| 大朏 |
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その会社にずっといらっしやったんですか。 |
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| 山村 |
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いいえ、その会社の上司に引っ張られて、純粋ヒ素をつくる会社を興こしました。アリゾナ州とユタ州の中間にある関東平野ほどもある田舎の、人口が6,000人しかいない所に工場を建てまして、3カ月後には99.9999%の純粋ヒ素をつくるのに成功しました。売り上げが100万ドル、粗利益は80%の優良会社になったんです。ところが、私の上司だった社長が大ボラ吹きで、数百万ドルの会社のような振る舞いをするんです。それで資金繰りが苦しくなりまして、倒産。今だに給料を貸したままですよ(笑)。英語で喧嘩もできるようになっていましたし、ハーバードのビジネススクールに行くよりも、いい経験をしましたよ。 |
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| 大朏 |
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それから、どうされたんですか。 |
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| 山村 |
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向こうで永住権も取り、アメリカ市民になろうかとも思ったんです。ところが、周りも年を取り、14年目にして初めてホームシックにかかったところヘフェローフルイディクス社から「日本で磁性流体事業をやらないか」という話がきまして、帰国することになりました。 |
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| 大朏 |
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磁性流体というのは読者に分かりにくいものですので、簡単に説明してもらえますか。 |
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| 山村 |
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- 簡単に言えば、磁気を帯びた砂鉄をドロドロの状態にしたようなものです。磁石と組み合わせて、半導体製造のシーリング(密封)用に使います。当時は半導体製造装置の80%は米国から輸入していましたが、将来は日本でもつくることになるだろうと思いまして、この事業に身を投じることにしました。
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| 大朏 |
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サンプルがありますね。それで実際に見せて下さい。 |
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| 山村 |
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これが磁性流体なんですよ。これに磁石を近づけますとね、磁石に吸い付くでしょう。この性質を応用して、回転軸の周りの隙間にこれをたらしてやりますと、液体の壁ができるんです。また、オンキヨーさんのスピーカーのマグネットの部分にこれを入れてやりますと、いい音色になるんです。 |
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磁石に吸い寄せられる磁性流体 |
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| 大朏 |
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今売り上げで一番大きいのは磁性流体ですよね。 |
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| 山村 |
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ええ。36憶円の中で34憶円くらいです。サーモモジユールの方は、本格的に打ち出したのが3年ほど前でしたから、昨年が2億円で、今年が4億円。けれど、磁性流体よりも応用範囲は広いですから。 |
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| 大朏 |
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- 磁性流体の方は、アメリカの会社が開発したものだったのですか。
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| 山村 |
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- これは、ボストンのある会社が1960年代の中頃にNASAから依頼を受けて始めたものです。ロケット宇宙開発の中で、磁石に反応する液体を作ろうというプロジェクトがありまして。けれど、急激にNASAの資金がなくなりまして、開発プロジェクトも打ち切られたわけです。その時に2人のエンジニアがNASAから引き受けてつくったのがフェローフルイディクス社でして、69年から営業を始めていました。
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| 大朏 |
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今では御社の技術がマルチメディア関連に幅広く利用されていますね。 |
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| 山村 |
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コンピューターシールと真空シール、サーモモジュールの3つの柱が出来ましたから、公開を機にさらに事業を拡大していきます。 |
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| 大朏 |
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大変利益率のいい仕事ですからうらやましいですね。このような会社が出てこないと、日本はだめになってしまいますよ。メーカーはどんどん海外に出て行ってますし。
サーモモジュールに話を移しますが、これも結構古くからある技術なんでしょう。 |
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| 山村 |
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もともとは軍隊の応用が始まりなんですよ。58年のハーバードビジネスのレポートに、20年後の78年にはアメリカのエアコンと冷蔵庫の8割がこれに代わるというのがありまして、アメリカの優秀な企業が開発を始めましたが、60年の半ばには全てやめてしまったんです。なぜかというと、例えば熱効率が半分以下でビルディングを冷やそうとしたら2倍3倍の電気が必要でして、これを全国民がやったら大変なことになるというわけなんです。その後は一切投資されませんで、技術だけが残っているという現状です。 |
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| 大朏 |
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片面で取った熱と同じ量の熱が逃げるわけだから、それをどんどん重ねていけばいい。プラスマイナス60度くらいですか。 |
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| 山村 |
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70度くらいです。 |
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| 大拙 |
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でも、相変わらずこれを作るのには手間と費用がかかるんですか。 |
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| 山村 |
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今面白いことをしていますのは、この材料を中国で作り始めているんです。 |