンネルサラウンド信号を創り出すASA(Advanced Speaker Array)と、低域ルームゲインの影響を補正するためのBGC(Boundary Gain Compensation)の2つの処理が追加されました。また、再生モードも映画再生に適した「THX Ultra2 Cinema」モードと、マルチチャンネル音楽の再生に適した「THX Music」モードの2つが用意されています。
パワーアンプ部:
マルチチャンネル再生時における出力能力についてより高いクオリティが要求されます。
THX Ultra2規格によるスピーカー設置方法
●THXウルトラ2シネマモードの回路イメージ
●THXミュージックモードの回路イメージ
THXセレクト (THX Select)
新たに制定された規格カテゴリーで、2000ft
3
程度のやや小さなリスニングルームが想定されています。このため、音圧やパワーといった項目の規格が幾分緩和されています。現在のところインテグレーティドアンプ(AVアンプ、AVレシーバー)やスピーカーなど一部の製品カテゴリーのみが対象とされています。
THXサラウンドEX (THX Surround EX)
映画「スターウォーズ・エピソード1」によって登場したドルビーデジタルサラウンドEXを、THX社がホームシアター用再生システムとしてライセンスを行っている方式です。映画館と同様にデコードされたL/Rサラウンドチャンネル信号からマトリックスデコーダーによってサラウンドバックチャンネル信号を取り出します。それぞれの処理にはホームTHXで定められた厳しい性能規格が適用されます。現在はTHX Ultra2に引き継がれています。
●THX Surround EX の回路イメージ
シネマ・リ・イコライザー(Re-Equalizer)
多数のDVD-Videoは、映画館の大きな空間での再生を前提とした音づくりがそのままエンコードされています。そのため、ホームシアターのような小さな空間でそのまま再生すると、高域が過度に強調され、臨場感を阻害してしまいます。シネマ・リ・イコライザーは、映画館のような大きな空間用にイコライズされた信号を、ホームシアターのような小さな空間用に再びイコライズし直します。
ティンバー・マッチング(Timbre Matching)
映画館では、サラウンドチャンネルの音声は、客席側面や後面の壁に取り付けられた多数のスピーカーから再生され、いろいろな方向から時間差を持って観客のもとに届く、いわば“拡散音場”を形成します。ホームTHXにおいては、サラウンド用スピーカーには、拡散音場をつくるために、ダイポール方式のスピーカーの使用が推奨されています。この場合、フロントからの直接音主体の音声と、サラウンドチャンネルからの拡散音は、聴感上音色が異なることがあり、結果として、前方から後方への移動感などが不自然になってしまいます。ティンバー・マッチングは、そういった不自然さを防止するために、音の属性が異なる前方、後方間の音色を合わせ、よりスムーズな移動感を再現するための技術です。
アダプティブ・デコリレーション(Adaptive Decorrelation)
リスナーの両横に置かれたサラウンドスピーカーでモノラルのサラウンド信号を聞いた場合、頭の中に音像があるような(頭中定位)感じを受けたり、頭を少し動かしただけで音像が大きく変化するといったような不自然な音場となります。THXでは、サラウンド信号がステレオの場合はそのまま左右サラウンドチャンネルに送り、サラウンド信号がモノラルの場合はその信号に非相関化処理(デコリレーション:De-correlation)を行い擬似ステレオ化して左右サラウンドチャンネルに送るといったように、サラウンド信号の性質に応じて処理を行う方式をとっています。
戻る