開発者が語るオンキヨーのスピーカーとその技術
オンキヨーのスピーカー技術について
オンキヨーは1947年からスピーカーの生産を開始し、そのスピーカーの心臓部と言われるスピーカーユニットを振動板の素材開発から一貫して行っており、1950年に、ノンプレスコーンで特許を取得しました。
従来からスピーカーの振動板に要求される性能として、軽量、高剛性、高内部損失(※)が求められますが、これらは相反する物性で、同時に満たす材料は無く、これらを高い次元でバランス良く使いこなすことが求められています。
20年ほど前にはクロスカーボンなど最先端材料なども使われ、各社が新素材競争を繰り広げていました。
そんな中、1998年オンキヨーオリジナルのOMF(ONKYO Micro Fiber)振動板の生産を開始しました。これは天然繊維をベースにしたハイブリッド型振動板で、以来、フラッグシップモデルの開発において、常に進化を続けています。
オンキヨー株式会社
製品開発担当 Kさん
D-412EXに使用された
「A-Silk OMF」振動版の開発を担当
※内部損失…音の響きにくさのこと。音の響きが大きいと余計な残響が大きくなり、音が汚くなってしまう。
さらなる向上を目指して
2005年発売のD-302Eでは従来の常識を超えた思想から、PEN(ポリエチレンナフタレート)繊維/綿/アラミド繊維という3層構造のOMF振動板を開発し、市場に大きなインパクトを与えました。
それから4年後の2009年、この後継機種であるD-412EXを製品化しました。
この時、D-302Eを超える音が要求され、その振動板の欠点として重さが挙げられました。D-302Eの重くても丈夫な振動板、当時のオンキヨーのスピーカーの顔とも言うべきPEN織布を見直そうという発想のもとD-412EXの振動板の開発がスタートしました。
製品と素材へのこだわり
OMF振動板の基材の見直し、スピーカーの顔とも言うべき外観でアピールできる素材の選定から始めました。軽量と高剛性を両立するため、アラミド繊維2層をベースとし、外観にはシルクの織物を選択。ただ、今までのOMF振動板の成形方法では、シルクが樹脂に埋もれてしまい、シルクの持つ艶や質感が損なわれてしまうため、あえて一手間加えて貼り合せるという手法をとりました。さらに外観に関して、シルク織物といえば通常は、平織という織り方で、糸が1本1本、経と緯で交互に上にくる羽二重を連想しますが、シルクの艶や光沢感を最大限引き出すため、織り方にもこだわり、繻子織を採用しました。
このようにして、天然素材ならではのナチュラルな特性を活かせるシルクと、強靭かつ柔軟でスピーカー振動板以外の多方面でも定評があるアラミド繊維をハイブリッド成形した新素材「A-Silk OMF」振動板を開発。強さとしなやかさを併せ持つ理想的な振動板の開発に成功しました。
D-412EXで使用されている
スピーカーユニット
世界で認められるスピーカーのために
スピーカーの振動板は空気を振動させて音楽を最終的に奏でる極めて重要なパーツであり、このキーパーツを自らつくることが、世界で認められる高品質なスピーカー群の開発につながると考えています。この材料次第でスピーカーの音は大きく影響されるのです。 これからも、オンキヨーの音の進化のため、素材開発は欠かせません。
※オンキヨーのスピーカー技術に関しましてはこちらもご参照下さい。